本文へジャンプ

【住宅改修相談の現場で起こっていること】

先日ある業界事業者というか、
住宅検査・インスペクションを中心業務にしている会社の方から
お話を伺う機会がありました。
いろいろなルートから調査依頼が引きも切らない状態だと言うことで
現場的にどのようになっているか、生々しい実態を伺った。
わたし自身、国交省・国に先駆けて「北海道住宅検査人」の制度設計に
審議委員として関わった経緯もあって、
いま現場で起こっていること、その情報に接して
このテーマについての認識をあらためた次第です。
写真は札幌市内で最近わたしが見掛けたモルタル外壁の家。
窓周辺を中心にモルタル外壁各所で含水によるとおぼしき変形が見られる。
こういった現実に対してどうすべきか。
いわゆる「住宅検査」ということが重要だけれど、
制度としては現状では、この写真のような現実に対して、
「モルタル外壁の不良」というのが「1次インスペクション」結果なのだと。
そこで対応としては、モルタル外壁の補修ということになる。
下地の構造的劣化はカウントされないことになる。
しかし明らかに窓や開口部周辺外壁での防水不良や、壁体内結露が疑われる。
きちんと改修しようと考えれば、この写真のような現実に対して
窓回りを最低限解体して対応すべきなのはすぐに理解出来る。
このような指針まで出すのを「2次インスペクション」と呼ぶそうです。
この処方にまで踏み込んだ「検査」のあり方がいま、論議になってきたと。

断熱気密化工法については、相当の浸透を見せているのだと
表向きの情報交換では言われているのですが、
どうやら実際の住宅相談の現場では相当に乖離した現実が進行している。
北国の住宅で使われる窓サッシ自体は大きく進化している。
ペアサッシの普及率自体は新築ではほぼ100%と言ってもいいし、
トリプルガラスサッシも北海道はダントツの普及率。
そういった常識の普及もあって、
ユーザーが寒さ改善のために最新のサッシに交換を依頼することは
かなり一般的なことになってきている。
その工事に於いて、まったく窓回りの防水処理などが考えられず、
「お客さんから言われたこと(だけ)をキチンとやった」
結果、窓交換後、窓周辺から雨水が浸入して
寒さは進行する、駆体の浸水劣化は進む、というような
基本的な建築工事常識がはなはだしく劣化している様子を聞かされた。
建築現場では人手不足が過剰な進行を見せ
現場職人さんたちのOJT的な基本常識的な現場教育が消えつつあるのだと。

寒冷地として住宅技術の進んだ北海道ですらこの現場技術レベル状況。
いわんやさらに人手不足の全国に於いて、どうであるか。
やや暗澹たる思いで情報を伺っておりました。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.