本文へジャンプ

オホーツクの森

6628.jpg
他の人が運転してくれているというのは、いいですね。
車を走らせているなかでも、こんな風景の写真を納められます。
石北峠を抜けると、左右になだらかな山地が広がる光景。
なんども取材などで行っている風景ですが、
北海道内、いろんな土地土地で、その風景に思い入れがあります。
ちょうど今の時期だと、山にはカラマツ(落葉松とも書く)の色づきが広がります。
以前、網走近郊の山のなかに暮らしている
絵描きさんの家を取材したことがあります。
ご主人は画を描かれるのですが、
奥さんも、植物細密画を書かれる方。
衛星テレビの電波も届かないほどの緑豊かな森の中に住んでいるワケなんですが、
どうしてこの森に家を建てられたのですか、
と聞いたら、このオホーツクの自然林は北半球でも最高に
植生の種類が豊富な森なんですよ、と教えられたものです。
落葉する、ほぼ北限に使い広葉樹たちと、
常緑の緑をたたえる針葉樹たち、そのどちらもが
豊かに息づいていて、奇跡的な「混淆林」を形成しているのです。
毎朝、森を散歩していると、その豊かな植物たちの
百花繚乱が広がって、本当にその豊かさに圧倒されるのだそうです。
奥さんの描かれた細密画は、実にさまざまな植物たちが描かれていて
その繊細さと、力強い自然力に感銘を覚えたものでした。
一方で、この写真のようになぜ、落葉松の風景が広がったのか、
それは、戦前の国策の結果、落葉松が大量に植林されたものなのだ、
ということも聞きました。
多くは鉄道の枕木などに使われ、有用資源とされたそうなのですね。
ほうっておけば豊かな混淆林が広がっていたものを
北海道の大地をそのように人為的に変えてきたのが、この開拓だったのですね。
しかし、今となってはこういう落葉松の森もどうすべきなのか、
樹種としては建築材料にそう使われないものなので、
そうなれば勢い、営林という観点からは困ったことになっています。
林業としての経済性が破綻しているので、
必要な手入れも行われないまま、森が荒れていく結果になるわけです。
そんな背景のなかにある風景ですが、
個人的にも、亡くなった叔父はこの地で林業経営を夢見ていて、
いろいろな活動をしていたと、聞いています。
開拓期以来、北海道にも積層された人間の思いや営みが積み重なってきて
いろいろな想念が浮かんでは消えていきます。
と、なにか詠嘆的なブログですね、(笑)
3連休と言うことですが、きょうは十勝からお客様が
札幌の住宅を見学に見えられます。わたしも見ていない住宅があり、楽しみにして、
きょうは頑張って仕事ということですね。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.