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DNA的ノスタルジーの農家住宅

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写真は山形県酒田市近郊の農家住宅です。
肝煎り、というクラスと言うことですから、上級農家。
茅葺き屋根のおおらかな佇まいが、訪れるものを柔らかく迎えてくれます。
このお宅では、入り口を入ってすぐに馬の小屋がありました。
ちょうど写真左手前側、主屋から突き出すような位置。
左右には農作業のための道具の収納場所があり、
まさにいま、田や畑から帰ってきて、
馬に飼い葉をやり、水を飲ませ、農機具を片付けるというような光景が、
まざまざと脳裏に浮かんできます。
その空間を抜けると、なんとも頃合いの良い土間のなかの囲炉裏がありました。
「とりあえず」空腹を満たしたり、渇きを癒したり、
暖を取ったりする、そういう空間です。
ちょうど、この建物のオーナーの方がいらして、
囲炉裏に火を入れてくださったりして、なんとも遠赤外線的なもてなし。
その薪の燃えるさまに、こころが吸い寄せられます。
十分に先人たちが踏み固めた土間、自然の素材を工夫して使っている内装。
近隣の山から切り出してきて造作された構造の、やわらかで力強い質感。
そういった農家住宅の基本要素が、迎えてくれるような感覚を持ちます。
里山に接して建てられていて、伏流水なども豊かなようで、
池が作られてもいました。
暮らしを支える暖房の薪も、ちょっと外に行ってくれば
里山から豊富に入手することが出来る。
すべての生活要素が、過不足なくいろいろに満たされている。
いろいろな地方を訪れる機会が多いのですが、
やはりその地域を知るためには、伝統的な農家住宅を見るのが一番良い。
その地域での暮らしよう、というか生き方が
見るものに直接的に感受できます。
この時期、一年の農作業がだいたい片付いて、
冬を越す準備をしながら過ごすわけでしょうね。
いろいろな想像力がわき上がってきて、
いつも、こういう土地での暮らしもいいかなぁ、と
思い至ることが多いものです。

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