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【典型的内需・木造住宅は中国市場とどう関わる?】


きのう北海道木材産業協同組合連合会という団体が主催する
「中国における木造軸組構法住宅の建設に向けた勉強会」に参加してきました。
中国ではいわゆる「木造軸組」構法は技術がほぼまったく途絶えてしまっている。
中国の中心と言える天安門・故宮は木造建築であるのに、
その技術が社会から消えてしまっているという巨大なパラドクスの国。

本来であれば、木造軸組はアジア世界から日本にもたらされた技術。
その精緻というべき仏教建築は、中国で作られた技術が朝鮮半島を経て
それこそ聖徳太子の時代に四天王寺が建立される事業をもって嚆矢とする。
もちろんそれ以前の「飛鳥寺」もあるのだけれど、起点はそう考えてもいいでしょう。
そうであるのに、かの国は過酷な「政治動乱」革命の国であって、
繰り返し、仏教が政治的思惑から禁教されたり弾圧されたりして
その象徴としての寺院建築が繰り返し破却されてきた歴史を持っている。
日本に巨大な仏教導入をもたらした延暦寺第3代座主・円仁さんの
中国での記録でも最終期記述では過酷な仏教弾圧に遭遇した記録が残っている。
近くは毛沢東の共産党独裁政権が樹立され、繰り返し動乱が起こり
その歴史過程で、技術としての木造軸組構法が消滅した。
こういった経緯は日本社会ではちょっと考えにくい。
たしかに政治の影響で多少技術が変化したりすることはあっても、
根本的に社会から伝統がなくなるようには歴史が動かない。
このことは、大陸的国家と島国的国家の大きな相違であるかも知れない。
司馬遼太郎さんは、中国は本来、ヨーロッパのように
いくつかの国家が分立するようなカタチの方がよかったのではないか、
というように書いているけれど、あるいはそうなのかもしれない。

こうした中国で、今年の8月から
かの国での「建築基準法」とでもいうべきものが改定実施されるという。
日本に残っている木造軸組技術を中国国家として取り入れて、
日本側の協力で社会規範としての軸組構法建築基本法が制定されたのだという。
そうした建築が、あの巨大市場で展開がまさに始まろうとしている。
その中国での法制定に協力した神谷文夫氏から、詳細な講演を受けた次第。
これにはいろいろな面からの解析が必要だと思うのですが、
巨大市場での「軸組構法」の本格的導入期において、
われわれ、ドメスチック産業の典型と言える戸建て住宅マーケットとして
どのような対応があり得るのか、探ってみたいと思う次第です。
これから折に触れて、気付いた点をまとめていきたいと思います。

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