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時間の止まった札幌点景_1

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最近よく、車で通る札幌の街の点景です。
木造下見板張りにトタン屋根、さらにその上には、木製の雪止め。
だいたいが切り妻屋根で、1部2階建て。さらに煙突が付いている。
わたしは昭和30年代に少年期を過ごしていたので、
街の原風景として、こういう建物が目に焼き付いています。
当時は、木造低層のこういう建物が連続している街並みだったのですね。
路面電車が縦横に通っていた中心街でも、
ほぼこんな建物ばかり。ほんの一部にコンクリートの建物が
これみよがしに建っていた、そんな印象。
こういう建物で、厳しい冬を過ごしていたわけですが、
室内では沸かした風呂の湯が、一晩で氷になっていたような
そんなのが当たり前という、状態だったと思います。
だから、ひとしお、同じ境遇を耐えている同士のような
連帯感のようなものが、強かった印象があります。
いまの性能が向上した住宅同士では、ありえないような
親密な隣近所との助け合いが存在していた気もします。
雪が多い年には、三角屋根のごらんのような軒先に
うずたかく積もった雪が建物を埋め尽くし、
その雪山の連なりの上を、ひとびとは通路としていたものでした。
めったに車も通らないなかで、
その雪山からソリ滑りをするのも、子どもたちの楽しみでしたね。
ひとびとはおしなべて貧しく、
サラリーマンという、本州企業の「勤め人」のこどもたちが、
子ども社会のなかでのあこがれの存在。
っていうような雑感が、どんどんとわき上がってきます。
みるところ、この建物、現在は使われていない様子。
以前は、立地的に商家だったものと思われますね。
角地のこういう立地は、ふつう、商家があった。
2面が道路に面していて、客を呼び込みやすいのでしょう。
たぶん、建てられてから50〜60年は経過しているものと思います。
こういう建物は、とくに保存されるものでもないでしょうが、
わたしたちの年代のものにとっては、
なにかを訴えてくる、機縁を持った存在です。

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