東京に行くと、どうしても心惹かれるのが
有楽町や新橋界隈のサラリーマン文化を象徴するような「焼き鳥屋」街。
串焼きの肉料理というのは、世界中、どこでも普遍的に存在はするでしょうが
その「付け合わせ」に、「会社の愚痴」が入っていることで、
日本の「文化」に昇華しているのではないかと思っています。
大体、こんな写真のような雰囲気でして、
店舗脇に積み上げられたビールケースの
主な使用途は、ビール収納ではなく即席椅子なんですね。
客が混み合ってくると、遠慮なく道路にビールケース客席が進出し、
店舗面積が拡張していく。
日本人らしい「融通無碍」さが全面展開している様は、
毎日お祭り騒ぎが行われているようで、エネルギーが充満している。
この界隈には会社事務所が集中し、
すぐ電車に乗って家に帰られる安堵感と、
会社のきつい仕事の疲れをいっとき癒したいという気分が
焼き鳥のうまそうな煙がたちのぼって充満する。
で、会社帰りなので、
日本的生産手段直結の会社=家意識の中で
上司への悪口罵詈雑言が徐々に飛び出すようになると、
独特の「日本的会社社会・愚痴のはけ口」文化が全面展開するのですね。
日本人(男性)はずっと歴史的に、生産手段共同体内部での生き方が
DNAに刷り込まれてきていると思います。
で、そういったなかでの「愚痴のはけ口」というものは、
きわめて有効に働いてきた。
ムラ社会では、共有空間としての神社や寺社境内空間が
そういった役割を果たしたに違いなく、
その「祭り」は、愚痴を昇華させる最大機会だったに違いない。
こうした焼き鳥屋空間を見ていると、
そのような「百姓一揆」的な,アジール的な雰囲気を醸し出している。
どうしてこんな光景に強く惹かれる自分がいるのか、
不思議になるほど、こういう空間が大好きであります。
ことし、富士山が世界遺産に登録されましたが、
であれば、月見草は、こういう猥雑性がたっぷりとこもった場所こそが、
次の日本文化の「世界遺産候補」にふさわしいのではないか。
そんな妄想に駆られ続けております(笑)。
Posted on 7月 7th, 2013 by 三木 奎吾
Filed under: 日本社会・文化研究
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