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【Facebook広告部門で働くアジアの若者たち】

わたしはときどき、海外のFacebookスタッフの方から連絡をいただきます。
わたしのFacebookページに興味を持っていただいて
そのコミュニケーション方法をいろいろにアドバイスしてくれるのです。
Tjhiaさんという名前のようで、読み方はよくわかりません。
電話とメールやWEBページを介していろいろと会話するのです。
わたしもコミュニケーションの仕事をもう45年くらいやっているのですが、
こういうように、日常的に海外の方といっしょになって、
自分のオウンドメディアについて討論して前進させていくという時代が来るとは、
まぁあまり想像が出来ない世界になったなと感じています。
ときどき国際電話で「ミキサマノサイトニツイテ・・・」みたいな
一生懸命に日本語を操って相談してくれるのは、不思議で面白い体験。
ことがらがWEB、それもSNSのことに関することなので
こういった海外スタッフのほうが理解が進んでいて話題が先端的。
何度もこの口調に接するうちに、すっかりお馴染みという親近感を持ったりします。
ときどき会話の端々で、笑いも共有できるまでなってきた。
こういう営業マン氏なら、一度会ってみたくなってくる(笑)。

そんな体験をするようになって、
かれらの懸命さに接してくると、気付くことがある。
かれらは、シンガポールから国際電話で海外の顧客、
日本語文化圏のわたしにビジネスのコミュニケーションを図ってくるのです。
もちろん母国語ではない、それもきわめて語彙の複雑な日本語。
それも「営業」的な心理負担も折り込んだ会話をこなしている。
一度など、連絡時間が遅れたのでわたしから苦情を言われたりした(笑)。
そういう微妙な(謝罪しながら営業を進める)活動すら、必死にこなしている。
もちろんことがらがfacebookに関することなので
情報主導権は先方にはあるワケですが、
それにしても、数ある顧客についての情報をわきまえながら、であります。
相手顧客の立場に立った上で自社のツールを使ったマーケティング手法を
なかなか的確に伝えてくれているのです。
で、こういうチャレンジングな営業活動をかれらは毎日継続している。
たぶんリアルタイムでその結果が実績に反映していくシステムがあるのでしょう。
またわたしの「顧客情報」はパソコン画面で常にチェックされている。
こういう「顧客対応」をfacebookは会社全体で行ってきている。
逆に、日本の会社システムや若者たちはどうであるかなと、ふと思う。
同じ日本語文化圏に住む顧客に対している若い世代は、ここまでの体験ができるか。
逆のことに置き換えてみると、英語を使って海外顧客に対して
ビジネスを平気で仕掛ける営業活動をこなしていけているのだろうか?
コミュニケーションの仕事を長くやってきて
とくに自分自身としてはそういうチャレンジはしたことはありません。
しかしこれからの若者たちは、必然的に海外への「営業活動」が
やるべき、ごく普通のことになって行くのではないか。
はたして今の日本の若者に、そのような活動が出来るのかどうか、
ふと疑問になってくる。そもそも「営業」への抵抗感までもある。
一方でアジアの若者たちは、日本市場に対してそれこそ全力で営業アタックしている。
こういった「経験知」の総量格差は日々拡大されてきているのが現実。
いつか極東の「日本病」経済社会にならないか、という疑念はもつ。

先日も、北海道富良野の市観光課に電話したら、
人手不足でアジア人スタッフが対応に出てきたという話を聞きました。
人材の国際化はいまや待ったなしで時々刻々と進展してきている。
いつまでもドメスティックの枠の中でいられることはあり得ないなと、
感じさせられてきております。
<写真は無関係。十和田の安藤忠雄建築図書館。>

【伝統工法・松井郁夫講演 in 北の民家の会】


北の民家の会というNPO組織がありまして、
札幌市立大学・羽深教授や武部建設・武部社長のネットワークで
北海道の古民家文化の発掘・活用・拡散の活動を続けています。
きのうはその例会と講演会として、東京から松井郁夫さんが来られました。
松井さんの講演は数回聴講させていただいた経験がありますが、
たいへんな進化を遂げられていて、刮目する思いで聞いておりました。
よく「男子三日会わざれば刮目して見よ」と言いますが、
まことに言い得ているなぁと感じておりました。
あ、松井さんは国の政策などにも影響力を持たれているほどの方なので
こういう言い方は大変僭越だとは思いますが、正直にそう感じていた次第。

松井さんはご存知のように伝統工法を現代に活かす活動を
「き」組の活動として実践されている方です。
日本に根付いて存続してきた「民家」の作りようの系譜を大工職人の技能として
着目して、その技術を聞き取りのようなカタチでまとめ上げられていった。
「口伝」で継承されてきたものをわかりやすいカタチにしたその功績は
民族のひとつの大きな「資産」の再発掘のような事跡だと思っています。
で、個人的知遇を得ていない時期からはるかにリスペクトしていたのですが、
たまたま東日本大震災のあとの復興支援の活動の中で
「き」組の提案に興味を持って、上京機会時に「取材」に訪れた。
わたしとしては初対面でもあり、失礼な物言いをした記憶はないのですが(笑)
きのうの再会後の懇親会では、その取材時にわたしが
「伝統工法はなぜ断熱気密を無視するのか」と
松井さんに強烈に「食ってかかってきた」と大笑されていた。
隣に座らされたので怨念の籠もったヘッドロックも強烈でした(笑)。
で、そのことを強く記憶されていて、その後わたしが北海道の断熱技術の
見学機会をご案内したところ、即決で参加を決められ、
その機会を嚆矢として北海道の建築技術者のみなさんと
大いに技術交流を重ねられてきたということ。
2枚目写真のように山本亜耕さんともfacebook交流が活発とのこと。
あ、このふたりはきのうがリアルの初対面ということでした(笑)。
net利用でリアル対面以上の「濃い」関係つくりがいまや可能ですね。
そういう活動で、いまではコテコテの伝統工法「保守派」サイドの一部から
「松井は伝統工法に断熱気密などの不浄な要素を持ち込んできた」
というように名指しされたりしているということ。
しかし「伝統は常に革新することで伝統たり得る」という
まことにまっとうな強い信念を持たれて伝統工法の高断熱化を進められている。
講演では、いま進められている滋賀県の改修物件の紹介がありましたが、
こちらではなんと共通の知人が施工を請け負っているということでした。
日本の建築技術の輪の広がりは深く大きくなって来ているようです。
北の民家が必然的にたどった高断熱進化を、日本の民家伝統が
それを大きく受け止めて、さらなる前進に活かそうとされている。
伝統工法のさらなる進化としてこうした活動を進められていることは、
まことに深く共感させられ、うれしく感じるところです。

きのうの講演、さらにその後の懇親会では、
北海道足寄で「き」組の家に取り組み、伝統工法の象徴「貫」を使った家づくりを
高断熱高気密で施工しているという方とも知遇を得ました。
「高断熱 meets 日本伝統民家」という動きが双方で大きく胎動してきています。

【家づくり協働と共感 Replan北海道30周年号】

さてきょうは発行準備の整ったReplan北海道最新号のご紹介。
創刊から30周年記念号であります。
Replanは、全国に先駆け「地域住宅雑誌」を市場開拓してきました。
北海道では高断熱高気密運動が盛り上がり、その研究開発が
大いに進んできていた時期。
そういった地域の住宅運動の状況を誌面にも反映してきました。
地域が本当に必要とする住宅性能をいっしょに探求し、
同時にそうした環境要因がどのように暮らしやすいデザインを生み出すか、
多くの作り手のみなさんと「協働」してきたと思います。
多くの動きを取材するなかで、建て主と作り手のコミュニケーションから
いかにも個性的で、しかも共感を持てる家づくりと出会ってきました。
そうです、家づくりはその協働と共感がカタチになるものだと。
地域がもつ気候風土条件の中で、なお立地環境などの違いをも折り込む
そういった人間的なプロセスをずっとウォッチしてきました。
そんな思いで「誰と建てる?」という特集とした次第です。

【特集】 工務店・建築家・ハウスビルダー 誰と建てる?
家づくりをどこに頼むか、それは誰もが悩むところ。
性能も大事だけどデザインも捨てられない。
かといって使い勝手は重視したいし、長く安全にも暮らしたい。
求める暮らしのイメージや諸条件、優先したいことなどによって、
依頼する家づくりの会社は異なります。
誰と建てるのが自分たちの家づくりには合っているのか?
そんな疑問を解くきっかけになるような特集企画です。
■家づくりの依頼先、誰にする?/基礎知識編
■特集連動企画/専門家30人に聞く、家づくりの約束
■建物を知り、人と語り、創造の場を再構築。
 リプランのオフィスリノベーション
Contents
●巻頭特集/工務店・建築家・ハウスビルダー 誰と建てる?
●この工務店・ハウスビルダー ここがすごい!
●連載 Q1.0住宅デザイン論 〈新住協 代表理事・鎌田 紀彦〉
●連載 いごこちの科学 NEXTハウス14 〈東京大学准教授・前 真之〉
●新築ルポー住まいのカタチー
●北の建築家
 「16の部屋」 久野 浩志

只今ReplanWebにて購入予約受付中。
6月15日~21日までにご購入された方は、
一部地域の方を除いて、28日までに配送致します。
Replan創刊30周年記念号 121号の書店発売は、6月28日です!

【米朝会談以降、日本外交に世界が注目】


先日12日は工務店グループ・アース21の会合日程をこなしながら、
ご多分に洩れず、iPhoneで米朝会談のニュースに見入っていました。
北東アジアの情勢は日本にもダイレクトに関係する最重要テーマ。
どのような展開になっていくのか、固唾をのまざるを得ませんでした。
ということで、本日は住宅ネタではなく国際政治の話題で失礼します。
で、会談情報が発出されて以降、丸2日が経過していますが、
発表された内容がいわゆる「玉虫色」表現に終始しているので
世界的にもどう受け止めるべきなのか、迷っている状況のような気がします。
たぶん、ヨーロッパの国々にとっては、遠い北東アジアの安保問題は
総論として北朝鮮の無軌道な核開発に対して反対する
という程度の認識なのだろうと思います。
アメリカにしても自国への大陸間弾道ミサイルの到達可能性が高まれば
自国の安全保障上の大きな脅威ではあっても、
現状からの進展がなく、最低限の安保が確保されれば
トランプとしては、取引をしても構わないというスタンスだったのでしょう。
その意味ではアメリカとしては、金正恩をナゾの人物のままにせず、
交渉相手として認知を与えることで、話し合いレールに乗せること自体が
安保上の大きな前進と考えたのでしょう。
金正恩という人物にとって、こういう国際舞台に登場して
「約束する」という国際政治の役割を果たすということは、
相当に大きな国内政治的な「賭け」でもあろうと思います。
まさか、自分が国際的に公開された場で握手を交わした相手に対して
約束したことを果たさない、無視するという国内政治にだけ顔を向けた
独裁国家指導者としてだけあり続けることはできない。
現に北朝鮮内部でもこの会談の情報が公開されているとされる。
世界のふつうの情報が流れ込むことになって、あの国の体制が
そのことに耐えられるモノかどうか、注視に値すると思っています。
むしろこのことの方が、中期的には北東アジアの不安定要因になり得る。

米朝会談は、そこで多くのことが解決するのではと
なかば以上、そのように想像していた国際世論とはどうも違う、
息の長い局面のスタートということになってきた。
結果、どうやら次の国際的テーマは、日朝関係に移ってきそうですね。
好むと好まざるとに関わらず、そうならざるを得ない。
このように米朝関係が玉虫色決着になった以上、
次はより具体的な国際関係としての日朝関係に注目が集まらざるを得ない。
アナロジーとしては、ニクソン訪中から始まった新しい国際関係が
次に日中関係にテーマが移り、田中角栄が国交回復した当時の状況が
想起されるような方向へとなってきたと感じられます。
北朝鮮とどう向き合うべきか、日本としてどのように対応すべきか、
日本にとって本格的な「外交」が試される事態の始まりといえる。
ただ明治以来の日本の路線、欧米世界との協同の方向性は
今日の安倍政権も「日米同盟」路線として基本戦略は確定している。
こういった事態の中で、日本自身の国益をどう確保していくか、
外交的政治センスが、これからの日本の指導者には不可欠な資質になる。
国内だけに目線をあわせた国内政治家では決定的に国益を損なう。
現にトランプは「お金は日本が負担する」と話し合いの中で提示したとされる。
アメリカにとって米朝関係は基本は安保問題だけれど、
日本にとっては近接の隣国として息の長い経済問題がそこに関わってくる。
このことは日中国交正常化後の中国の経済発展、
日本の貿易立国としての路線発展が同様にアナロジーされる。
すでに北朝鮮の鉱物資源についての情報も一部で出てきている。
どうも日本の「外交力」について、注目が高まらざるを得ない状況ですね。
もちろん日本人の基本的人権に関わる拉致問題解決は大前提。

写真はここ数日の報道などからの「日本外交」の写真です。
サミットでの菅直人(下)と安倍晋三の写真です。

【北国の都市住宅 熟成のための緑計画は?】

きのうはアース21例会恒例のテーマ講演。
今回は「緑・植栽・ガーデニング」テーマで十勝地区での実践例を学習。
北海道では一般的にはなんとか住宅を建てるまでが精一杯で
冬期の積雪寒冷、暖房費用など維持経費上の問題の方が大きく、
なかなか「外構」まで予算を考えるゆとりがないとされてきた。
実際に北海道で戸建て住宅を維持管理するためには、
暖房費用は15-20万円程度負担が当然であり、
そこに重機除雪で運搬排雪を行えば1回5万円程度の費用が飛ぶ。
除排雪と「庭・植栽の維持管理」の相互関係の調整って、
「言うはやすく行うは難い」という典型。
大雪の年には家の敷地内での「堆雪スペース」維持はなかなかキビシイ。
とくに集住として「都市景観」が重視されるべき
名のある住宅地・高密度敷地地域でこそ、こうした問題が大きく立ちはだかる。
公共街路樹にしても大雪のときの除排雪も考えると維持管理の問題はやっかい。
10数年前の北海道では珍しい「台風被害」で道庁周辺の並木が倒壊したとき、
嘆かわしいけれど内心、厄介者が消えたと喜んだ公共職員心理も聞いた事がある。
せっかく外構・植栽しても、冬期の堆雪スペースとの兼ね合いが難しいのですね。
せっかく費用を掛けて植栽したのに、大雪で傷めてしまう心配もある。
そしてそもそも北海道の気候風土に似合う樹種などの知識が
本州地域ほどの常識普及がなく、枯らしてしまうことも多い。
北海道ではハナミズキなどは育ちがたく
類縁のヤマボウシしか育たないみたいな常識がまだ育っていない。
やはり他地域と比べての生活文化密度が150年ほどと
圧倒的に短いので、こういった部分の「積層」に乏しい。
そういったことで街並みに積層感がとぼしく、
本州地域の住宅地のような「重厚感・奥行き」が感じられない結果になる。

・・・まぁ、困難を挙げていったらキリがありませんね(笑)。
そう言われつつも、150年の積層が重なってきて
住む側の意識でも変化がようやく見られるようになって来ている。
とくに住宅の性能的飛躍が大いに進んできて、
暖房費などの冬の費用の低減化が実現するようになって
ようやく戸外の充実と言うことを考えられるようになって来たのかも知れません。
写真はわが家の27年前新築当時の様子。
「1本でもいいから木を植えましょう」と言われてシンボルツリーを植栽した。
義父が造園業を営んでいたので、すばらしい明月楓を植えてもらった。
北入りの狭小敷地という条件に、ギリギリの植栽だった。
この風情を数年は楽しむことができたけれど、
やがて増築せざるを得なくなり、このシンボルツリーも諦めた。
そういった「職住一体」という兼用住宅の絶対的条件変化は避けられない。
けれど、やはりこういうシンボルツリー体験は、
「戸建て住宅」という文化を体験するのに大いに意味があった。
なにより高断熱高気密住宅になると、外気気候が室内からは感受しにくい。
それに対して外構植栽は、明瞭な気候条件を視覚的に伝えてくれる。
そのように「見続ける」ことで暮らしの起承転結の彩りが生まれ、
日本人的な「花鳥風月」意識が自然に体感できていく。
北国らしい困難はあるけれど、克服する方向性も明瞭になってきた。
これからの世代に、この地にいい住環境を遺していくためにも、
北海道らしい都市の緑環境を作っていかなければならないと思いますね。

【北国の都市住宅 熟成のための緑計画は?】

きのうはアース21例会恒例のテーマ講演。
今回は「緑・植栽・ガーデニング」テーマで十勝地区での実践例を学習。
北海道ではこれまで住宅を建てるまでが精一杯で
冬期の積雪寒冷、暖房費用を考えなければならないなど、
維持経費上の問題の方が大きくて、なかなか「外構計画」まで
予算を考えるゆとりがないとされてきた。
実際に北海道で戸建て住宅を維持管理して行くには、
暖房費用は10-20万円は負担が当然であり、
そこに除排雪などの費用、1回重機と運搬除雪を行えば5万円程度の費用が飛ぶ。
除排雪と「庭・植栽の維持管理」の相互関係のアタマのなかでの調整って、
言うはやすく、行うは難いという典型ではないかと思います。
大雪の年には家の敷地内での「堆雪スペース」維持はなかなかキビシイ。
とくに集住として「都市景観」が重視されるべき地域でも
こうした問題が大きく立ちはだかる。
街路樹にしても大雪のときの除排雪も考えると維持管理の問題はやっかい。
10数年前の北海道では珍しい「台風被害」で道庁周辺の並木が倒壊したとき、
内心で厄介者が消えたと喜んだという公共職員心理も聞いた事がある(泣)。
さらに外構を考えて植栽しても、冬期の堆雪スペースとの兼ね合いが難しい。
せっかく費用を掛けて植栽したのに、大雪で傷めてしまう心配もある。
そしてそもそも北海道の気候風土に似合う樹種などの知識が
本州地域ほどの知識の普及がなく、枯らしてしまうことも多い。
やはり他地域と比べての生活文化密度が150年ほどと
圧倒的に短いので、こういった部分の「積層」に乏しいのが現実。
そういったことで街並みに積層感がとぼしく、
本州地域の住宅地のような「重厚感・奥行き」が感じられない結果になる。

・・・まぁ、困難を挙げていったらキリがない(笑)。
そう言われつつも、150年の積層が重なってきて
住む側の意識でも変化がようやく見られるようになって来ている。
とくに住宅の性能的飛躍が大いに進んできて、
暖房費などの冬の費用の低減化が実現するようになって来て
ようやく戸外の充実と言うことを考えられるようになって来たのかも知れません。
写真はわが家の27年前新築当時の様子。
設計者から「1本でもいいから木を植えましょう」と言われて
シンボルツリーを植栽した。
義父が造園業を営んでいたので、すばらしい明月楓を植えてもらった。
北入り敷地の狭小敷地という条件に、ギリギリの植栽だった。
この風情を数年は楽しむことができたけれど、
やがて増築せざるを得なくなり、このシンボルツリーも諦めた。
そういった「職住一体」という兼用住宅の条件の問題は避けられない。
けれど、やはりこういうシンボルツリー体験は、
「戸建て住宅」という文化を体験するのに大いに意味があったと思っている。
なにより高断熱高気密住宅になると、外気気候が室内からは感受しにくい。
それに対して外構植栽は、明瞭な気候条件を視覚的に伝えてくれる。
そのように「見続ける」ことで暮らしの起承転結感、
日本人的な「花鳥風月」意識が自然に体感できていく。
北国らしい困難はあるけれど、克服する方向性も明瞭になってきた。
これからの世代にいい住環境を遺していくためにも、
いま、北海道らしい都市の緑環境を作っていかなければならないと思いますね。

【工務店の個性と市場認知 十勝住宅視察にて】

きのうは大雨の中、朝札幌を出て十勝へ。
地域工務店グループ・アース21の例会出席であります。
おおむね2カ月に一度、全道の工務店がお互いの家づくりの現場を確認し合い、
デザインと性能、マーケティングなどのテーマに沿って
研鑽を重ねている組織であります。
いわゆる地域工務店の継続的研鑽組織としては、
北海道でも有数の組織。ただ、北海道ではこうしたグループ活動は、
他地域と比べて格段に組織と頻度が多いと思います。
勢い、工務店組織の継続性、進化スピードがきわめて高い。

写真はそういう見学の中の一件の住宅で見とれたインテリア。
十勝でもひときわ個性的という評価の「広岡建設」さんの現場。
多くの見学者がその個性表現の強さに驚かされていましたが、
この洗面鏡に至っては、まさに独壇場的。
もちろんこういう鏡は既製品であろうハズがない。
それこそ一品一品、手作りで丹念に細かいタイルを嵌め込んで造作している。
カタチにしても、基本には既製品があるのだろうけれど、
それを大胆にカットして、外形も大きく手作り的に変容させて
まさに不定形で、同じモノは二度と出来ないような造形になっている。
広岡建設さんとの家づくりを考えたユーザーはいわば予定調和的に
こういったオリジナリティを期待してワクワクしていると言えます。
「わたしの家づくりイメージは欧米住宅のふつうの家」という
広岡さんですが、欧米的インテリア感覚でもひときわDIY的なこだわり領域まで
こうして地域工務店のひとつの魅力としてカタチにしている。
それにしても、このようなタイル造作作品は、
継続的なインテリアイメージの集積、「広岡建設らしさ」として
ユーザーにも雰囲気が共有されていることではじめて「納得」して
了解が成立する世界だと思います。
こういった造作作品をいちいち「ここをこうします」みたいにして
ユーザーの了解を得ながら作ることは出来ない。
「広岡さんだから」という地域ブランド的な作品了解がきちんと成立していて
ユーザーも満足度高く、それを楽しみにして受容している。
だから、けっして高額な費用がそこでかかるというものでもない。

これは確かに「デザイン」に属する領域でしょうが、
このような「手作り」への了解、リスペクトが
地域レベルで十分に市場成立していることが、非常に面白い。
工務店組織でしかなしえないひとつの魅力的戦略だと思わされました。
それにしても、こういうデザイン的独創性が、地域で共有されている
そのことに奥深さを感じさせられますね。

【道内家具作家展示も in きた住まいる南幌】


全国から注目される「北海道のイマドキ」という住宅展示に
図らずもなった今回の「きた住まいるin南幌」ですが、
わたしたち北海道の人間にとっても久しぶりの地域総力的展示。
わが社がスタートしたころ、同時期に「美しが丘」という地域で
清水建設さんが広大な土地を販売するために、
建築家による「建て売り」という試みを行ったことがあります。
ふつうは手慣れた大手ハウスメーカー主体というのが全国の常識ですが、
圓山彬雄、倉本龍彦といった建築家たちがいくつかの住宅を建て、
そこから興味を持った建て主さんと家づくりを始めるという展開。
今回の南幌のような建築家の関与する家づくりとしては、
先導的な企画だったように思います。
しかし今回は、主導的な動きをしたのが北海道建設部建築指導課であり、
その提唱する家づくりの制度的指標をアピールするという
地域をあげたイベントであるという意味では、まことに画期的。
いちばん着目すべきなのは、地方公共団体自身がこういう企画を立て
それに作り手が積極的に関与するという地域の独自性でしょう。
北海道の住宅施策としては「北方型住宅」という
地域オリジナルの住宅性能基準を制定し、その普及を促進するという
方向性が長く続いてきたのですが、
そこからさらに一歩進んで、協働する地域の作り手、
工務店や設計事務所などの家づくりを支援するという方向性に
大きく進化してきたといえるでしょう。
こういった施策はその中身、参加主体でも地域らしさとして強く訴求している。
有力地域工務店と建築家グループがこの企画の参加主体であるという
わかりやすい地域「住宅運動」の意味合いは決して小さいものではない。
北海道らしい地域としての「住環境へのフロンティア精神」を感じます。

そういった地域の家づくりとともに、
この家々の空間密度をさらに高めているのが、道内作家による家具展示。
写真は上がブロックの家でのTHREEKさん、
下は平屋の家での高橋三太郎さん作品のそれぞれの展示。
基本的には地域の材料を活かし、地域の人間の手業で空間を彩っている。
北海道らしいライフスタイルへの共感をベースにした
作り手たちのコラボレーションによる「空気感」はなかなか密度が高い。
上の写真では、北国住宅らしいブロックの家での
日々の食卓テーブルの「雰囲気の底力」を感じさせられるし、
下の写真では、薪ストーブ回りのでいごこち品質というものの
北海道的共感力がハンパないと思われました。
ディテールまで地域らしさがあり、北海道っぽい空間構成だと思います。
多くのみなさんにそういった空気感も大いに感じて欲しいですね。

【きた住まいる南幌-5 北海道らしい平屋デザイン】




今回のきた住まいる南幌は、全国的にも大きな話題になっています。
7月には全国各地から建築関係者100名規模で大挙見学に来られるとか、
また新住協でも見学会が予定されているようです。
全国的なプロのみなさんからの住宅性能への関心の高まりを受けて、
各地で北海道のいまの住宅の状況について知りたいという欲求が高まっている。
ただ、イマドキの北海道はそういった本州地区の動向とはやや違いがある。
ドイツ式パッシブハウスの認証などへの無関心は北海道で顕著であり、
またZEHなどの国の施策についても、対応は全国最低レベル。
高断熱高気密などの技術要素はその拡散起動時点では
上記のようなことへの関心が高まるのでしょうが、
すでに初期からは世代的にも更新してきていて、住宅への関心レベルは
ユーザー的にも次のステージに移ってきているように感じます。
暖かさなどの基本性能では「ほぼ考えなくても良い」レベルが一般住宅で
実現してきていて、各企業としても競争優位要素にはなりにくい。
高断熱高気密住宅が常識の地域では、どういった発展要素があるのか、
テーマはそういうことになっていくし、その胎動が今回の南幌では顕著。
数値的な高断熱高気密だけではなく、いごこち、住みごこちの高性能化が
いろんなファクターを通して追究されていると思います。

そういった市場動向の中で「平屋」デザインで人気の設計者・小倉寬征さんと
よくペアリングしているキクザワさんのコラボ物件。
平屋というスタイルは、北海道のような土地にゆとりのある地域で、
なお少人数家族というケースではきわめて有用な設計手法だと思われます。
少子化という背景の中で、若い年代には平屋再評価が進んできている。
このコラボでは最近、千歳市内でコートハウス型の平屋物件があったのですが、
今回は、また違った直線的平面計画での取り組み。以下がコンセプト。
●オープン×クローズ「大きな屋根の小さな家」
南東角地にカーポートを備えた約100㎡の木造平屋。大きな屋根に
3つの小さな家的空間を配置し、屋内外を一体とさせることにより、
これからの田園ライフを提案。・・・というもの。
この家では玄関側から室内ではまっすぐに長い見通しが効いている。
平屋というと、平面計画はコンパクトというイメージが強いけれど、
いきなり「長い距離を歩く」室内空間を実現しています。
上下運動がなくフラットななかで動き回る仕掛けが込められている。
わたしも思わず吸い込まれるように一番奥まで行ってしまった。
こういう単純な間取り構成なのに、空間にふくらみが感じられる。
それは都合4箇所のウッドデッキスペースのせいだと気付きます。
さすがに南幌では敷地にもゆとりがあり、開放的な暮らしが実現できる。
オープンとクローズが融通無碍に行き来する暮らしようが見えてきます。
そういえば平屋って住む人はきわめてアクティブになれますね、
わたし自身、強く実感しているところでもあります。
いかにも北海道・南幌的ないごこち・住みごこちの提案だと思いました。

【きた住まいる南幌-4 自然志向+高断熱=北海道らしさ】




今回の有力地域工務店+建築家というペアリングのなかで、
いちばんピッタリとハマっていたのが、この武部建設+櫻井百子の組み合わせ。
武部さんは「簡素・無意匠」といった志向性の強いビルダーさん。
まぁ無意匠というのは比喩で、ゴテゴテしたり押しつけっぽいデザインではない、
というような意味合いの家づくりの特徴を感じます。
今回の住宅でも「芯材」とでもいえる柱には古材を使っていますが、
こういう古材へのこだわりのような志向性が一種の「雰囲気・空気感」を醸し出してくれる。
たぶん日本人的なもの、古民家のもつ民族的郷愁に通じる部分。
北海道の高断熱高気密住宅進化の中で、こうした武部さんの感覚は
ある「標準」に近しい傾向を生み出したように思われます。
「和」とか、わびさび、といった「きれい」に異常なこだわりを持つ感覚とは違う、
もっと日本のベーシックな庶民的「民家」生活文化の北海道的継承志向。
武部さんの本拠は空知・三笠と岩見沢市ですが、
この地域は日本各地からの移民のなかでも農業的先進地域からの移住が多かった。
囚人労働が集中投下されて基盤整備された農地であり、
明治政府としての地域農業振興への期待がもっとも高い地域だった。
わたしの母の実家はこの三笠なのですが、
農業先進地であった「美濃」地方からの移民であり、
明治初期から北海道農業開拓の最有力地域という特性を持っていた。
そうした農業熟成地域の日本住宅文化が北海道に根付いたとわたしには感じられる。
いわば、日本ベーシックといった住意識がみえるのです。
設計者の櫻井さんも、こういう大地に根付いた暮らしようへの
志向性を強く感じさせられます。
女性設計者ながら、作られる建物はけっこう武骨で、
なにより普段着の暮らしようへの温かい視線が感じられます。
今回の住宅でも、腕白なこどもの暮らし行動に添ったような動線配置を
説明されて、わたしも思わず共感させられた(笑)。
こういった作る志向性のペアリングの結果、
なんとも地域標準っぽい、北海道版「新・民家」とでもいえるような住宅になった。

間取り的にも、いわゆる玄関という様式的スタイルではなく、
日本古民家の土間空間のような場所から入っていくスタイル。
そこに仕切りとしてブロックの壁があって、室内側に据えられた薪ストーブからの
蓄熱的暖気が冷えたカラダを迎え入れてくれる。
ブロック壁から左右に動線を分けていて、右は薪ストーブと太陽の暖かさを受け入れる
大きな開口をもつリビング空間になる。一方左側は「ただいま」と言って
帰ってきた腕白坊主が、まずトイレに入り手を洗い服を脱ぎ換えて
その先で母さんの作ってくれた食べ物にまっすぐ向かっていくような、
にぎやかなニッポン人スタンダードな屈託のない暮らしがデザインされている。
リビング側大開口からは外のデッキにも回遊でき、
2階のテラスからは夕焼けの眺望が空いっぱいに感じられる外部空間もある。
・・・そんな「この場所らしい暮らし」が意図されている住宅。
いかにも「北海道らしい」というありようを感じた家でした。