本文へジャンプ

【謹賀新年、国宝櫻井神社拝殿】

あけましておめでとうございます。

北海道というのは「国宝」というのはまだひとつしかありません。
それも「中空土偶」という縄文時代の作品であり、
建築的なものではまだ、なにひとつ国宝の基準を満たすものはありません(泣)。
あと数十年も経過したら北海道発祥の「高断熱高気密」技術というものが
歴史的に有為なものとして、顕彰される可能性はあると思うのですが、
たぶんわたしが生きている間には、そういう日本国家の承認はないでしょう(笑)。
その場合、それがなにに由来するかという点も論議を呼ぶでしょうね。
日本の権威的国宝級建築とは、おおむねアジア世界からの輸入技術がベース。
そういう意味では北米北欧という「違う世界」から同様に思想は輸入したけれど、
しかし軸組構造という南方起源と思われる隙間の多い構造建築を
高断熱高気密化させた技術は独自の「進化」といえるでしょう。
なにしろ、冬の寒さを技術で克服したということは、空前絶後のことでしょう。
しかしそれが「文化」であると認証されるには、相当に時間が掛かる。
たぶんこういう評価が将来、あり得ると思って日々を暮らしております。
もしそうなると、その国宝的技術の「始原建築」を保護する必要があると思います。
しかし当面はそういった建築的な評価はニッポン文科省・文化庁的にあり得ない。
そういうことなので、国宝建築などは「内地」に見学に来ることになる。
なにをもって「文化」とするかの評価軸、根拠も見学させていただく次第。

今回の見て歩きでひときわオモシロかったのが、この古建築。
大阪府堺市の郊外型ニュータウンのなかに忽然とある古社であります。
戦国の戦火で多くの古社建築が焼失したのですが、
この鎌倉期と推定されている「拝殿」建築が遺り、国宝になっている。
そうと聞かされなければパスしてしまいそうなさりげない中にありました。
カタチはいたってシンプル。最近の平屋住宅ともプロポーションは通底する。
構造が「二重虹梁蟇股」で平行する2本の梁材が屋根を受けている。
その屋根には神社建築には珍しい「瓦」が乗っけられている。
そして画面中央の土間通路を通って本殿に参拝する「割拝殿」という形式。
さらに正面左右の建具は「桟唐戸(さんからど)」という当時の最先端技術仕様。
こういう古建築としてながく存続してきた外装として丹塗りが施されている。
北海道でも北欧の木造住宅建築の塗装形式が取り入れられて
こういう金属を含んだ塗料が塗られている建築が多数ありますが、
洋の東西を問わず、こういった技術には普遍性があると思いますね。

新年はじめての投稿ですので、この建築ではじめようと考えました。
本年もどうぞよろしくお願いします。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.