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伝統木造と高断熱の出会い

1881

きのうは北海道の工務店グループの会合での松井郁夫さんの講演。
北海道では基本的に高断熱高気密住宅であることは
基本前提であるワケですが、
いろいろな思いがあって、そういったグループの会合で
ぜひ伝統木造構法についての論議を、刺激としてしたかった。

松井さんは建築の世界で伝統木造構法についての
ある意味ではオーソリティーと言える存在。
わたしとは、福島の災害復興のための施設建設取材を契機に知り合いました。
わたし自身も、高断熱高気密が基本認識ではありますが、
松井さんと知り合って、民族の知恵としての伝統木造構法を認識し、
その考えの真髄を知るにつれ、
いわば、魂の部分で共感できるものを感じさせられた次第。
そういった意味で、伝統木造構法には民族の深い知恵が内在していると思います。
松井さんは福井県で生まれ、東京芸大卒業後、建築設計の世界に入られ、
一貫して伝統大工技術について研究を深めてきた。
その成果を発表されて、国の施策立案に当たっての
伝統木造構法側の立場からの意見をさまざまに具申され続けてきました。
きのうは、高断熱高気密の工務店・設計者を相手に
1時間半にわたって、伝統木造構法への熱い情熱を聞かせていただけました。
いわゆる「在来工法」というように、日本の住宅工法は言われるわけですが
これは、その定義が非常に混乱している。
こういった経緯については、室蘭工大の鎌田紀彦先生の恩師である
東大工学部名誉教授の内田祥哉先生からも経緯としてご教授いただき
わたし自身は理解しているのですが、
戦後以降、大量生産を旨として作られた技術仕様基準としての
「在来木造構法」は、たいへん「新しい」技術というか、不完全な技術体系。
日本の木造技術には、そういった問題があるのだということの啓蒙も
北海道などでは、ごく一部でしか知られていない。

こんな思いがあって、
北海道のみなさんに、松井さんの主張を知って欲しかったのですね。
それがどんな化学反応に至るのかどうか、は
これからの展開を見ていくしかないわけですが、
しかし、ある部分では強い波動として伝わったモノがあると思います。
松井さんは、きのうの講演後、トンボ帰りで
東京での日本建築学会のセミナーに出席されると言うことで
女満別空港から帰って行かれましたが。
その東京の会合では今度は、北総研の鈴木大隆さんという
それこそ北海道の高断熱高気密の技術体系をもって
日本の住宅政策推進において省エネを進めるのに
重要な位置を占めている方とも意見交換されるということ。
そういった意味で、この出会いは鈴木さんへの勝手連的な側面応援にもなる(笑)。
松井さんは伝統工法のみなさんの中で一番の、温熱環境重視派。
伝統工法の良さを、新しい時代に即して引き継いでいくのに
このような民間的な動きは、きっと意味があるのではないかと思っています。
松井さん、ありがとうございました。

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