写真は江戸期から続くある宿場町の町割の様子。
航空写真と、マップです。
日本の都市計画は、京都の町割りが基本になって、
間口が狭く、奥行きが長い「町家」形式の住居形式が
都市住宅の基本プランになっていました。
そういう形式が、独特の日本的な情感を育ててきた部分があると思います。
隣家と壁一枚を隔てて、場合によっては「共有」して
生活していくことから、「他者を思いやる」
「他人に迷惑を掛けない」というような隣人関係についてのマナーが
育っていた部分があったと思います。
それが子育て上でも、しつけの基本を構成していた部分もある。
作法やマナーの多くで、こういう住居構造が預かっている部分は多いと思います。
こういう町割りでは、公共的な部分としての道路の面積が少なくて済む。
道路が1本あれば、町を構成することが出来る。
ただし、これがすべて木造で造られれば、
瞬く間に火が回って、防火対策上は難しくなる。
また、言うまでもなく、クルマ社会的には対応がきわめて難しくなる。
このようなメリット、デメリットがあるわけですが、
戦後以降、現在の町割りでは、こういう形式が取られることはない。
都市集住という意味では、こういう町家住居に一番近いと思われるのは
マンションではないかと思うのですが、
住み方のエチケットについて、こういう町家の知恵は顧みられることがない。
木造か、コンクリートか、の違いが決定的なのか、
それほどマナーというものに価値観を誰も見いださないようです。
いや、初期のマンションにはそれなりの「常識」が生きていたけれど、
日本人の常識の方が、時代とともに変化してしまったのか、
今日の「隣人騒音問題」に、この生活倫理問題が集約されている気がします。
どんどん進展する個人主義が
社会的制約との間で、緊張関係が高まってきて、
人口都市集中の進展とあいまって、
極限化してきているのかも知れません。
どちらのほうが、「文化的」な暮らし方」であるのか、
もうちょっと時間が経過しないと、
評価は難しいのではないかと、思われてなりません。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 1月 6th, 2009 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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