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屋根でデザインする

住宅の形って、その民族で大きな違いがある。
日本の子どもに「家の絵を描いてごらん」っていったら、
さて、今はどんな家を書くでしょうか?
わたしたちの年代ならば、間違いなく三角屋根を書いて、窓を真ん中に入れる。
そういうような「伝統的価値観」の範囲の中にいた。
きのう、ある現場見学会に行ったら
イランから北海道大学に留学に来て工学部で学び、
そのまま、日本女性と結婚して札幌で環境系の設計コンサルタントをやっている
タギさんと、じっくり話す機会がありました。

家への伝統的価値観の話で盛り上がったのですが、
イランでは、家の形は四角いのがふつうで、
屋根というものは、陸屋根しか想像できないのだそうです。
構造は日干しレンガを積む工法で、
屋根にだけ、構造下地として木材が梁としてわたされ、
それに藁などを敷いて、その上に土を盛って芝屋根にするのが伝統的工法とか。
基本的に陸屋根で平屋、という形態なんだそうです。
床面は土間床であり、
その上にペルシャ絨毯を敷いているのだそうです。
室内で靴を履くことはなく、
万が一、靴を履いたまま室内に入ったら、「殺される(笑)」
くらい、生活規範の戒律が厳しいのだそうです。
どうもわたしたち日本人が、「外国」と信じ込んでいる世界観は
欧米的価値観であり、けっして汎用的世界観とは言えないのでしょうね。
室内では靴を脱ぐ方が、どう考えても合理的生活習慣だと思います。

っていうような対話が楽しくて、
ついつい長時間話し込んじゃったのですが、あきらかに脱線です(笑)。
屋根であります。
写真は、北海道神宮境内の宗教施設と思われる建物。
真壁の柱が表側に表され、
漆喰とおぼしき外壁と、下部には腰壁が木張り。
そうした外壁を大きな屋根の連なりが覆っています。
日本は多雨の気候を持った国であり、
必然的にこのような屋根を必要としてきたのでしょうね。
多雨気候のせいで、木の生長が旺盛で、
古代以来、製鉄の技術が盛んであり続けているのは
このような燃料としての木に不足しない、という条件が預かっているのだと思います。
ひょっとすると、日本は資源が少ない、
っていうのは外国から見たら、信じられないのかも知れません。
森林資源ばかりではありません。海洋資源について言えば、
これだけ魚好きな国民性を育んできた豊かな海洋を持っている。
ロシアのような国から見たら、
よだれが出るような立地条件に見えるのかも知れません。
中国から見ても、太平洋に出るには日本の領海を通過しなければ
なかなか出られないくらい日本の地勢的位置というのは貴重に見えるのでしょう。
また脱線した(笑)。

こういうデザインの建築に対して
わたしたちは、自然に美的センスを磨かせてきたということなのでしょうね。
どうしても伝統回帰的なところに
わたしたち年代というのは落ち着いてゆくものなのでしょうか。

北のくらしデザインセンター
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