北海道に明治期以降、移住してきた家系の多くがいま、3代目から4代目、5代目となってきています。
かれら初代のひとたちがもっとも苦しんだのが、冬の寒さだったことはいうまでもありません。 では最初の頃の家って、どんな家だったのか? なかなか具体的には表現できませんよね。
そんななかで、わたしの叔父が少年期をすごした家についてスケッチを描いてくれました。


人間って、イヤな記憶というのは時間の経過の中でおぼろになっていくものだそうですが、その言葉通り、叔父に聞くと牧歌的な田舎暮らしの中での、野山ですごした記憶が甘美に残っているようです。
しかし、冬のありようはやはりすさまじいものだったとか。わが家は、大正末年に広島県から移住してきたのですが、農地を買って農家になるのではなく、祖父は林業経営などを考えていたそうです。
家は、その出身地での家の建てられようを基本的に踏襲したもので、当然ながら夏の暑さ対策を旨とした温暖地仕様でした。しかし、入植した空知郡栗沢町は、雪の多い地域で、すっぽり家をおおう雪が断熱してくれる家で、ほかのたとえば十勝などの寒さとは比較にはならないレベルだったかも知れません。
それでも平気でマイナス20度は超すレベルだったでしょう。
平面図にある暖房はいろり。朝起きれば顔がこわばっている、室内においている水かめは毎朝、厚い氷を割ってから使うといった様子でした。ほんの80年前、わたしたちの家や暮らしはこんなものだったんです。
こんにち、北海道に暮らすすべての人たちの営為と努力の結果、一定のレベルの高断熱高気密住宅が達成されたことは日本全体にとっても、絶対に貴重な民族的経験だったのだと思います。
先人たちのくらしをしのびながら、この技術進歩をさらに進めていきたいと思います。
Posted on 8月 15th, 2005 by replanmin
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ことし、都市化の波の中で14年間という短い歴史だったわが母校の中学校同窓会の幹事でした。
私の役はまたもや編集長。で、景気も悪いし、広告をたくさん集めて会誌をつくるのはやめようとなり、かわりに出したアイデアが、「復元校区地図」。
街の記憶って、ほとんどがそこに存在した建物や住宅に負うところが大きいもの。
しかもわたしたちの札幌の街は、急激な人口増加で街中にあった母校や周辺は、住宅地からオフィス街などに変身した地域。そうした街の記憶を残して記録しておくことで、失われた青春のよすがをたどりたかったのです。
しかしいまから40年以上まえの「住宅地図」を探すのは大変で、作業はけっこう困難でした。
当初はゼンリンが頭にあったのですが、同社はまだ札幌に進出する前。そのかわり札幌市が住宅地図を作成していたという情報を聞きつけ、さっそく人づてで当たると「札幌市資料館」に一部存在との情報。
でも、年に1度づつ作成の資料も紛失がつづき、現在、該当する年代で存在するのは、ようやく3年度分のみ。・・・というような資料探しから、貼り込み作業、付け合わせ。
ありゃりゃ、地図としての整合性が確保されていないんだ、という貴重な? 発見もありながらも、ようやく印刷までこぎつけた次第。
こうした苦労の甲斐があって北海道新聞でも取り上げてくれたおかげで、4冊セット・1000円のカンパをお願いした地図は飛ぶように売れ、大反響でした。
でも印刷は多めに刷っておいたのでまだ在庫があります。
同窓生ではなくとも、昔の札幌中心部(やや西より)の様子が知りたいときには、あると便利で、しかもなんといっても見ているだけで「タイムスリップ」して面白い!
ということで、なんか通販みたいですが、興味のある方は、下の「コメント」をクリックして、記載欄に書き込んでお寄せください。
Posted on 8月 14th, 2005 by replanmin
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住宅リフォーム、最近首都圏などで悪質な詐欺師たちがリフォームに名を借りて社会問題を起こしていますね。
住宅建築に関わるものとして、なんともやりきれない思いがします・・・。
一方で、住宅リフォームのほんとうの価値を広く社会に知らせ、自分たちの切り開いてきたマーケットを健全に育て、次代を担う人材に、住宅リフォームの大きな可能性に気づいてもらいたい、という趣旨から、JRN(ジャパンリフォームネットワーク)という団体が主催する「学生の匠・リフォームコンクール」事業が行われています。
これは応募した施主さんの家をリフォームするプランを、建築を志す学生たちから募集し、選ばれたプランに基づいて実際にリフォームもする、というもの。わたしはその事業委員長、という役割を仰せつかっていまして今年が第2回。
多くの若者たちのプラン作品が寄せられ、先日、JRN大賞が決定しました。

施主さんから要望を聞き取る「オリエンテーション」から約1ヶ月ほど、学生さんたちは、たぶん卒論より一生懸命に取り組んでくれました。実際に見ていただいたみなさんから、「なんてすばらしいことだ」「学生さんたちもほんとうに一生懸命ですね」などの言葉をいただいています。学生さんたちの熱意に、おおくのみなさんが触れていただけるように、下記要領で、私どもの社屋2階展示スペースで全作品を展示しています。
詐欺師連中なんかには絶対に汚させたくない、真剣でピュアーな学生たちの取り組み。住宅リフォームの素晴らしい可能性をぜひみなさん、ごらんいただきたいと思います。
第二回「学生の匠」リフォームコンクール
学生プランをリプラン社屋2階展示室で展示しています。
学生の皆さん、教職員の皆さん、あるいは建築関連のみなさん、
その他新築やリフォームをお考えの皆さん、ぜひご覧いただければと思います。
■場 所:リプラン社屋2階展示室
札幌市西区山の手3条5丁目3-5 電話011(641)7855
■公開期間:8月8日(月)〜9月2日(金)10:00〜17:00
※土日及びお盆期間中8月12日〜16日を除く
Posted on 8月 13th, 2005 by replanmin
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愛知からまた飛んで、九州・吉野ヶ里の写真です。
って、これは5年ほど前に旅行したときのもの。吉野ヶ里周辺は公園に整備される計画とそのときにも聞きましたから、いまとは印象が違うでしょう。

吉野ヶ里はこの国に米作が根付き、定住する文化がもたらされたころの「クニ」のありようを伝えてくれているとされています。歴史大好きな私としては、家族旅行の合間、子どもたちをだましてなんとか付き合ってもらったところです。
建物などは、当時の様子を考証し想像して復元したものですから、あまり現実感は持ちにくいのですが、大きな印象として、米という作物がわたしたちの歴史にとって、いかに決定的なものだったのか、ということを感じました。
高床式の倉庫は堀の周囲にたくさん建てられていたようで、それは「保存可能で、しかも略奪可能な基本食料・米」を蓄えておくものだったのでしょう。米の生産と寄り添うように、社会の仕組みというものもきっと形作られてきたのでしょうね。多くの労働力を集中的に動員し、米生産の基本になる水利を確保する必要性から「強制力・権力」が生み出されていったのだと思います。生産性の向上のための青銅器や鉄器の生産手段もこうした「強制力・権力」が管理していたといわれます。
はるかな後世、ほんの百数十年前、わたしがいま暮らしている北海道でも、アメリカの農務長官・ケプロンさんの開拓のグランドデザイン「畑作中心の寒冷地型農業立国」という基本方針にたいして、北海道に入植した開拓農家は、いわば草の根的に反抗して米作りに挑戦していったのだそうです。寝ずに五右衛門風呂で湯を沸かして、早朝の寒気から稲を守るという筆舌に尽くせない労苦を重ねながらの苦闘だったということ。
生産と直結した暮らしの歴史伝統の基本に、いやむしろDNAに刷り込まれたような日本人の米作への民族的な執念を感じます。
そしてこうしたものが、住宅のつくられようや素材、デザインの要素でも、基本的な部分で大きく規定されているといえるのでしょう。
しかし北海道は、そこでの住宅建築は、ご承知の通り結局、積雪寒冷の条件に立ち向かうなかで、そうした伝統的な「まゆ」のような日本にくるまっているだけでは生き延びてこられなかったのも厳然たる事実のようです。
と、なんかとりとめのない連想に入り込んでしまいました。
プロフィールにも書きましたが、歴史が大好きですので、こんなテーマ、雑感も書くことになると思います。 箸置きの話題とおゆるしください。
Posted on 8月 12th, 2005 by replanmin
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さっそくいろんな人からコメントをいただき、とてもうれしいです。
さて、今日は昨日のつづきを。
きのうも触れた長久手日本館はさまざまな近未来技術と、伝統的な知恵がたくさんあります。くわしくは日本館HPを、見ていただければと思いますが、感銘を受けたのはハイテクを利用した「屋根の打ち水」。

竹の皮膜の中側の屋根には、光触媒の素材が使われそれに水を流して、ちょうど打ち水を打って気化熱を奪うという日本の伝統的な知恵で、涼を生み出しているのです。
まさに南の知恵、とうなりました。
という話をJIA北海道支部長・圓山彬雄さんとしていたら、こうした知恵のマザーは南方アジアの伝統的な建物のつくられようからヒントを得ている、と聞きました。こうした技術は、すぐにも住宅建築に活用されるようになるのではないか、と期待を抱けますね。
さらにおもしろい省エネルギーな試み2つ目。
会場のあちこちで、間歇的に蒸気のような白煙が上がって、いわば霧吹きのような打ち水装置が働いています。ちょうど電力館での時間待ちの列でも設置されていました。

これは浴びてもほとんど濡れることがないほど細かい、ドライミストの蒸散による外部および半外部の冷却装置。
万博名物の「時間待ち行列」、それも酷暑の炎天下、一服の清涼感を与えてくれます。
北の「高断熱・高気密」とはまたちがったアプローチですが、どちらも目的とするところは同じ部分があります。こうした知恵の総和がよい住宅、よき環境という目標に近づいてくれることを期待したいものです。
<PS>トップページの「おにぎり」と右側の「おにぎり」作りアニメは、私のイメージキャラとしてスタッフが作ってくれました。 ありがとう!
Posted on 8月 11th, 2005 by replanmin
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先日、小4の息子と愛地球博に行ってきました。
多くの展示施設でもっとも大きく取り上げられていたのは「環境問題」。
そんななかでも、なんといっても感銘を受けたのは、長久手日本館です。

建築の世界でも、ヨーロッパ各国での実践など、サスティナブル〜持続可能〜な社会の実現への関心はどんどん高まってきており、20世紀がコンクリートとガラスの世紀だったとすれば、21世紀の建築は木や自然素材への回帰の世紀だと実感できるようになってきています。
そういう流れの中でアメリカはややクールなスタンスを取っていて、政治的にもヨーロッパと距離があり、日本は
政治的にアメリカ寄りという印象があります。
しかしこの長久手日本館では、京都議定書の文脈の中で、いま日本の建築が向かうべき方向がはっきり提示されていたと感じます。
基本構造は木造。それを竹のドームで被覆し2重壁とすることで、空気層を確保して自然素材と風などのエネルギーを使って、ほぼ熱帯と変わらない日本の夏の気候に調和し、それを克服しうる建築となっています。
外壁面には壁面緑化、それも日本の風土に適した笹が植え込まれるなど随所に知が凝縮されていて、十分に未来の建築を感じさせてくれました。

北海道とは違って関東以南の夏の暑さはすごい。
北では基本的に暖房負荷の軽減がもとめられますが、南では冷房負荷にほんとうに立ち向かっていく必要があると思います。 長久手日本館についてはHPでも見ることができますが、機会があれば、ぜひ体験されるといいと思います。
根性なしの親子は会場で、父はビール、息子はジュースとひたすら水分補給に努めておりました。
でも北海道人にはあそこまでの暑さが、うらやましい・・・と思っていたらここんとこの、この暑さ!
やっぱり、温暖化・・・なんでしょうかねぇ?
Posted on 8月 10th, 2005 by replanmin
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雑誌リプランのHPとしてスタートして、もう丸8年。
住宅クレーム110番というページが人気になったので、それをコンセプトにしたNPO住宅110番を立ち上げてきました。
毎週5件前後の相談〜アドバイスを掲載してきていますが、ほんとうに多くのボランティア回答者のみなさんのおかげで続いてきています。 こころから感謝いたします。ありがとうございます!
みなさんご存知かと思いますが、「リプラン」というのは北海道・東北で季刊発行している住宅雑誌です。
ですから、いわゆる「高断熱・高気密」の住宅技術が、基本条件として必要とされる地域でのすまいのありよう、暮らし方のありようというようなことを大きなテーマとしています。
雑誌やHPでは、そうしたテーマを、できるだけユーザーレベルのわかりやすさで表現したいと考えています。
さらに北海道で始まったこの日本のすまいの高性能化が、次の段階でどういう「暮らしデザイン」を生み出せるのか、わくわくしながら、この日本住宅の進化のプロセス・現在をおおくの住宅ユーザーに伝えていきたいと考えています。
このブログでは、上記のようなテーマを基本にしながら、いっぽうで肩の力を抜いて、日々の多くのみなさんとのめぐりあい、旅先でのこと、取材先で感じたことなど幅広いテーマで書いていきたいと考えています。
でもできれば一方通行ではなく、みなさんからのこのブログを読んでみての声をお待ちしています。ほんとうは、それが最大の願いなのです。
みなさんの声を聞くために、自分から声を掛ける、
そんな思いで、書いていきますので、ぜひご愛読ください。
<写真は札幌の当社オフィス外観です>
Posted on 8月 9th, 2005 by replanmin
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