仏国寺の殿舎群のなかで意匠的に初めて見たようなのが、こちら。
写真では上矢印をマークしましたが、どうも不明であります。
意匠的にかなり明確な意図を感じさせられるものであり、
注意してみたらほかの韓国国内の旧跡建築では霊廟建築にみる気がします。
2枚目の写真は仏国寺の山門ですが、こちらでもこの意匠が見られる。
機能性として考えると妻面は屋根から基壇まで
壁面がのっぺりと剥き出しになるのでその外壁面の汚損への回避策か。
壁と屋根面の接点の雨水防御性はデリケートではあるので、
それへの重厚な予防作戦であるのでしょうか。
切妻という屋根の掛け方はそれこそ人類普遍的なものだと思いますが、
韓国朝鮮でだけこういった意匠が好まれたのでしょうか。
そして気付いたのは霊廟的目的の建築に多いのにはどういう意味があるのか。
直接関係があるかどうか不明だけれど、
韓国では「泣き女」というほぼ典型的な社会的役割として
盛大に葬儀でその悲しみを最大化する存在があるとされている。
民族的に独特な鎮魂への感受性があるのだと思うけれど、
そういったコンテキストが社会的に存在している可能性も感じられる。
建築意匠としては屋根面から一定の高さで楕円状に切りそろえられている。
屋根頂部からちょうど扇を開いたようなフォルム。
外形的には反対側の壁面にも左右同一で仕上げられている。
殿舎には羅漢殿という建築名称の掲額がある。
羅漢とは悟りを開いた高僧のこと。
サンスクリットのアルハンの音訳を阿羅漢として略称にしたものが羅漢です。
釈迦の直弟子のうちでも位の高いものは阿羅漢で弟子の中でも最高の階位。
羅漢とは煩悩をすべてなくした人のことで、小乗の悟りを得た聖者のこと。
また大乗仏教では小乗の修行者という意味で否定的に使うこともある。
・・・というようなことですが、一般的仏教名称。
この意味合いと建築意匠との連関性は不明であります。
もし読者の方で情報をお持ちの方は教えてください、よろしくお願いします。
う〜む、気になってよく眠れない・・・。
切妻とか建築専門用語の英訳、難しいので翻訳はありません、悪しからず。
Posted on 9月 16th, 2021 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 海外住宅事情
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