きのうはわが社の再起動、始動日。
仙台のスタッフも集合しての全社会議などが連続。
で、ことし移転予定の新社屋をスタッフに披露しておりました。
もともと現在でも登記上の「本社」ではあるのですが、
ながく「遊休資産」化してきた建築であります。
総床面積は86坪ほどあり、事務所として再活用する面積も、
約63坪ほどの広さを確保することができます。
スタッフ15-16人には収まりの良い事務所として利用が可能。
はじめて見るスタッフがほとんどだったので、
建築の説明などをしておりました。
なんといってもこの建物は、地域としての北海道が独自に開発してきた
「コンクリートブロック外断熱」という工法を採用しています。
コンクリートブロックは北海道特有の火山灰土を成型して得られる
地域風土に根ざした建築材料です。
その「かすり」にも似た風合いは、ハードでありながら質朴で、
素材としては内部に空気を保持している。
空気中の湿度も保湿し、同時に蓄熱性も持っている。
室内空気との温湿度のマイルドな「応答」がなされるのですね。
この素材で建築駆体を構成すれば容易に「気密化」施工ができる。
その外側で断熱層を設ければ理想的な「外断熱」構造が出来上がる。
室内側での暖房熱の保温性に優れた空間を構成することが容易。
構造としてはコンクリートブロック内部の中空部分に鉄筋を通すことで
コンクリート建築並みの長期的強靱姓を担保しうる。
同時代に展開していた安藤忠雄・無断熱コンクリート住宅の
過酷な室内環境に対してはるかな環境性能的優位性がある。
また、意匠的にもたいへん愛着を持てる建築だと思う。
当社建築でも築27年目ですが、経年劣化はほとんど見られない。
開口部には、当時の最先端木製3重ガラス入りサッシを入れた。
スウェーデンからコンテナで直輸入して使った窓は、
いまでもほとんど劣化は見られない。
建築当時に考えていた通りの長期的耐久性を見せてくれている。
適切なメンテナンスをして行けば、百年寿命もクリアすると思われる。
外断熱のその外側外皮は、当時の最新素材、ガルバリウム鋼板角波と
1/3程度の外壁には本煉瓦1丁積みを施工した。
これは煉瓦を正しく水平垂直に単純に積み上げていく仕様で、
施工技量がもっとも端的に表現される技法だった。
ブロック積みとも合わせて施工いただいた畠山レンガさんには
すばらしい仕事をしていただいたと今でも感謝している。社長さんが
ブロックとレンガの積み上げぶりを確認していた姿が忘れられない。
このような建築なのでなんとか「活かして存続させていきたい」と考えた。
北海道内で建てられたコンクリートブロック外断熱の建物は、
その後の在来工法木造技術の発展もあり、施工の難度もあって
徐々に建築棟数が少なくなっているし、代替わりもあって、
取り壊される事例も増えてきているのが現状なのですね。
この貴重な「北海道遺産」とも思える建築工法を遺していくことは
わたしたち年代の役割でもあるのではと思っている次第です。
きのうはそんな思いをスタッフに話すことができて楽しかった。
あ、写真の手前の「蓄熱暖房」は東大・前真之准教授から
繰り返し「口撃」を受けている(笑)ものであります。
こうした設備についてはそういった指摘を踏まえて柔軟に対応し、
今回の改造で撤去したいと考えています。
ただ、これもこれで「北海道遺産」でもあろうと思いますので、
どのように「再生活用」が可能か、考えているところであります。
前先生からもぜひ、お知恵をお借りしたいと考えています(笑)。
Posted on 1月 10th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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