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南シナ海での緊張

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オバマ大統領のアジア歴訪とそこでの安全保障上の約束を受けて
東南アジア各国政府が、中国に対してより強硬な態度に向かってきている。
ベトナムは、中国との係争問題のある西沙での中国の石油掘削に対して
それを咎める実力行使に向かい、
中国側から船体衝突攻撃や放水などの
激しい敵対的行為を受けたと国際的に発表した。
また、フィリピンもこれまで見過ごしてこざるを得なかった海洋地域での
国家主権主張を明瞭に行動で示し始めている。
現状の中国の南シナ海、東シナ海利権に対する態度は、
真正の「帝国主義」ともいえる。
法治ではない国が達成した経済成長によって
近隣各国はその悪い影響を受けざるを得ない。
現状の習近平政権は、オバマ政権に新しい超大国関係を求め、
それに対してオバマ政権が黙認的な態度を取ってきたことから、
このような近隣国家との摩擦を常態化させてきた。
東アジアにおいては、韓国を自国市場での優遇をちらつかせて懐柔して
対日外交戦略の大きな手駒として動かし、
中国としては慎重に、尖閣に対して当たってきているけれど、
南シナ海地域では、かなり無頼な動き方を示している。
ベトナムは、中国との経済関係にも配慮しつつ、
しかし、過去において中国と戦って、両者とも勝利を宣言するような
そういった終結の仕方をしてきている自信からか、
かなり確信的な行動を取ってきている。

それにしても中国。
経済が発展してくれば、おのずとその国は
より膨張的な対外姿勢に転じてくることは、歴史の必然だけれど、
21世紀の今日で、2度の世界大戦を経たあとの世界で
共産党という「人治」の国家体制のまま、
このような「経済力」を背景とした軍事力をちらつかせてくるというのは
まことにあやういと言わざるを得ない。
国際法と民主主義の遵守、というような基本的価値観を
世界と共有しているとは言い切れない国が
今後、どのような態度で国際関係に臨もうとしているのか、
不確実性がきわめて高い。
いまのところ、西沙諸島での事態については、
アメリカが即応的に声明を出して、名指しはしていないけれど
石油掘削という行為には「挑発的」だと言っている。
日本政府は明確に中国側の中国側に挑発的行為があったと
官房長官が談話を発表している。
それ以外のヨーロッパ各国がどのような反応を示すのか
あるいは韓国などはどのようにコメントするのか、しないのか。
アメリカも、その同盟国へのコミットの本音が試されてくる。
膨張する中国とどのように向き合うのか、
国際世界が試されはじめているように思われます。

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