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高田屋嘉兵衛と加藤・前産経ソウル支局長

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産経の前・ソウル支局長さん、8日についに刑事訴追された。
今回の訴追事案については、
女性の独身大統領に対して男性関係を想起させるような
そういった表現は慎重さは求められるところだろうが、
しかし、それは韓国を揺るがせた船舶沈没事件当日での
大統領の所在問題追求という報道趣旨の文脈からの流れであり、
どう考えても報道の重大関心事にはなる。
しかもその記事の取材情報源は、すべて韓国国内報道によるものだという
立脚点からすると、韓国政府さらには司法の対応は常軌を逸している。
しかも同趣旨の記事を書いた韓国の記者・新聞社には
今回の立件にあたっての事情聴取的なことだけにとどまっている。
しかもかれに対する「出国禁止処分」はすでに2カ月を過ぎており
この事実上の自由拘束は、あきらかに人権問題でもある。
公人中の公人である大統領は、たとえ独身女性であるからと言って、
プライバシー侵害云々ということが言える道理はない。
その独身女性は、このように権力行使を行いうる存在であるのだ。
一般的に民主主義国家での権力者には、
そんなプライバシー概念は存在しないだろう。
クリントンさんの女性関係事件の顛末を見れば、これは明白だ。
あのときの最大被害者であるヒラリーの受忍は、
その後の彼女の国民的人気の源泉にもなっていると思う。
民主主義においては、こういうことにおいても性差は無関係であるべきだ。
こういった経緯を見れば、今回の事件はあきらかに、
反韓国的な報道を続けてきている産経新聞を標的にした
言論弾圧であるということはいえる。
すでに産経新聞には、他の報道各社とは比較にならないほどの
「出入り禁止」などの弾圧も加えられてきていたという。
好都合な記事を書いてくれる朝日などのメディアに対しては
さまざまなプレゼント攻勢がある一方で
産経新聞に対しては、そのように取材制限圧力を加えておいて、
韓国国内報道を根拠に書いたウェブサイト記事について
弾圧を加えるというのは、民主主義国家としての自らの立場の放棄だ。
反日は正義で、こういう行為すら正当だと言い張るのか。
まことに恥ずべき国家存在だと思う。

このような流れで来ている事件だけれど、
加藤・前産経支局長には、ぜひ、江戸末期の高田屋嘉兵衛の故事を
想起した身の処し方を期待したい。
かれ個人は、まさに人権的な侵害を受けている現状ではあるけれど、
この事件を奇貨として活かして欲しいと念願する。
江戸末期、日本とロシアとは緊張した国家関係にあった。
そういうなかで「ゴローニン事件」という
相互誤解に起因するロシア人拘留事件が起こり
それへの対抗的なロシア側による日本人拘束事件も起こった。
その渦に巻き込まれて拘束されたのが高田屋嘉兵衛さんだった。
この事件については、司馬遼太郎さんの「菜の花の沖」を読んで欲しいが、
ここで高田屋嘉兵衛さんは、この事件を逆に活かして
日ロ国家関係の正常化を一民間人として決意し、やり遂げたのだ。
いま、加藤・前産経支局長は個人として
まことに理不尽な境遇に置かれたけれど
しかし逆に言えば、韓国という国家は、産経新聞という
日本社会のなかで存在基盤をしっかり持ったメディアと
法と正義という舞台で、正面から論議しなければならなくなったのだ。
考えてみれば、これは高田屋嘉兵衛さんの故事を超える状況かも知れない。
日本と韓国という隣国関係において、時代を画する裁判になる可能性が高い。
加藤さんのインタビューを見ると、かれの戦闘意欲は大変に高い。
普遍的な民主国家の基本である報道の自由という旗で戦えばいい。
朴槿恵政権は、たいへんな敵をかかえ、国際社会のまともな正視の機会を
自ら作りだしてしまったとも言えるのだ。
願わくば、加藤さんには大局感を持ち日韓関係正常化への努力を期待したい。
大いに注視していきたいと思います。

写真は神奈川県横浜鶴見にあるサムスンの工場建物を背景にした朝焼け。

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