きのうは仙台に移動して、東北フォーラムの年次総会に出席。
慶応大学の伊香賀先生の最新・健康住宅の知見を受講していました。
その講演の最後で若干触れられていましたが、
国交省の健康=断熱改修支援補助事業、あまりはかばかしくない状況とのこと。
このままでは、多くの予算が未消化のままに終わってしまう可能性があるとか。
このキャンペーン、ほとんどタッチしていませんでしたが、
どうもユーザーへの訴求方法がずれているように思われます。
で、その後、参加者のみなさんと「意見交換会」。
各自の発表会を経て、懇親会でも活発な意見交換。
で、ある地域ビルダーさんから仙台地区のユーザー動向を聞きました。
北海道では大手ハウスメーカーに住宅を依頼する割合は
一般的に約3割で、7割は地元工務店に依頼する。
高級住宅の分野でも同様で、地域の作り手がユーザー選択に叶うように
企業の個性をアピールするマーケットの状況がある。
一方で宮城県地域では、この大手ハウスメーカー比率が
ぐんと大きくなっているといわれています。
あるユーザーと打合せを重ねてあとは契約を、という段階になって
団塊〜中高年の奥さんから、急に手をついて頭を下げられながら言われる。
「お宅の会社はいい会社だと言うことはよくわかるのだけれど、
知人たちにまったく知られていない会社には頼めない」
「せっかく家を建てるのに、変な会社だと自慢もできないワ」
「最低限、テレビ宣伝でもしているような会社でないと・・・」
と、面と向かって断られるケースを話されていた。
どうも現実の住宅ではなく、会社の「格付け」のような選択眼で
住宅の依頼先を選ぶという、まことに残念な状況があるのだという。
「宅は◎◎ホームでございますの、ホホホ」というような
「ミエ」最優先の住宅会社選びが現実にまかり通っているのだそうです。
住宅会社名ヒエラルキーが存在し、「選民」意識までがそこに見られる。
若い年代にはこういった選択眼はほぼないのだそうで、
団塊〜中高年みたいな年代層にそういった傾向が強いとされていた。
市場競争者としての、敗北感の行き場の無さに深く同情の念を禁じ得ません。
こういった傾向って、東京以外の関東広域でも見られるようで、
東京に通勤で通っている親世代には深くハウスメーカー信仰が強いけれど、
そのジュニアたちには、それぞれの地域への地元感が育っていて
かれらは地域の作り手のなかの「個性派」ビルダーへの選別眼が育っている。
団塊〜中高年世代にだけ、ハウスメーカー選民意識があるようです。
よくいわれる「支店経済」が支配的な宮城県では、こういった市場構造がある。
北海道札幌も同様に支店経済型ではあるのだけれど、
少しはフロンティア的な自立型の精神構造があるものかも知れません。
こういうユーザー心理。なかなか手強いものがあると思いました・・・。
Posted on 5月 20th, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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