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箱館奉行所

いやぁ、すばらしい。
由緒正しく建てられた建築には、気品がある。
函館はすばらしい建築を得て、本当に良かったと思います。

きのうは朝一番で札幌を出て
函館でのPVソーラー協会のセミナーに参加。
南野会長や、南雄三さんと旧交を温めておりましたが、
時間を計って、気になっていた建築の取材であります。
この建築は、旧幕府が函館西部地区に建てていた
幕府政庁建築を、その防衛的観点から五稜郭に移転させ、
その後の榎本武揚による占領によって
明治初年に政府軍が攻撃したことで、
取り壊さざるを得なかった古建築。
いわば、五稜郭の「本丸」に相当する由緒正しき建物なんですね。
江戸幕府が建築した武家社会最後の遺構としての格式を持っている。
こういう建築が北海道にプレゼントされた、と考えるべきです。
さすがに、国費を傾けた建築だけあって、
その復元の工程もまことに折り目正しく行われた。
建築材料も、可能な限り創建時の材料構成が追体験され、
会津のアカマツ、秋田のスギ、青森のヒバ、東北のケヤキ
っていうように、適材適所の素材が集められている。
ヒバは柱に、アカマツは梁にという具合ですね。
竹木舞下地の塗り壁は、新規に造作されると
こんなにも美しいものかと、目を奪われる。
白木で構成される内部の空間は、まことに清々しい。
まさに一級の古武士のごとき風格。
五稜郭の石垣や城郭建築としての美しさをさらに際だたせる。
画竜点睛、ということばを感覚させてくれます。

再建当時、
この建築の施工について、
まったく地元工務店は、その候補にすら挙がらず、
本州の宮大工施工店から選抜されたということを聞き、
一抹のさみしさ、悔しさを覚えたものですが、
まぁ、これはやはり、その決断は正しいと言わざるを得ませんね。
こういう大型木造建築の古格は、そういった表現力が
やはり不可欠だと思います。
ただ、逆に技術伝承という側面で、
北海道の工務店にも、JVの機会は欲しかったと思いました。

しかし、そういう思いを越えて
建築された姿は、まことに美しい。
北海道を代表するような景観建築として
本当に素晴らしい建築が出来たことを率直に喜びたいです。
函館のみなさん、おめでとうございます。

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