
最近の「住宅110番」に寄せられる相談を見ていると、
本当に、コミュニケーション能力が
社会全体として落ちている、と痛感せざるを得ません。
建築家という呼ばれようが、勘違いを生んでいる側面も大きい。
意匠性と、安全性との境界意識が理解できていない想像力不足の建築家。
一方で、対話して自分たちの考えを正しく伝えることが出来ない建て主。
どちらも甘えの構造の中にいるように思えてならない。
もちろん、建築の側はそのようなケースでも主導的に
建て主に対してきちんと対話する努力をすべきであり、
それも含めての建築業であるとは言えますが、
現場的にはたしかに、コミュニケーション能力に欠けるユーザーとの対話は
大変な難しさを抱えていると感じます。
え、こんなことをどうしてハッキリ言えないの?
というように思えるようなことが発端で、
とんでもない事態がひき起こったりしている。
注文住宅を頼むには、とくに意匠性を重視して建てるには
建て主側の覚悟は、ある程度は必要だと思う。
相手の建築家(と自称するだけの存在を含めて)には、
必ずしも、安全性とか、断熱気密とかのことがらへの理解がない場合もある、
ということを前提にして掛からなければならない。
当然、「頼む側の力量」というものが必要な部分がある。
こういった能力は、ある程度は学び取らなければならない。
そういうものもなく、ただただ、ビジュアル的な部分しか見ないで
暮らしへの理解のない見てくれだけのデザインに惹かれてはいけないと思う。
実際に暮らしてみたらどうなるか、
そういう建て主としての想像力が必要なんですね。
しかしそうは言っても、いまのデザインの主流は「生活感のないデザイン」。
そういう空間性がもてはやされているうちに
建てる側にすら、そういう生活実感の積層がなくなって、
ただただ、見てくれだけが一人歩きしてしまっている。
そういう建て主と、「建築家」が
図面に向かい合って、相談するのだけれど、
ほとんど、対話コミュニケーションが成立していない。
っていうような状況が、現に今、たくさん進行していると思います。
行き着く先は、家庭内事故の発生と訴訟。
そもそも建築家を上手に使えるような、
コミュニケーション能力がなければ、
満足のいく「注文住宅」などを建てるのは無理だと思う。
まぁ、あとは建築家という存在を選別する人間観察眼が
特段に自分は持っていると認識できているかどうかですね。
そうでなければ、むしろマンションや、建売住宅を購入した方が
よほど似合っていると思われる人は多い。
どうも、そういう事例が増えていると実感させられております。
事例が具体的に書けないもので、
どうもわかりにくい部分がありました。 申し訳ありません。
これもコミュニケーション不足ですね(笑)。
<写真は無関係の京都料亭の「納涼床」風景>
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 9月 5th, 2010 by replanmin
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アース21会員のリフォーム事例。
和風店舗を洋風店舗に改装した事例なんですが、
モノを作っていくと、こういう感受性も育ってくるものかという事例。
手すりのアイアンは新材で、それに白い塗装を施していましたが、
そのうえから、わざとサビ色に似せてところどころ
赤黄色で着色しています。
そのうえ、それに店名を施すのに、
錆びた太めの針金でアルファベットを造形して、いました。
これは、いずれにせよ、新しく作ったものであるわけで、
そうでありながら、いきなり古くなるように演出している。
人間の感受性というのは、
いろいろな視覚作用が一気に働いて
あるイメージをこころに造形するものなのでしょう。
この店は洋風だけれど、
それがややくたびれたような風化した感じを出したかったのでしょうね。
このビルダーさんは、やや画一的な感のある
「輸入住宅」というものに、
その雰囲気作りにこだわりを持った造りを提供しています。
ツーバイフォーについては、
その合理性や機能的な側面が訴求されることが多い中で
じゃぁ、洋風住宅としてのデザインとはどうあるべきなのか、
そのあたりにこだわりを持って作り続けている。
そういったこだわりにして、この写真のようなディテールが出てきたわけですね。
まぁしかし、こういったところになってくると、
わび・さび、というような日本的感受性のほうが
理解するベースとしては、似つかわしいのではないか。
鉄が錆びて、それでもなおそのサビの、朽ちていく寸前の美しさ
みたいなものって、欧米的というよりは
やはり日本的なのではないかと思う次第です。
そのうえ、アイアン部分は、偽であることのキッチュさも狙っている。
ホンモノのサビの美と、キッチュな偽サビの出会い。
まぁ、店舗という世界なので、
こういったものを受け入れる部分が大きいのですが、
一方で、こういう作り手の感受性の面白さにも一本、という感じでしょうか。
さて、2日間、やや寝不足もあってお疲れモードから
ようやくきのう遅くに帰宅。
十勝からクルマで帰ってきたのですが、
カミさんも東京出張から、夜の便で帰還したので、
新千歳空港に立ち寄って一緒に帰って参りました。
ひとりで自由を謳歌していた坊主はいったい、どんなふうか。
ハラハラドキドキで帰って参りましたが、
案に相違して、きれいに片付いている。
むむむ、かえってなにやら、あやしい。
友だちたちと、大騒ぎしていたのではないか。
ひとりでお留守番、というのもまぁいい経験かも知れませんね。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 9月 4th, 2010 by replanmin
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きのうから十勝でのアース21の例会。
北海道を中心とした地域工務店の集合体の集まりです。
毎回、例会は各地域での会員社の住宅を見学し、
勉強して、相互研鑽を積み重ねて来ています。
そのなかから、
写真は十勝のカラマツを使ってのツーバイフォー材の
製材現場です。
これまで輸入材一辺倒だったのですが、
最近、国産材への取り組み強化が各地域で盛り上がっています。
十勝はカラマツの森林が広がっていて
しかも、木造のツーバイフォー普及率が大変高い地域であり、
そういった条件から、
国産ツーバイフォー材の生産が行われ始めているのです。
カラマツは、戦前には石炭生産の現場の仮構材として
あるいは鉄道の枕木として、大量に植え込まれたものです。
ところが、そういった需要が下火になり、
長期に亘っての植林活動が
経済原則から大きくはずれた結果、
山林だけが取り残されている、という結果になっているわけです。
そのような背景を持ちながら、本来的な住宅資材としての活用に
期待が集まっていると言うことです。
なんですが、
きのうの十勝は32度を超える暑さ。
そのなかでほとんど無我の境地で
全9箇所の見学を歩き続けておりました(笑)。
ちょうどこの工場のところでは、ほぼ気絶寸前の状態。
やはり、寄る年波には辛い。
木の皮を剥いて、寸法を揃えて
裁断されて出荷されていきます。
ツーバイフォーの他にも、在来の構造材も生産されています。
で、本日はそのメンバーでの研修会が朝から。
そしてそのあとは、テーマを絞っての座談会と日程が続きます。
でもまぁ、本日はすずしいホテル内での会合。
やや人心地のついた状態で行われております。
なんとか、もうひとがんばりしたいと思います。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 9月 3rd, 2010 by replanmin
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ドタバタの末に、民主党は代表選挙に突入した。
密室の中で、談合によって人事をやりとりしてうやむやにして
「挙党一致」ということよりも
はるかに、いいことだと思う。
確かに経済の情勢は厳しく、政争をやっている時間があるのか、
という側面はあるけれど、
そういうことならば、常に政権を持っている側にだけ有利に働く。
与党の中で対立があって、内部運営でうまくいかないのなら、
そして、選挙規約があってスケジュールが決まっているのなら、
やりたい人間が出て、選挙をするのは当然のことだと思う。
で、マスコミは相変わらず、
表面的なウラ情報に基づいた解説をしか書かない。
基本的な政権公約について、論議しない。
昨日発表された公約は、以下のようになっている。
■菅直人氏の代表選公約骨子
・党の資金は透明なプロセスを経て配分
・消費税を含む税制抜本改革を検討。実施前に国民の信を問う
・衆院選マニフェスト修正は国民に率直に説明
・国家公務員給与の人事院勧告を超える削減を目指す
・普天間問題は、日米合意を踏まえて取り組む
・首相が直接指揮して予算編成
◇
■小沢一郎氏の代表選公約骨子
・政権交代の原点に返り、衆院選マニフェストを誠実に実行
・国家予算207兆円の全面組み替えで財源確保
・子ども手当は12年度から月額2.6万円支給
・ひも付き補助金の一括交付金化
・国会の機能強化と官僚答弁の禁止
・普天間問題は、沖縄県、米政府と改めて話し合う
菅直人の方は、現に今、政権を動かしている立場なので
至極当然のことを書き連ねている。
どうも、この政治家、完全に財務省の傀儡になったのかと見まごう。
一方で、小沢の方は民主党のばらまきと言われた政策に忠実に
原点回帰を鮮明にしている。
そんなことができるのか、という疑問を感じるが、
「最後のご奉公」とかれが言う以上、一定の成算は持っているのだろう。
で、おや、と思い、またマスコミではほとんど重視していないのが、
・国家予算207兆円の全面組み替えで財源確保
というポイントだ。
まぁ、これは政府予算の内、
一般的に論議している「一般会計」だけではなく、
「特別会計」というものも含めて、大なたを振るいます、と書いてある。
この「特別会計」は、予算審議ではほとんど論議されず、
たとえば道路特定財源とか、全国で乱脈経営を繰り返した
「かんぽの宿」のような、官僚機構のいわば自由裁量での予算。
本来、政府予算というのは、このすべてを指すのだけれど、
この「特別会計」は聖域化されていて、
頑強に官僚機構が専断を繰り返してきた部分なのだ。
この部分に切り込みたい、と書いてあるわけだ。
これまでも小泉改革でも取り組んできた部分だけれど、
まともな成果はなかなか出てこなかった。
ここに切り込んでいくと、相当の既得権益との摩擦を覚悟しなければならない。
ものすごい「政治力」が必要。
小泉以上の政治的付託を受けた人物か、
相当の覚悟を持った政治家しか、ここには切り込めない。
小沢にこれが出来るのか、
いや、実は官僚機構からその甘い汁部分を吸い上げようというのか。
真意はわからない。
しかし、今日この時点でこういう方針を打ち出すというのは
政治家として、わたしは評価したいと思う。
少なくとも、菅直人の具体的でまったくポリシーの感じられない
公約とは、大きな違いを感じた。
政治というのは、結局調整能力であって、
ビジョンはよかったけれど、そういう能力に欠けていた鳩山から、
言葉と実際ではどうも乖離を感じる菅直人とは
まったく違った政治的資質は感じてくる部分がある。
小沢なら、官僚機構と本格的に渡り合って
かれらの既得権益にメスを入れられるだけの力量はあるかも知れない。
逆にそうであるから、官の側の利益代表としての東京地検が
あそこまで違法寸前の捜査情報リークを繰り返してきた
真実があったのかも知れない。
日本の基本的病巣に、本格的に切り込んでいく可能性を感じた。
これはかなり、本気で革新的な政権公約だと思う。
まぁ、政治家の言うことなので
そのまま、信用できるのかどうか、わからないけれど、
公約として発表する以上、
また、政治的には相当の覚悟で立候補する以上、
これはある程度、本気だと思ってもいいのではないか。
さて、こういうポイント、論議の核心になっていくのかどうか、
マスコミの今の反応で言うと、
どうもスルーしたいのではないかと、疑っている。
心配です。
<写真は小沢の選挙区にある、古代東北の反逆者・アテルイを弔う「達谷の窟」>
北のくらしデザインセンター
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 9月 2nd, 2010 by replanmin
Filed under: 状況・政治への発言 | No Comments »

っていうしかありませんね、これ。
関東以南では、いまもって35度以上の暑さが続き、
北海道の9月だというのに、まだ32度の最高気温という状況。
まぁ、北海道なのにと言われながら、
けっこう、事務所や自宅(以前は事務所も兼ねていた)では
エアコンを設置しているので、
仕事中は、それほど影響はないのですが、
営業の人とか、連日の猛暑で、外回りはなかなかたいへんですね。
っていうなか、明日から2日間わたしは道東へ出張取材。
そうしたら、関東にも行かねばならない用事ができて
カラダはふたつない、ということでそちらは、カミさんに行ってもらうことにしました。
で、その段取りとかもあるのですが、
猛暑の中なので、スケジュールの段取りもそれを考慮に入れないと、状態。
出張で行くので、あちこちこの機会に、
と考え始めると、ギュー詰めの日程になりますが、
移動や、日中の外の徒歩とかを考えると、
うーむ、と考え込まざるを得ませんね。
とくに首都圏の場合、クルマでの行動計画は現実的ではないので、
なかなかスケジュール調整は難しい部分もありますね。
先日の出張でも、北海道の感覚で移動日程を組んで動いたら、
暑さで、さすがにグロッギーになりましたから。
ことしは、北海道もこの暑さが続いています。
32度って、ちょっと考えられません。
やはり温暖化というのは本当なのでしょうか。
まぁ、東京まで人口密度も高くはなく、
家の中は、断熱が良ければ外気よりもぐっと温度が低いので、
まぁ、過ごしやすいとは言えますが、
逆に、夏の高温多湿をしのぐ、写真のような伝統的工夫、
涼感装置は北海道には多くなく、こういう生活文化がない。
北海道でも、こういった部分の装置を仕掛けるような動きが必要かも知れません。
一方で、首都圏以南では、
こういう厳しい気候条件に対しての対応を、
きちんと「断熱」で、対処しなければならないと感じます。
「めざましテレビ」では、暑さの実証実験のようなものをやっていましたが、
そのなかに、断熱した建物の涼しさというものをもっと積極的に仕掛けるべき。
まぁ若干はそういう試みも行われていましたが、
基本的に暑さに対しては、伝統的な対処の仕方が
隙間だらけにして空気の流動を考える、という対応が主流。
そういう考えに凝り固まって、気密化に対して
過剰反応のように、そんなのはダメという建築関係者は多い。
しかしその一方で、気密性の悪い、言葉を換えて言えば
熱効率の悪い環境のなかで、ひたすらエアコンで熱交換している。
基本的には、住宅の熱性能を高めることではなく、
ひたすら、機器で、力づくで対応しているのが現実。
断熱は今や、温暖蒸暑気候地域でこそ、不可欠なのだと思います。
でもまぁ、それはそれとして、
わたしの子どもの頃には、こういった写真のような文化は
多少なりとも、札幌の住宅地などでは見られていたと記憶しています。
で、こういう装置は、メンテナンスが大変なので
各家庭の奥さんたちが、一生懸命に設置したり片付けたりしていた。
今日では、そういった家事労働がひどく密度低下していると感じます。
社会が、こういうメンテナンスを必要とする作業に対して
時間を掛けられなくなっているのが現状ですね。
さて、そういうのは、
文化的に見て、進歩しているのか、
大変疑問だなぁと、強く感じている昨今であります。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 9月 1st, 2010 by replanmin
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飲食店の外観って、
それだけの情報で、そこで提供される食べ物が
おいしいか、おいしくないか、
即座の判断を求められる最たるものですね。
建築というものの意味が、
そのひとの経験値に組み込まれて、
総合的な判断として結果するように認識の仕組みが出来上がっている。
そば屋は、大体のパターンが存在し、
そういう了解の元で、印象のなかでの比較検討がある。
それは、定型的なパターンを踏む方向で大部分は向かうけれど、
一方で、革新的に違うパターンを創造しようとするケースもある。
こういう部分は、亭主の感覚の部分なので
そういう味を巡っての対話が
店ののれんをくぐる前に勝負が行われているのですね。
で、ある程度、納得してから客は店に入ってくる。
そこからが、雰囲気とか、器とか、
さまざまな勝負も続く・・・・。
まぁ、そういう全体を楽しんでもいるわけですね。
これって、一般の人と建築というものの関係性で
いちばん重要な意味を持っているかも知れません。
なにしろ、ことは、食べることに直接関係する本然的部分。
その時点での直接的しあわせに直結している。
そのような経験値は、外食の習慣が一般的になってくると
必然的に増えてくるものでしょうね。
一般的に、そういう経験値と比較して
「いごこちのいい家」っていうものの体験経験値は
一般の人には、どうしても不足するのは当然なのか?
自分が住むべき住宅については、
その選択の有り様を考えたら、
この飲食店舗を選択するほどの徹底した感覚の動員はないように思える。
いや、そうではないかも知れない。
たとえ、定型的なマンションを選択するときでも
その立地性に対しての鋭敏な選択はどん欲に追求されているものかも知れない。
そういう感覚動員はあり得るものかも知れない。
一般的に「注文住宅」っていうものの本質は
このような「どう暮らしたいのか」というイメージの世界。
納得できる暮らし方のための背景装置の必要十分条件検索は
そのひとによって違いはあるけれど、
いわば選択力、想像力の部分で、「施主」としての力というものはある。
建築的言語での知見はなくとも、
それを感受する力量、それを使いこなせる力量のようなものは存在する。
たぶん、わたしたちのように
年間で200も300も注文住宅を見続けていると、
そういった施主さんの力が見えてくるケースが多い。
そういう意味では、
まだ注文住宅を建てていない人は、
外食店舗への感受性を磨くことが、
いい家、というもの、雰囲気というものへの感受性を鍛えていく
格好の手段であるのかも知れませんね。
みなさん、いかがお考えでしょうか?
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
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Posted on 8月 31st, 2010 by replanmin
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さてきのうのテーマからの続編的なことを・・・。
明治の時に、
世界の民族国家間戦争の時代に急速に対応した日本
鄧小平の指導によって改革開放し
グローバル経済の時代に急速に対応した中国
どちらもよく似た「開発独裁」的な政治と官僚機構とで
短期間に世界の最前線に自国の位置を押し上げてきた。
欧米的価値観世界に対応するのに
日本の方が、より小国なので、政治的には対応が早くできた
というか、その後の民主主義の浸透にも
歴史的に「野党」の存在があった分(江戸期の外様大名など)
長く皇帝権力体制が続いてきた「革命の国」中国とは
対応力に差があったということでしょうか。
今日、この時点で言えば、
開発独裁型は中国の国情に似合っている部分の方が色合いが強く
経済運営を強権的に進められる分、
中国の方が、対応が早い部分があって、グローバル経済の時代には
こういう政治体制の方が似合っているのではないかとも思える。
しかし、国内的にはまごうことなく「独裁国家」であって、
民主も法制も、浸透はしていない。
また、浸透したときにどうなっていくのか、予断は許さない。
そもそも、12億人の社会が機能的に民主主義を実現できるのか、
場合によっては、とんでもない「民主主義」が発生する危険も感じる。
いずれにせよ、
中国という国家は、そもそも多民族国家であり、
それも現状は、中央地帯を支配している漢民族主体の政権であり、
それがイデオロギーと武力で他民族を強制的に同族化させているプロセス。
そして三国時代ではないが、
結局、漢民族の世界も、大きくはいくつかの地域国家に向かう
地政的必然性を持った社会であると言えると思います。
ちょうど、ドイツとフランスと、南欧地域というような
ヨーロッパ・EUとよく似ている。
そういう社会の特徴は、多様性の受容という経験値が高い。
一方で日本社会は、多様性というものに対する寛容度が低い。
簡単にヒステリー的な民族主義・排外主義が興りやすい。
たぶん、中国を中心にするアジア世界での日本に対する反発の根源は
ここらあたりの部分に対する歴史的教訓が伏線としてあるのだと思う。
歴史的には、
日本は、この超大国国家と、ずっと向き合い続け、
朝鮮のように近すぎなかった幸運の元、
比較的、相対的独立性を維持できてきた。
いまは、経済的には切っても切れないような関係性の中にあって
付き合いが、深くなって行かざるを得ない。
隣人関係は選べない以上、調和的関係を志向していかねばなりません。
そう考えれば考えるほど、
歴史的な関係性の把握って、きわめて重要だと感じさせられますね。
写真は、旭川郊外の「大雪窯」さんの庭にあった茶室。
きのうは、このお庭の中で、いろいろな
催事が行われて、参加しておりました。
そのうち、書きます。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 8月 30th, 2010 by replanmin
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さて、きのう書いたことの続きです。
地方政府レベルで、北海道という自治体のなかでの
30年後論議が行われたわけですが、
傍聴していて、感じ続けていたのが、
日本の基本的人口、社会問題の視点の欠落です。
まぁ、言ってみれば基本哲学の不在、という問題です。
人口減少予測というのは、ずっと行われてきているのですが、
それは、これまでのような社会体制を前提としてのことであり、
それが永続的に続いていくのなら、という前提条件なんですね。
で、この「前提条件」について、非常に疑義を感じている。
日本の経済は、近代国家としてスタートを切った明治から
富国強兵、戦後で言えば経済大国という明確な目標を持って、
そのために官僚制度が、合目的的に仕組みを作ってきた。
で、その場合の「前提条件」は、
「民族国家」概念だったと思うのです。
それまでの、鎌倉時代以来〜徳川政権に至る、
封建的武権による国家体制が転覆された段階で、
欧米と肩を並べるような国家を想定したときに、
徳川政権を倒す、ひとつの有力手段として天皇制の徹底活用があった。
この時代の世界の基本的趨勢であった、「民族国家」を日本で構想するときに
天皇制という存在が、効果的と考えられた側面が大きい。
それまでの、直接的権力を持たない形式的存在であった天皇制を
そのように生な、統治手段に持ってきたのは、薩長政権の基本戦略だった。
明治の段階で、天皇制は大きく変化したことが歴史的な事実。
そして、その段階で生まれた近代国家(を志向する)官僚機構にとって、
この天皇制はきわめて有用だった。
で、今日、この「民族国家」概念というのが、
世界的に大きく揺らいできて、
とくに、経済のグローバル的な進展の結果、
企業には基本的に国家意識というようなものは存在する必要はなく、
市場と経済原則にのみ忠実に従えば、
もっとも安く生産できる場所で生産し、もっとも大きな市場に対して
商品を投入していくことのみが、追求されることになる。
コストの高い場所で生産を維持する必要は企業の基本原則からすれば
まったく意味を持たないことになった時代に、
「民族国家」単位で、国家経済をどうするという議論をしても
そもそもからして、意味がないと思える。
逆に言えば、こういう時代に国家というのはどうあるべきなのか、
もっと論議が起こらなければならない。
今の世界では、アメリカと中国という
一方は歴史的な移民国家と、他民族国連型国家という存在が
大きくなってきているのが基本的な趨勢。
伝統的な民族国家集合・ヨーロッパも、
EUという共同体・国連型に移行しようとしている。
中国というのは、基本的に多民族国家であって、
ほぼEUと似たような国家であり、その先達とも言える。
中華、というひとつの世界観の中で多様な民族が覇権を争い続けてきたのが
中国という世界だということができます。
近代の歴史で見れば、清朝を滅ぼし最後に中華世界を支配しようとしたのが、
日本民族だったのかも知れない。
で、こういう政治と経済の世界的な変化の時代に
急速な近代化の結果として、人口の急増と急収縮という
問題を抱えることになったのが、日本の現状。
これを、民族国家という考え方だけで乗り切っていこうというのは
どう考えても時代認識が間違っているとしか思えない。
そもそも、弥生から中世に至る時代には
日本はむしろ、積極的に移民を受け入れ続けた国だった。
百済王敬福という百済の王族系統は、
600年代の東アジア国家争乱の結果、日本に亡命・移民した民族の末裔であり、
当時の王朝から、関東への移住定着を命じられたというような歴史もある。
かれらは優秀な金採掘集団を抱えていたようで、
東北地方での金発見・採掘に尽力したことで
のちに「陸奥守」に就任している。
日本の黎明期には、そういった事例はそれこそ無数であり、
大陸の進んだ制度・文化をもった渡来人は
日本の国家建設において基本設計に携わったのが現実だったのだと思う。
そもそも日本、という国号自体、また、中国皇帝に対する天皇という表現自体、
深く中華世界との関係性、その発想の基盤において
「渡来人」たちの知的レベルに大きく依存していたに違いないと思われます。
日本というのは、中華世界から見て
「日の出ずる方角にある」ことから命名されたことが明らかですね。
こうした出自から考えて
そもそも日本は、移民型の国であったというように言えると思います。
これからの国家運営を考えるときに、
こういった視点が、どうしても不可欠なのではないか、
いつまでも明治の時の、世界に追いつくための民族国家概念に縛られていては
これから、行く末を間違えるのではないか、
そういった思いを感じ続けているところです。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
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Posted on 8月 29th, 2010 by replanmin
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きのうは札幌市内で2つの会合とシンポジウムがありました。
ひとつは新住協の断熱耐震同時改修・長期優良先導事業についての会合。
これは、リフォームで最大200万円の補助金が受けられる
工事の内容説明と、申請事務などについての打合せ。
で、もうひとつは
写真のような会場風景でのシンポジウム。
建築工学系の室蘭工大・鎌田教授が
なんと、コーディネーター役になって
それも、どちらかといえば、都市計画的なテーマについて
司会進行していくという催しだったのです。
それもテーマが30年後の北海道の地域計画を考えるというもの。
人口が減少していって、
それでも豊かに暮らしていく基盤を考えようという企画。参加者は
パネリスト
長野 克則 氏(北海道大学大学院工学研究院 教授)
五十嵐 智嘉子 氏(社団法人北海道総合研究調査会 専務理事)
平野 浩司 氏(北海道美幌町経済部 部長)
鈴木 大隆(北方建築総合研究所環境科学部建築環境グループ 研究主幹)
コーディネータ
鎌田 紀彦 氏(室蘭工業大学大学院工学研究科 教授)
という構成でした。
さぁ、なかなか論点整理も出来るのかどうか、
たいへん難しそうなシンポジウムだったわけです。
パネラー各人の発表もバラエティに富んでおり、
福祉と経済、建築と都市計画、エネルギー戦略というような
大きな領域特定はかいま見えていたと思います。
とくに、北総研の鈴木さんから
1次産業・2次産業人口構成の発表があり、
そのなかの2次産業構成が北海道は他地域と比較して
たいへん少ない、という現実が示されておりました。
わたしも、実家が2次産業なもので、
つい、意見を書いてしまったら、シンポジウムで一定時間、
題材にされまして、そのうえ、「職」を作る
ということが、すべての問題の基本になる、という方向に話が進んで
ちょっと、話の論点を惑わしたかも知れないと、反省しておりました。
鎌田先生からは、
「北海道地元出身の人からはこういう見方があるんだとびっくり」
「それも、リプランさんからこういう意見が出るとは思いませんでした」
などと、論評を加えられまして、困っておりました(笑)。
しかし、北海道は
この春から、独立行政法人として、6つの研究団体が統合して
道総研というかたちに変化して、
地方公共団体としてのシンクタンク機能を果たしていくことになります。
発表の中では、地方自治体の経営問題への切り込みなど、
きわめて実践的な視座も示されて、斤未来的な論議のテーマが見えました。
建築の利用の仕方、再生利用の仕方、エネルギー節減によって
地方自治体の予算規模を圧縮させるという取り組みなど、
建築と地域計画のクロスする部分が明瞭になったと思います。
わたし自身もたいへん興味を持った次第で、
今後とも、こういう領域のテーマ、考え続けていきたいと思っています。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
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Posted on 8月 28th, 2010 by replanmin
Filed under: 住宅取材&ウラ話 | No Comments »

どういう経過なのか、
よくわからない部分があるけれど、
小沢一郎が、民主党代表に立候補した。
菅直人、という男の考え方がどこらあたりにあるのか、
よく見えないけれど、
お金の問題で、ずいぶん叩かれている小沢が
このように立候補するというのは、
相当の考えがあってのことなのだと思う。
それが、単に先のダブル辞任からの菅直人への意趣からなのか、
それとも、それ以降の菅直人の政治運営への危機感からなのか、
どちらともまだ言い切れない。
せっかくの鳩山と小沢のダブル辞任で
民主党に追い風が起こったのに、
それをすべて帳消しにしてしまった菅直人の消費税発言。
向こう6年間は、ねじれた状態に日本の政治を追い込んでしまった、
その責任は、きわめて大きい。
そうではあるけれど、だからといって
お金の問題で、スキャンダルを執拗に追求されているかれが、
正面から、そういう問題を突破しようと考えるのは
かなりの覚悟を感じさせる。
ここは有権者の側も、よく考えるべき所だと思う。
日本の現状にとって、なにが「もっとも大切なのか」という点。
いうまでもなく、日本と世界の現状を見たら、
非常時であることは明白だと思う。
今日の世界の情勢の中で、日本は強いリーダーシップを必要としている。
経済の問題も、結局は強い市場へのメッセージが
権力の側から感じられない、という要因が大きい。
中国のような開発独裁型の権力でもない限り
世界中の民主主義国家は、こういった事態への対応がむずかしい。
そのような情勢の中で、日本が今、切りうるメッセージカードとしては
小沢一郎というカードは、確かにもっとも強いカードにはなりうる。
権力というのは、結局中心人物の個性が色濃く出るものなのだと思う。
まぁ、確かに小沢になったからといって、
それだけでなにごとかの進展や変化があり得るのか、
明確ではないけれど、
ひとつひとつの政策に、強い意志が見えてくる可能性は高い。
検察がなんども立件しようとしたけれど、
叶わなかったような問題程度で、
こういうカードを使用不能にすることは、
日本にとって、国家にとって、
どこまでの意味があるのか、わたしにはわかりません。
ただ、そういう不条理は克服すべき問題として
どのように対処していく考えなのか、
そのあたりも、確かに注目すべき点ではあると思う。
9月14日まで、経済や市場はこの結果を待たねばならないのかも知れませんね。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 8月 27th, 2010 by replanmin
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