さて国交省平成25年度住宅購入者調査データ分析のつづきです。
先日来、このページで探求してきたように
日本では「注文戸建て」が住宅市場のメインを構成しているので、
諸外国と比較して「住宅会社選択」のウェートが非常に高い。
ちなみにアメリカでの「住宅購入の流れ」をみると、
日本とは市場構造自体が違うことがよくわかる。
アメリカでのマイホーム購入までのプロセスは以下のようになっている。
アメリカでのマイホーム購入までのプロセス
より要旨を抜粋してみました。
1. 不動産エージェントを決める
物件の案内から売買交渉、登記の手続きまで、買い手側の立場でサポートしてくれる、州の不動産ライセンスを持つエージェントを決める。
2. 住宅ローンの金額設定&ローンの検討
ローン手続きをしてくれるローン・オフィサーに、毎月の支払可能額を見積もってもらう。どの程度の価格の家を購入できるかがわかる。
3. 物件を見る
現在市場に売り出されている物件をエージェントを通して見せてもらう。
物件内容と周辺の環境や学区、交通の便、価格などを比較する。
4. 売買契約&構造検査(インスペクション)
買いたい家が決まったら、希望価格など条件事項を記入した売買契約書をエージェントに作成してもらい、交渉開始。マーケットが活発な時は、構造検査(Inspection)をする条件をつけると、購入のチャンスを逃すことも多々あるが、基本的には売買契約の1プロセスとして、構造検査を行うようにしたい。
というような流れになっている(以降の手続き過程は省略)。
まずは、住宅購入というのは専門的知見を持つ必要があるのだと
最初の段階で、社会的に制度設計されていることに気付きます。
「不動産エージェント」という存在。
売買代金の2〜4%程度の報酬で、買い主に専門知識を提供する
代理人(エージェント)を、購入者が雇うことから始まる。
日本人の土地付き住宅購入(建築)金額に当てはめて考えると、
総額3,000万円だとすれば、60〜120万円の報酬を払うことになる。
アメリカの場合、というか、世界的には注文戸建てという購入は
きわめてレアケースであり住宅は「実物を見て選ぶ」のが基本。
建て売り新築でも中古でも基本はそうなっている。
注文戸建ての住宅会社の選択を最初にする日本と、
明らかだと思うけれど、合理性はどっちの方にあるのだろうか?
見方によっては日本での住宅購入(建築)でも、住宅会社が
アメリカの「不動産エージェント」の機能・役割をも一部、果たしている
というようにも言えるのかも知れない。
ただし、それはあくまで、オマケのような機能でしかない。
その機能性はきわめて「あいまい」だと言える。
その日本での「会社選び」の選択手法は、図のようになっている。
これをよく検討すると、端的に言って日本では「広告への価値判断」を
消費者に強いていると言えるかも知れない。
モデルハウスにしろ、インターネットにしろ新聞チラシにしろ、
これらはまさに「広告表現」そのものではないだろうか。
こういう産業構造の中では、
できるだけ「不動産エージェント」に近い情報提供を心がけること、
そういった情報提供姿勢が求められるのではないか。
少なくとも「実例住宅の情報」こそが、ユーザーにとって
もっとも不可欠なのではないかと思っています。
地域工務店・建築家の立場に沿って考えてみれば
もっとも小資本で可能な情報提供の王道は、そうなると思います。
Posted on 5月 6th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: リプラン&事業
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.