インターネットの発展によって飛躍的に解明が進んでいる領域に
考古人類史とでもいえる領域があるのだと思う。
わたし自身も、ここ数年、この分野の著作とか研究成果に驚き続けています。
とくにイスラエルの歴史学者さんが著した「サピエンス全史」などの
約8万年とされる現世人類史という通期理解がまことに興味深い。
たぶん、あの著作に刺激を受けた動きというのがさまざまな波動をみせている。
わたしたちの住宅領域でも、東大・前真之先生の講演などで
基礎に関わる部分では、こうした人類史の解明進展の成果が
反映してきていると強く感じられます。
いつもその件では、先生の講演により注意深く聞き入っている瞬間があります。
ふだんニュースや朝のNHK連続小説、BSの番組群以外は
ほとんどテレビを見ないわたしですが、こういうことに関する番組は興味を持つ。
NHK総合で一昨日放送された「人類誕生」は全3回シリーズの第3回で
「ついに日本列島へ」と題されていました。
この番組自体、東京の科学博物館での展示をみて初めて知った次第。
イケメン高橋一生くんのナビゲーターぶりもあって
カミさんも興味を持って視聴していた(笑)。
石垣島の新空港建設工事にからんで貴重な考古資料として
人骨出土が2000年代初頭から発見され、日本列島最初のサピエンスの足跡が
たどられ始めているとされていた。
現代ではコンピュータ解析とCG技術、DNA解析などの技術の進展が目覚ましく、
この発見を起点として、約8万年前から世界中に進出したサピエンスが
どのように「海洋進出」したのか、日本列島にどうたどりついたのか、
というきわめて身近で直接的な歴史解明が行われてきた。
番組では推論であるのか、学術的正統性が確認された説であるのかは
語られていなかったけれど、ひとつのあり得る説として
約3万年以前頃、人類史上の巨大文化繁栄圏・スンダランド北方端、
当時大陸と地続きであった台湾東海岸から、
サピエンスの一部族社会から選抜された「フロンティア」たちが
日本列島最西端・石垣島へ出航する様子が再現されていた。
出航に当たっては、草船や竹船では早い潮流の黒潮を乗り切ることは出来ず、
このフロンティア進出に当たって、その当時の社会が相当の集団的労働を結集して
丸木舟を加工生産したであろうという説が採用されていた。
これは実際に当時人類が持っていた技術と材料・道具を使って実験航海することで
導き出された推論だという。
さらに丸木舟を生産するためには「斧」の発明も不可欠だったとされていた。
斧は考古的に確実に同時代のものとして遺跡から発見確認されている。
この斧を使って大型丸木舟を生産するには切り出しから製材加工まで、
どの程度の労働集約が必要だったかについてもきちんと積算され、
また新世界フロンティアへ出航しその地で人類が社会発展させるには
最低5組の健康な青年男女ペアが必要だとして、社会的に選抜された。
このような事業をすべて考え合わせていくと、当時の社会に於いて
このフロンティア事業はその社会を挙げた巨大プロジェクトだった。
番組ではこの出航に当たって社会全体での成功祈願が行われたに違いないと
写真のような儀式的光景までが想像再現されていた。
こういった男女によって、たぶん浦島太郎などのスンダランドの口述伝承が
わたしたち日本社会に「伝播」してきたのだろうなと、
そんな具体的な想像力も沸き立ってきた次第です。
いやぁ、こういう知の発見に至った時代に生きていて本当に面白い!
Posted on 7月 17th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 歴史探訪
[…] り、 また昨年2018年7月には同時期のNHK番組にも感嘆させられて、 【サピエンス人類史・日本列島フロンティアの解明】 という記事も書かせてもらっていました。 ということから、以前 […]