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【失われた北国住宅インテリア〜ストーブ炉台】


日曜日にはあちこち、札幌近郊の長沼や由仁などを逍遙していました。
カミさんのこういった探訪のコツは、
よさげなスポットを見つけたら、そこに置いてあるパンフ類を見て
次々と巡ってみるという行動スタイルなんだそうです。
で、昨日紹介した長沼のうどん店「ほくほく庵」に置いてあったヤツを見て
探訪をはじめて見た次第です。
こちらは長沼のとなりの由仁町でみかけた古い教会改装の店舗内部なんですが、
わたし的にハマっていたのが、ごらんの石油ストーブの「炉台」です。

北海道では暖房は不可欠なインテリア装置。
で、暖房機の変遷にあわせて目にするインテリア装置も変わってきた。
いまではエアコンも大きな潮流になって来ましたが、
エアコンの場合には、その周辺的な空間装飾装置はあんまり考えられない。
通常の壁付けタイプでは、ただ設置して終わりでしょう。
また、輻射熱タイプの温水循環暖房では、そのパネル自体のカタチや色、
デザイン性は取り上げられるけれど、いずれにせよ工場生産品としての趣向性。
床下設置型で一部が1階に露出しているエアコン暖房で、
その目隠しとして木製の囲いが考えられる程度。
暖房の「インテリア性」は、捨象されてきたのが流れでしょう。
そういう目線で、「そういえば」と気付かされたのがこの「炉台」です。
っていうか、なんと呼ぶのかしばらく忘れていてようやく思い起こした。
最近の薪ストーブなどでは「敷板」というように言われて、
それもほぼ金属プレートが想定されている。
北海道の1時代前の開放型暖房器具の周辺には、こういうインテリアが存在した。

機能としては、炉台とは遮熱壁の役目。
炉台は設置場所下部にある合板や根太などの可燃物の低温度炭化を防ぎ、
ストーブ直下への輻射熱や薪ストーブの4本の脚からの熱伝導を炉台全体に分散。
また、石炭ストーブなどで石炭ををくべるためドアを開いたときに
焚いている炎がはせて床などに飛び散っても焦がさないような役目の他、
溜まった灰を灰取バケツなどに移す場合、バケツの下が可燃物の床板などでは
灰が熱い時には同じように焦げるので床に不燃物の炉台が必要になってくる。
〜っていうことですが、まぁこういう機能は今の暖房には不用になった。
しかしこうして不意を突かれてみせられると、
この炉台にはタイルが貼り込まれていて、しかもそれがデザイン的に
いろいろな意匠性をたたえている。
炎の美しさ、暖かさをいっそうに引き立てようという職人仕事。
そうか、昔はこういう手仕事に包まれた空間を北海道の家は持っていた、
そういうことに気付きが得られたのであります。
手仕事はやはりなにか、メッセージ力を持っていますね。

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