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囲炉裏端の換気口

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写真はある関東地方の古民家の様子。
古い家って、いわゆる「性能」的なものは考慮されていないのではないか、
というような誤解があると思うのですが、
いろいろ見れば見るほど、
実に「性能的要件」に立ち向かっているのが実感できるもの。
この古民家では、いわば「食堂」的なスペースの
囲炉裏の横に、竹組みの竹だけが表された開口部、窓があって
煮炊きする薪などの燃焼時に必要な新鮮空気が
室内に導入されるようになっていました。
で、ここで発生する上昇気流は
屋根頂部の三角の窓から外部に排出されるように工夫されています。
きのうは最新の窓のサッシの納め方を写真で見ましたが、
現代では工業の発達で窓も実に工夫されて簡易に装置できるのですが、
古民家が建築された年代にはもちろんそういう技術はないわけで、
窓を開けるというのは、実に大変だったろうと推測できます。
この家では壁が土壁で仕上げられていますが、
土壁で仕上げるためには、竹などを組み合わせて壁下地を造作しなければなりません。
で、その下地に対して土を塗り重ねていくことになります。
そのときに、何段階かのプロセスで、窓を造作するスペースは、
他の壁面とは全然違う仕上げをしなければなりません。
現代では、そのあたり、まったく簡易にできるのですが、
比較すると、実に複雑な手順の作業になると思われます。
それで、冬の寒さのこともあり、また換気の機能を果たすに足る大きさというのも
考えながら、過不足のない窓を作っていかなければならない。
こういう仕事、なかなかできるようで難しいものだろうと思われます。
現代の家でも、たとえば薪ストーブなども
煙の道を上手に通してやるというのは、案外難しい作業なんですね。
そういうことでのトラブルなんかも多いもの。
そんなことを考えさせられた事例だったのです。
住宅の性能ということを考えることが多いのですが、
先人のみなさんのこういう知恵に出会うと、
実に多くのことを考えさせられるというのが実感なんですね。
まぁ、人間がやっていることなので、
結局はその時代その時代で、条件ややり方は変わっても
本質的な部分で向き合うテーマというのは同じことになる、ということなのでしょう。
家を見るたのしさが倍増するような瞬間ともいえます。
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