人口減少の予測は大枠としては「変えられない未来」と言われる。
しかし、地域シンクタンクの北総研発表を仔細に見ていると、
北海道の自治体毎でこの「予測値」は変動していることに気づかされる。
上の図は、2013年の道内自治体毎の人口推定と、5年後2018年に再度推計した
2035年度の人口推計の「増減」を視覚化させたもの。
赤い色の濃淡がより推計値が下ぶれした自治体で、
一方青い色合いは、推計値が上ぶれした自治体のカラーマッピング。
この図表が表しているのは予測から、進行する現実は変化するということ。
人口減少がより激しく進行する地域もあれば、
むしろ反対に増加したり、趨勢スピードが鈍化する地域もある、
未来はまだら模様で推移していくのだということ。
大きな傾向としては、札幌および周辺地域、帯広、旭川、函館という
主要都市圏では総じて「青色」の傾向を示しているといえる。
変化は2極分化して襲ってくるということなのでしょう。
ただし、主要都市圏以外でも青色を示している地域が存在することは
その要因チェックに留意する必要があるだろう。
また同時に「赤色」を示している地域は総じて郡部と見なせるけれど、
これも一様にそうとは言えず、より細やかな分析が必要だと思われる。
青色傾向の地域としては、とくに新千歳空港周辺地域が注目。
これは産業として考えれば「運輸」という分野が人口動態に
大きな影響をもたらすということを明示しているのかも知れない。
札幌と新千歳空港というような「道央地域」がその利便性で成長性を持ち
その周辺地域はこの「中心」に対しなんらかの役割を提供する発展がありえる。
で、大きくは都市圏と郡部というように仕分けが当然できるけれど、
この表は、それぞれでのメリット・デメリットを集計したもの。
都市圏が優越しているポイントは、1 生活環境 2 健康維持 3 教育環境
郡部が優越しているポイントは、
1 労働環境 2 高齢者適応 3 人的交流 4 女性活躍 5 子育て
というように分けられている。
非常に興味深いのは、子育てしやすさ比較で「8:14」と郡部優勢なこと。
このことは別の指標でも現れていて、以下の指標が顕著。
これは「合計特殊出生率の全道地域マッピングデータ。
大きな傾向として、北海道内の郡部地域が基本的に青色であり、
札幌周辺などが低くなっている傾向が読み取れること。
「人間疎外」というコトバがかなり以前、高度成長期などに使われたけれど、
どうもこの指標からは、都市化・資本主義的「合理性」発展が
必ずしも人間の幸福度とパラレルではないことを示してはいないだろうか。
このデータを見させられて、いろいろな発想が湧いてきている。
人口減少へ社会の知恵を集める必要があることが自明だけれど、
そのもっとも核心的な指標こそは「出生率」ではないか。
いま、女性がこどもを産むことに積極的である地域傾向とはなにか?
ということ以上に重要な指標はないと思われるのです。う〜む。
Posted on 10月 19th, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 日本社会・文化研究
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