一昨日のわたしのブログについて小山ZEH協議会代表理事とも意見交換。
氏の誠実で熱意あふれるこうした対応には深く共感するものです。
で、わたしはセミナーで一般質疑がなかったことをも書いたのですが、
実はキックオフセミナーではいくつか、知りたい情報がスルーされていたのです。
そのなかで、わたし的に一番興味深かったのは、早稲田大学・田辺教授から
「発表されているデータでは日本は暖房エネルギーが少ないことになっているが、
どうも“家電”エネルギー消費のなかに電気暖房が含まれているのではないか」
というきわめて重大な指摘がされていたのであります。
このことについては、上のようなデータがよく示され続けてきていた。
国交省などでの住宅省エネ論議のベースになっていたデータで、
日本はドイツなどと比べて「暖房」エネルギー消費が圧倒的に少ない、
人口規模で8割近い「温暖地域」において(図の一番下の棒グラフ)見れば、
ほとんど「暖房エネルギー」消費はそもそも極小であり、
そういう意味ではすでに省エネ先進国なのだ、という論拠になってきた。
「だから」暖房エネルギー削減の「断熱重視」だけではダメで
総体としての「エネルギー削減」には設備導入、
創エネ・太陽光発電によるトータルな省エネが不可欠だと説明されてきた。
で、われわれ寒冷地域の人間は、そうか、そんなに違うのかと
国全体論議としての前提条件としてこれを受け入れてきていた。
しかし田辺教授からは「家電」とは「コンセント電力利用」ということであり、
その内容の「用途分析」は実は行われていないという指摘があったのです。
たしかに技術的にコンセント電力を仕分けするのは、
難しいだろうことは理解出来るのですが、
まさか国レベルの「省エネ」論議の土台としてそうした検証が
まさか、行われていませんでしたということはにわかには信じられなかった。
考えてみれば温暖地域の住宅では確かに暖房という概念自体がない。
北国では当たり前の設備的工夫、インテリアの条件としての暖房設備がない。
寒冷地では利用エネルギーもほかの家電などとはまったく別系統のものとして
一般ユーザーレベルで、仕分けがなされている。
そうかと、彼我の距離感をそのように受け止めてきていたのですが、
そういう温暖地での部分間歇暖房の最重要熱源が電気ヒーターだろうことは
誰にでもカンタンに推測がつくものと思われる。
しかし温暖地住宅研究者でありかつ国レベルのこうした調査データにも
関与する立場である早稲田大学の田辺教授からのそうした指摘。
「これは質問したい、ホント?」と率直に思った次第なのです。
それじゃぁそもそも前提条件が違うじゃないですか、という気分だった。
部分間歇暖房地域に於いて、電気ヒーター電力が「家電」に仕分けされるのでは、
そもそも論議の基本自体が成り立たないではないか、
そのように大きな疑問が生まれていたのです。
こういうエネルギー削減には設備の導入こそが効果的だとされてきていた。
暖房エネルギーへの錯視があるのでは、正確な論議ができない。
ちょっと看過できないと思っていました。みなさんどうお考えでしょうか?
<図は早稲田大学田辺教授のプレゼン画面ショット>
Posted on 7月 31st, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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