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煉瓦外壁の「白華」

わが家は、外壁に煉瓦を使っています。
構造をコンクリートブロックで作り、その外側には
断熱材を施工する「外断熱」を行って、
その断熱材を保護するように、もう1層の「外皮」が必要になる。
断熱的に言えば、それは断熱材を保護する意味合いが強く、
どんな外壁層でもいいということで、
じゃぁ、なんにしようか、と話していって、
設計者と意気投合したのが、煉瓦で外装するということだった。
北海道で建てる家であれば、その地域らしさということは
無意識であっても,当然考える。
そんな思いを表現するとすれば、素材はやはり煉瓦になる。
でも、施工費用はどうしても高くなる。
本当に使えるのか、なんとかなるでしょう、ということで踏み切った。
ただ、全面はやはり費用的に無理だし、
デザイン的にも,もう少し軽い素材とのコンビネーションで考えた方が
面白い効果が出るのではないかと考え、
当時きわめて珍しかったガルバリウム鋼板と、木張りの3種類の
合わせ技とすることにした。
で、「本煉瓦一丁積み」という手法で家の一部を包み込んだ。
建物正面側ばかりでなく、裏側にもしっかり積み上げることにした。
ふだん、人目につくことはないけれど、
そういう部分こそ、本物を使おうということになった。
いま考えてみると、そのあとの人生の過ごし方で、
その新築の時に決めたようなことって、
示唆的であったのかも知れないと気付くことがある。
きっと「こうしよう」と決めたことって、
その内容は、その人間の正直な気持ちに内発しているということなのでしょう。
いまでも、この煉瓦外壁には深く愛着を持っている。

そんな機縁だったのですが、
建ててから22年のことしも、ごらんのような白華が出ている。
気付いてみていただければいいのですが、
北海道庁旧庁舎、通称赤煉瓦庁舎でも、建築後130年近いと思うのですが、
いまでもこの白華が見られます。Wikipediaで見ると

白華(はっか)とは、コンクリートやモルタルの表面部分に浮き出る白い生成物のことである。これが浮き上がる現象を白華現象(エフロレッセンス[英]efflorescence)という。
コンクリート内部(表層部)に侵入した水分が、蒸発する際に石灰分などの可溶成分とともに表面に染み出し固まる(一次白華)、もしくは空気中の二酸化炭素と反応して固まる(二次白華)ことによる。
白華現象は、コンクリートが固化する際の水分量、骨材、混和剤など多様な原因が関与して発生するものと考えられている。

ということであります。
人によっては、嫌がったりされる方もいるようですが、
煉瓦という素材が本物である証明のような気がして、
わたしはむしろ好きです。
毎年、いろいろな部位に出てきて、まぁ、楽しい。
「えくぼ」のようなもの。
結局、素材は呼吸するように生きているのでしょう。
それを全的に支配しようと考えるのではなく、
対話しながら、その暴れん坊な個性を愛でる、というようなことでしょうか。
連日に渡った大雪かきの合間に、
ふと見上げて、ことしもこんなふうに出ている白華を
ニコニコと、眺めております。

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