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リフォーム投資の底上げ

写真はきのう東京北の丸公園の日本科学館という場所で開かれた
国交省関連のセミナーでの資料から。
長期優良住宅先導的モデル事業の昨年2次募集の経過解説のセミナーです。
国の政策というのは、やはり国の政策であって、
特定の方向性を期待して、その方向性に産業界を指導していこうというのが
基本的な国交省など国の機関のスタンスなのですね。
そう言った印象を強く受けた次第です。
そういう基本的な流れがあって、
そこにたとえば政権交代などの動きがどのように変化を与えるものかどうか
期待感も持って聞いていたのですが、
まぁ印象としては、テコでも動かせないスタンスというのがあると感じます。

この長期優良住宅先導的モデル事業、
ことしは名前がまた少し変わって「長期優良住宅先導事業」になるのだそうですが
国交省の住宅関係予算が大きく削減されている中では
総額で330億円規模が確保されているということで
大きな政策的ウェートが掛かっていることが窺われます。
そのなかでも、リフォームについて政策的に底上げが図られています。
日本の住宅投資は、新築が80万戸近いのに
総額のGDP対比では欧米先進国と比較して少ない現状にあるということ。
ドイツなどでは、5%超なのに、日本は3%程度なのだということ。
リフォーム関連の投資と言うことでいえば
写真のように、ドイツの4割程度なのですね。
これをみて、どういう風に考えるのか、
まぁ、政策的にはリフォームを促進して産業育成していこうという方向は見える。
ただ、リフォーム投資ばかり見ていても疑問とは思う。
欧米の住宅と日本の住宅のスケルトンとしての価値はどうなのか、
木造がメインではなく、組石造が大きな割合である国々と、
単純に比較することができるのか、どうなのでしょう。
一方で、長期優良住宅事業の方では、盛んに活用期を迎えているのに
未利用のままになっている日本の森林木材資源活用のために
とにかく、その方向での提案要素にフォーカスしています。
で、木造で、本当に長期優良であるということについての論議は定まっているか、
どうも良く理解できない部分があります。
構造体への興味を高めるのなら、
本来、105mm角の基本規格を120mm、あるいはそれ以上に太くするとか、
太くするには原木の状況に制限があるとすれば、
ドイツが継続的に取り組んできたような集成材技術を高める努力が不可欠。
さらに、社寺建築が実現してきている日本文化の根幹である
在来木造構造技術を研究し、その免震性を論議や規格作りの基本にすることが
むしろ緊喫の課題のように思います。
長期優良であるということが、即、身近にある森林資源を活用する
それも林業経営の実態への真摯な改革なしで
民間からの「だったらいいな」みたいな提案ばかりに依拠して
そういう方向だけを「長期優良住宅」であると事実上、方向付けるというのは
どうも本末転倒していると感じる。

なんですが、リフォームへの住宅投資向上は
不可欠な方向付けではあると思います。
そうでないと、日本の住宅産業の明日の展望は開けない。
いつまでもスクラップ&ビルドでやっていけるわけがない。
そういう技術向上を計っていかないと、
日本の建築業に未来はないというのは確かに自明でしょうね。

北のくらしデザインセンター
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