最近、仙台市内のビルダーさんから面白い情報を聞いた。
仙台地域は震災以降、被災地からの移住需要などが集中したけれど
その需要に応じて首都圏などの大手建て売り住宅メーカーが、
大量に「建売住宅」を建設して大量販売したとされる。
で、その住宅を入手して住んでいたユーザーは、元々は賃貸住宅などでの
寒冷地住宅体験はそれなりに持っていたのに、
これら建売住宅のあまりな「寒さ」に震え上がっているという。
「寒くって、とても耐えられなかった」
という実感をビルダーさんに吐露していたという。
資本の論理で土地を高値で仕入れて建て売り住宅を販売した
当の大手建て売り住宅メーカーのせいで仙台では土地価格が急騰したが、
その急騰を利用し築後数年しか経過していない「新築住宅」を売り抜けて、
また新たに新築戸建て住宅を建てる事例があるというのだ。
たくさん税金を納めることにはなるから、国の財政としてはいいのかも?
しかし、個人としてはまことにムダの多い投資をしたことになる。
なんとも、笑い事では済まされないようなことが今日起こっている。
たしかに仙台というマーケットでは転勤族も多いとされるので、
必ずしも寒冷地仕様の住宅知識をそれほど必須と感じないユーザーもいる。
しかし建てられる土地の気候条件を十分に把握せずに
製造業としての矜持、ポリシーなく建てられたと言っても過言ではない。
今日、「高断熱高気密」はセールス文句としては
どんなビルダーもそのように宣伝しているので、
ユーザー側でもまさかそれがただの宣伝文句とも思えずに
そういうところはそこそこマシなんだろうと考えて手を出すようなのだ。
逆に首都圏以西では、高断熱高気密技術は「普及期」にあって、
その技術要素が大きな「差別化」要因になっていく実態がある。
むしろ温暖地域の方がユーザーの「ホンモノ選別」がキビシイ。
一時的な特殊要因で大量生産がなされた仙台マーケットでの
きわめて特殊な事例であることを願う次第。
Posted on 2月 23rd, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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