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【3万年前からの利用痕跡〜北海道白滝の黒曜石】



連休を利用しての遠出。きのうはずっと関心を持っていた、
石器時代から稀有の「黒曜石」産地として知られている北海道白滝探訪です。
白滝の黒曜石は、サハリン南部での遺跡でも発掘されたり、
新潟県でも発見されたりしている。石器時代の人類交易を物語るものとして
しばしば、考古や歴史のなかで大きなインパクトを持つ地名。
以下に、黒曜石の要旨をWikkipedia等から抜粋します。
〜黒曜石というのは、動物をハンティングするときにトドメを刺す決定的要素道具。
火成岩の一種。黒緑色でガラス質。割れ目は貝がら状。装飾用・印材・文鎮などにする。
石器時代には、やじり・刃物などの材料にした。
刃物として使える鋭さを持つ黒曜石は、金属器を持たない民にとって重要な資源であった。
現にヨーロッパ人の来訪まで鉄を持たずに文明を発展させた南アメリカは、
15世紀頃まで黒曜石を使用していた。メキシコのアステカ文明などでは
マカナなどの武器を作り、人身御供で生贄の身体に使う祭祀用ナイフもつくっていた。
一説にはアステカが強大な軍事力で周辺部族を征服し帝国を作れたのは、
この黒曜石の鉱脈を豊富に掌握していたからだともいう。〜

で、北海道産出のなかでもチョー有名な白滝の黒曜石について
一度、その様子を知りたいと思っていたのです。
おおむね30,000年ほどの黒曜石利用痕跡が確認できるのだそうです。
この白滝のジオパークは、オホーツク方面と旭川道央を結ぶ高規格道路の
工事の結果、たくさんの考古出土があって、一気に解析が進んだということ。
皮肉ですが、そういう自然破壊があらたな知見を掘り起こしてもくれる。
興味深い展示施設でさらに学芸員で所長の松村愉文さんからお話しを伺ったりと
まことに充実した見学をすることができました。感謝。

わたしが一番興味深いと思っているのは、この白滝産の黒曜石が
遠隔地まで運ばれている事実と、その方法・手段について。
石器時代には、それこそ生活に必要なほとんどのものが石でまかなわれた。
動物を捕らえる最後の決め手は、この黒曜石の鋭利さだったでしょう。
また、その獲物から肉を削いで皮革を利用するにも、
切断や刮ぎ取るなどの利器として、黒曜石は決定的だった。
そういう道具についての繊細な感性を石器時代のひとびとは持っていただろう。
だからこそ、この白滝の石が遠くまで運ばれて、交換された。
来て見ると、やはり地形的にオホーツク海にそそぐ湧別川が流れている。
この川流域からは点々と黒曜石の摩耗石が見られることから、
自然観察が生存の大きな部分であった石器時代人には容易に黒曜石産地として
この地域が特定され得ただろうとのこと。
いまのような温暖期ではない石器時代には、この周辺には森林はまばらで、
容易に黒曜石「露頭」も視認できただろうとされていました。
さらにこの地から同じように川を伝って、内陸部、十勝方面へも
交通ルートがあったと想定されている。
この地にはサハリン方面から進出してきた狩猟採集民、オホーツク文化人も
その道具として黒曜石を採掘していたとも推定される。
基本的には「遊動」が行動原理であった時代の人々にとって、
広域的に狩猟して回ることは、ライフスタイルでもあったのでしょう。
まことに興味の尽きない、雄大な時間を超えたジオパーク見学でした。

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