先日のカナダアルバータ州のセミナーでの一コマ。
どうもこういう「古民家」写真には強く惹かれてしまう(笑)。
かれら州政府の役人さんたちや、貿易関係者の思惑とは離れて
同時代性や、同質性をそこに見る思いが迫ってくるのですね。
一番上の写真は、幌馬車に乗ってこの地にたどりついた人たちが
はじめて夜露をしのぐのに建てたテントハウス。
先住民のインディアンが建てていた住居を真似て建てたということ。
しかし、動物の毛皮の表皮をかぶせる柱の建て方が悪くて
ちょっとした風雨で倒れたりしたのだそうです。
なんとなくユーモラスだけれど、身につまされるお話し。
こんな幌馬車の写真は、われわれは西部劇ドラマで見るわけですが、
かれらにとっては、リスペクトすべき先人たちの苦闘であるのですね。
新大陸に夢を追って上陸し、そして自らの自立できる土地を
求めてはるばると東海岸から、西部を目指して行った。
その後、しばらくするといろいろな素材を使った住宅への
チャレンジがはじめられる。
上の写真は「藁の家」。
わらを建材として利用するのに、固く押し固めて
ひとつのブロックを作って、その表皮に土を塗る工法です。
こういった工法の家づくり、かれらアングロサクソン民族に
普遍的な家づくりのスタイルであったのかどうか、
非常に興味を惹かれます。
一度旭川近郊で北米からの移住者の家で見たことがある。
けっこうな温熱空間になっていて、
藁の断熱性能を思い知らされた経験があります。
まぁ、日本の古民家の藁の屋根を見続けていれば、
その同質性に、思わず強いシンパシーを感じます。
その下には、「丸太小屋」ログハウス。
不揃いな木材を並べて壁を構成して、そのすき間に土を塗った。
これも日本の古民家の湾曲を見せる梁や柱を想起する。
あるいは、土壁の壁などにも通じると思います。
こうした原初的な家づくりが一般的だったというのは、
140年前の北海道の状況と比較して、
まことに類似性を強く感じさせられます。
一気に強いフレンドシップを感じるとともに、
現代、われわれが追求している寒冷気候の克服ということは、
実は強い同時代姓を持って世界各地で進行しつつあることなのだと
あらためて強く胸に迫ってくるものがありました。
Posted on 11月 29th, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 古民家シリーズ, 海外住宅事情
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