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旗地への導入装置

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写真は、鎌倉の鶴岡八幡宮への裏参道に面していたそば屋さんです。
旧市街地らしく、この裏参道では間口が狭く、
奥行きが長い、いわゆる「町家」形式の土地割りになっている。
こういう土地割りでは、やむなく「旗地」といわれるタイプが登場する。
広めの敷地を確保しようとしたら、
どうしても間口を犠牲にして、
通りから離れた奥に敷地を確保することになる。
必然的に長い通路専用の細長い土地が出来上がる。
で、商売をやろうと考えたら、
どうやってひとを、「その気にさせて」引き込んでくるか、
が、勝負の分かれ目になる。
というような興味を持って、この敷地割りを見ていました。
まず、出入り口にはわざわざ、木の門を設けて、
床も結界を表すように、大谷石のような独特の風合いの石を敷き込む。
そこから、まっすぐに白茶けた土の踏み込まれた道。
素材はなんでしょうか、たぶん、吸湿性がよくてドロドロになりにくい
そんな種類の土なんだろうと想像される土でしょうね。
あんまり見ることのない種類だなぁとは思われました。
この石と土の色と風合いのコントラストがなかなかいい。
で、それを際だたせるように、
右側には低く刈り込まれた垣根植栽。
左側には、変化を付けるかのようにところどころ、高い植栽。
右側の壁は、隣地との境界の板塀。
まぁ、これもいろいろなデザインの組み上げ方で
目に印象的なように造作されている。
一方左側は、隣地の店舗の壁やらを表していて、
変化に富んでいる。
土と植栽の境界には丸太が使われていて、これも
「ん、あれ、なんだろう?」と思わせるには効果的。
門の上部には鄙びた電球照明がしつらえられて、
暗い背景の中で、効果的なあんどん効果。
っていうような導入装置が工夫されていました。
正直に言って、
通り過ぎようとは思ったのですが、
一度、振り向いて、寄らずに行こうと思ったのですが、
やはり、そこはかとなく心が誘惑されて、
戻って、この道を踏みしめて中に入っていった次第。
門の前には、お品書きもあって、そば店であることはわかりました。
さて、繁盛しているのかなぁ、という興味ですね。
で、これがみごとな高級そば店としてにぎわっている。
まぁ、味はこの場合、興味の外でして、
建物をしげしげと観察させられました。
これもやはり、茶室があるなど、
結構な構えでして、ふむふむと納得させられました。
こういうところに、
時間を掛けて工夫を重ねてきた部分が感じられて、
いわば、日本の、というか「内地」の建築文化の奥行きを感じさせられるわけですね。
昼時、一本取られた思いをしながら、のど越しの良さを楽しんだ時間でした。
北のくらしデザインセンター
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