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【中古活性化=住宅資産価値対策になるか?】

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日本の住宅価値が欧米と比較して著しく減損・下落していく現実。
欧米では投資金額相当がほぼ維持されるのに、日本の市場では
半減以下になってしまう実態に対してどうすべきか、
国レベルでもいろいろな「対策」が練られてきている。
そのなかでもメインの対策として「中古市場の活性化」が
大きな政策テーマとされてきている。こういう方向性が国の方針を受けての
地方自治体・北海道での住宅施策検討会ではじめて提起されたときから、
なんとなく違和感を持ち続けています。
もう数年もこういった議論がされてきて、施策も打たれているけれど、
このポイントが本当に国民資産500兆円毀損への有効な対策になるのか、
どうもリアリティを持てない。

国交省、国の機関は、巨大なシンクタンク機能とは言われるけれど、
そういったデータを見ていると、いかにもと思わされる。
ただ、それは官僚機構的試算であって、その通りに推移するとはならない。
図に挙げた試算は平成25年中古住宅流通促進・活用に関する研究会への
参考資料として国交省から提示されたものの一部抜粋。
それをみると、現状の世代毎の住宅取得住み替え行動に変化がない場合、
30〜44歳というもっとも活発な住宅需要世代が減少することで
9.3万戸の着工減少要因になり、
逆に50歳以上の世代は人口が増えて、1.8万戸需要増になる。
その差し引きで7.5万戸の減少になる。
このときに産業刺激施策として、50歳以上世代の「住み替え可能性」を
米英のそれ並に生み出すことが可能であれば、
需要減を押さえることが可能になるという試算のようなのです。
50歳以上の世代での住み替え需要を1.5倍にすれば若年需要減を相殺し、
2倍にすれば、差引き現状よりも10万戸の需要増になるとされる。
さらに、英米での「住み替え需要」との対比を以下のように挙げている。
これだけを見ていると、新築住宅産業振興政策の根拠と方策を
あらたに追求しているようにも見えてくる。
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しかしそもそも中古住宅の流通が活発でないことが、
住宅価値が欧米に対し半減以下になっている主要な理由だろうか?
どうも、その因果関係について違和感を持たされる。
木を見て森を見ていないのではないのだろうか?
普通に考えれば、日本の既存住宅は中古としての魅力に乏しいか、
市場がどこかで決定的な失敗を犯したかではないのだろうか。
わたしがデータで興味を持っているのは、戦後もある時期までは
住宅の価値下落はそれほどでもなかったこと。
どうもそれは、上物の価値とは別に独歩高だった土地価格上昇が
パッタリ止まった時期と相応しているように見えること。
さらに、海外ではその資産価値が減衰しないような範囲で
新築住宅が市場投入されているように見られるのに対して、
本来が良質な資産形成がテーマであるのに、景気対策の側面が強調され、
無計画な新築住宅建設イケイケドンドンで進められた日本の住宅政策は
世界的に見ると、特異な存在だったのではないかという疑問。
どうも「市場の失敗」というよりも「市場形成の失敗」だったのではないか。
こういった着想で研究資料を当たっているのですが、
住宅政策のグランドデザインのあきらかな不在を感じさせられる次第。
戦後復興と、工業近代化・都市集中が同時進行した
戦後資本主義体制が必然的に生みだした特異的市場構造ではという
そういった疑念が湧いてきています。
このテーマ、もっと深く研究したいと思いますね。

【9月8日札幌で「換気」最新知見シンポジウム】

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本日は講演シンポジウムのご案内です。
北海道で住宅内の温熱環境コントロールについて知見が進んで
断熱・気密・暖房・換気という4要素の解析的研究が盛んになっていった。
なかでも換気は、建物内での健康維持については不可欠なテーマ。
しかし熱収支で言えばロスになることであり、
もっとも微妙なテーマであり続けてきた。
まずは吸気のみ機械コントロールする第3種換気が導入され、
ダクト式のパイピング設備が導入された。
その後熱交換式で、吸気も排気も機械コントロールする
第1種換気が導入されたけれど、
旭川など、マイナス30度にもなる地域では熱交換率が
カタログ値との間で大きく乖離する問題も出たり、
排気口周辺が結露凍結してしまうなどの事例も報告されてきた。
北海道では、そういった経緯からもっとも寒冷な旭川での実証実績が
大きな市場価値を持って推移してきている。

そのような流れの中で、ZEHあるいは、北海道で特例が認められた
Nearly ZEHへの対応を巡って、再度換気への関心が高まっています。
昨年東京で開催されたという換気についての最新知見シンポジウムが
9月8日に札幌で開催されると言うこと。
長年、北総研で寒冷地の換気を研究されてきた研究者と
建築研究所で研究されてきた研究者が論議を交わす機会。
当社も「後援」しております。以下、ご案内。

「2020年を見据えて寒冷地住宅の換気を考える
シンポジウムイン北海道」
〜昨年秋・東京のすまいる・ホールにて開催された換気シンポジュウムを
同じ顔ぶれで北海道にて開催します。道内ではZEH・NZEH等で
換気について各地で議論がされているようです。
今回は9月にIBECから発売される予定の
「住宅用機械換気設備の評価と計画・ダクト式機械換気設備の
省エネルギーと維持管理・ライフサイクルに関するブック・レット」を教材にして、
関係した先生方を講師に講演会・パネルトークにて寒冷地・北海道内の
換気の有り方について語り合いたいと思います。
非常に忙しい先生方が揃う貴重な講習会と思いますので
皆様多数の御参加をお願い致します。当日の詳細については
別途案内させていただきます。先ずは申し込みをお願い致します。

日時・平成28年9月8日(木)13:00〜17:00(受付12:00〜
場所・札幌市中央区南7条東1丁目1-1
リンナイ(株)北海道支店二階会議室(定員120名)
*駐車場有り・地下鉄東豊線・豊水すすきの6番出口3分
受講料5,000円(テキストガイドブック込/1296円税込) 懇親会会費・5000円
尚・当日シンポ終了後札幌第一ホテルにて午後5時30分頃より

<講師紹介>
●福島明先生  北海道科学大学教授
「住宅換気の課題寒冷地の実態と問題」予定
●澤地孝男先生  国交省国土技術政策総合研究所・建築研究部長
「テキストのブックレットの説明」予定
●林基哉先生  国立保健医療科学院建築施設管理研究統括
「換気量と健康影響の実態調査に関する報告」
●田島昌樹先生  高知工科大学准教授
「換気は何故必要か?基本編と自立循環に関連した話)

主催・問い合わせ先
ソトダン21事務局アキレス(株)北海道営業所(担当・土田)
FAX・0133-73-9590 E-mail shidayachi2727@gmail.com

【人類の「手型」生存戦略に続く、他の動物は?】

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〜霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活。
不快なものには近寄らない、危険であれば逃げてゆくという基本戦略を、
人類は約1万年前に放棄する。ヨーロッパ・西アジアや日本列島で、
定住化・社会化はなぜ起きたのか。栽培の結果として定住生活を捉える通説は
むしろ逆ではないのか。生態人類学の立場から人類史の「革命」の
動機とプロセスを緻密に分析する。(講談社学術文庫)〜
という引き文句がきっかけで読んでみた「人類史のなかの定住革命」。
文化人類学という学問領域が存在することを初めて知って味読した。
著者の西田正規先生は筑波大学名誉教授とされ、著書も少ないけれど、
本当に刺激的な考察で、まったく魅了された次第です。

そのなかでわたしが驚愕させられたのが、
脊椎動物の進化過程で、生き残っていくための「生存戦略」で、
多くの動物が、外界を認識判断するための脳よりも前にある器官を
進化させてきたという件でした。
多くの動物ではそれは「口」であるのに対して
「手」がそれに相当したのが、霊長類であったという論理。
樹上生活時代に、手の筋肉が鍛えられていって、
そのなかの中型霊長類が、オナガザルなどの尻尾を発達させた類との
樹上生活テリトリー戦争に敗北した結果、
地上生活に移行して、人類に向かって進化を開始したという説。
写真はきのう紹介したお店で遭遇したリスさんですが、
かれらもまた樹上生活に適合した生存戦略を持っており、
このような2足歩行をときどき見せてくれる。
こういった姿は、なにか「化け物」感が付きまとってくるのですが(笑)
わたしたちの遠い先祖の行動様式を見せられるからなのかも。
なにか他の動物もわたしたちを後追いするのではないかという
DNA的な恐怖感が沸き起こって来るのかも知れない(笑)。
しかし4足移動の場合には、より俊敏な移動が可能なのに対して、
この2足の場合は俊敏さでは後れを取ることはあきらか。
オリンピックの100m走では、人類はたぶん中程度順位くらいだろう。
で、2足歩行に移行したときに適度に運動能力を高めたうえで
自由な手の活用が可能になったわれわれは、外界のファーストコンタクトを
手に託して「考える」ことに挑戦していったのでしょう。
それこそ口より先に手を出すというように生存戦略を確定させた。

写真にこの様子を撮りながら、
わたしの読書体験の中でも、一番初源的な驚きを得た
この本の情報世界にふたたび気分が向かい、再読を始めています。

【食遊探訪。千歳ガーデンカフェ MEON】

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お盆ですね。
みなさんいかがお休みでしょうか?
あ、この時期が忙しい方もいられるのでしょうね、お疲れさまです。

わたしどもでもこの時期は休暇であります。
ただ、8.26に講演が控えていて宿題はあるので、
休み中に仕上げなければならない。のですが、
早朝に迎え盆の墓参りを済ませ、カミさんの実家の庭から花を摘んできて
わが家の仏様コーナーにデコレーション。
父母のお位牌にたくさんお経を上げて、しばしの静かないっとき。
で、気持ちもすっきりとして、カミさんと支笏湖方面へ。
久しぶりの水辺と秘湯・丸駒温泉で入浴後、
カミさん情報の「ガーデンカフェ」というお店探訪であります。
支笏湖というよりも、千歳市内からクルマで10分程度の立地。
行って見たら、知人の設計者・井端明男さんの設計の建物でした。
最近、こういう店舗とか住宅とかの見学数が少ないかも。
やや反省しながら、たのしく「取材」させていただいていました。

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建物はエントランス側はゆるやかに弧を描く壁があって、木が張られている。
門から入っていく外庭にはイングリッシュガーデンの草花が満艦飾で
建物はその背景と化していて、建築的主張は一向に見えてこない。
中庭に回って建物を見ると、こちらも閉じられた円弧状の建物外観。
さらに内部から見ると、エントランス側の壁面はコンクリートの自立壁で、
それに対して丸太で屋根の骨組みが掛けられている様子がわかる。
受けている中庭側の壁面は木造で仕上げられているように見える。
どうも「混構造」のようであります。
入念にデザインされているけれど、素材の質感を簡素に見せている。
イングリッシュガーデンそのものが、一見自然の味わいを見せていながら
ディテールに徹底的にこだわっているように建物もそんな印象を与えている。
久しぶりに丹念にデザインされたいごこちの良さを味わえた。

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あ、食事は洋食系で
固めパリパリピザのようなのと、ポトフをいただきました。
どちらも素材の旨みが絶品のおいしさでした。
ちょっとわかりにくいかも知れないけれど、行ったらトクした気分のお店でした。

【不祥者による酒瓶ポイ捨て被害への対処】

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事務所の敷地横には犬走りの砂利を敷き込んだ幅1.5mほどの
通路が約20mくらい続いております。
そこに1〜2年ほど継続的に判で押したような軽犯罪被害が続いている。
大体が晴れた夜の明けた朝、ワンカップのお酒の瓶とプラスチックや
金属のふたの3点セットがポイ捨てされている。
日中はそういった人物の目撃情報はなく、
どうも早朝の時間にこうした迷惑行為は行われている様子。
お隣のマンション駐車場に面しているので、
事情を話して管理人さんなどに協力をお願いしているのですが、
そちらの情報では監視カメラにそれらしき不審者の動きは撮影されている。
なんと、管理人さんは警察にも届け出てくれていたそうです。
容疑者不祥なので、なんともしょうがなく、
繰り返し、積雪のない時期にはほぼ毎日、このゴミを処理するのが
わたしの出社時のルーティンワークになっている(泣)。
ということで、業を煮やしたので、
ついに一念奮起して11日の休日に写真のような立て看板を作って
その場所に立てたのであります。
わが家にあった棒状の板きれを支柱にして、段ボールで平面を作り
そこに表裏にA4の紙に不祥者に向けたメッセージを書いて
雨に濡れないようにビニール袋でくるんで、テープ止めして作成した。
まぁまぁ、これでなんとか効果があることを念願していました。

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ダメでした・・・。
いやはや、これはかなり悪質な犯罪行為のようです。
行為自体はゴミのポイ捨てという軽犯罪とはいえ、
このような明確なメッセージ表示に対して
それをあえて無視して行為に及んでいる。
しかし見えない迷惑行為者に対して、どのような方法があり得るのか。
きのうは中国による尖閣への挑発行為を書いたわけですが、
どんなに善良に対処していたとしても、こういった不祥者による行為には
やはり有効な対応策はなかなかない。
冷静に対処の方法をさらに考えていかねばならないようです。
ふ〜〜〜む。

【尖閣周辺、海保の「防衛」活動・人道救命行動】

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尖閣への領有権を主張する中国による挑発行動。
この8月からの200隻以上の「漁船」団と、海警局という半武装公船団による
尖閣周辺での意図的な「侵犯」的活動に対して
日本の現状法制度で対応している海上保安庁による「防衛」活動。
粘り強く「平和的手段」と行動で、多数による横暴的活動に対して
毅然として対応してきていることに、深くその労を多としたいと思います。
集団的「ならず者」行為に対して、勇気を持って領海防衛の最前線で
まさに熾烈な「戦い」をいま、わたしたちに見せてくれている。
法で定められた任務とはいえ、この活動にリスペクトを払うべきだと思います。
そうした認識で海保の活動を見ていた次第ですが、
昨日になって、新たなニュースが飛び込んできた。

「中国漁船大量出没の尖閣沖でギリシャ国籍貨物船が中国漁船と衝突 
海上保安庁が6人救助 中国公船は接岸水域から姿消す」
〜11日午前5時半ごろ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で、
海上保安庁の巡視船が遭難通信を受信した。魚釣島北西約67キロの
排他的経済水域(EEZ)へ急行し、ギリシャ籍の大型貨物船から
事情を聴いたところ、「中国漁船と衝突した。漁船は沈没した」と説明した。
巡視船は近くの海上から中国漁船の乗組員6人を救助。
6人とも命に別状はないが、うち2人が切り傷を負っているという。
外務省は11日、海上保安庁が中国漁船の乗員を救助したことを
中国政府に外交ルートを通じて伝えた。中国側は謝意を表明した。
中国漁船は「ミンシンリョウ05891」で、揚網作業をしていた。
現場周辺に船体は見当たらず沈没したとみられる。乗組員14人。
海上保安庁は巡視船8隻と航空機1機で残る8人の捜索・救助にあたっている。
海上保安庁によると中国海警局公船は今回、3隻が3日午後6時ごろに
尖閣諸島周辺の接続水域に入った後、隻数を徐々に増やし、8日には
過去最多となる15隻が尖閣諸島周辺の領海や接続水域を航行していた。
11日午前9時現在で3日午後6時以来初めて尖閣諸島周辺の接続水域と
領海内を航行する中国公船がいなくなった。
接続水域や周辺のEEZは日中間協定で双方漁船操業が認められている。〜
<以上、産経新聞WEB報道より要旨抜粋>

海の男として人道的に当然の対応とはいえ、
まことに素晴らしい活動であり日本人として誇らしい思い。
普段からの冷静沈着な平和的状況対応があって、
緊急事態に当たっても、当然の人道的対応が可能であったのでしょう。
こうした平和維持活動こそが、対中国での日本の取るべき当面の対応。
国際社会に日本の平和的行動が広く伝わることを期待したい。

【続報】 中国船の領海侵入、米が非難…一段と強い表現で<読売>
〜【ワシントン=黒見周平】米国務省のトルドー報道部長は10日の記者会見で、
中国の公船や漁船が沖縄県・尖閣諸島沖の領海に繰り返し
侵入していることについて、
「日本の施政権を損なうあらゆる一方的な行為に反対する」と非難した。
9日は「注意深く状況を監視」との見解を示したが、
一段と強い表現を用い、中国をけん制した。中国は尖閣諸島周辺で
公船による漁船への立ち入り検査などを行い、自国の施政権を
アピールしているとみられる。トルドー氏の発言は米政府として、
中国の行為は認めないとの立場を明確にしたものだ。〜
一方こちらは産経の続報【北京=西見由章】
〜尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で中国漁船の乗組員が
海上保安庁の巡視船に救助された衝突・沈没事故について、
中国外務省の華春瑩報道官は11日声明を発表し、救助された6人が
同日夜に中国側へ移送されたことを明らかにした。
華氏は中国の公船が現場付近で行方不明者の捜索を継続しているとした上で、
日本側の救助について「協力と人道主義の精神が示されたことに
称賛を表明する」と言及した。〜

どうもこうしたアメリカの動きを踏まえて、中国側の変化の兆しか。
アメリカの対応は、やはり日本政府サイドからの働きかけからだろう。
平和はつねに戦略的思考をもって構築しなければならない。

【心を育てる夏休みの青天井空間】

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日頃から、家の中での「癒やし」について考えることが多い。
住宅のことを考えると、その目的には子育てという人類的なテーマが
そこには根源的にあるのだと思う。
そのテーマ追求の中から、家族関係の創造という人間的な営為が生起し、
家の基本的なテーマとして、癒やしが求められたのだと思う。

そんなことを考えながら、この時期毎年見る大好きな光景がある。
それは夏休みの時期になると、ラジオ体操の場になる北海道神宮境内で
ボランティアのみなさんが、集まる子どもたちのために
神宮の水場のそば、林間のたたずまいのなかで行っている本の読み聞かせ。
なぜか、水場の屋根だけの東屋に向かって読み聞かせの人が立ち、
その光景を多くの子どもたちが集中して聞いている。
朝の爽やかな空気の中で、
想像力を刺激する紙芝居的な絵と、人の声に耳を傾けている。
声の調子の微妙な抑揚を聞き漏らすまいと瞳を輝かせている。
また読み聞かせる人は、慈愛を込めて子どもの心に語りかけていく。
そして背景としての神宮の森、シンプルな切妻の屋根形状。
北国としてはいちばん気温が高く、相対湿度も高いなかで、
独特の「いごこちのいい空間」がそこに現出する。
きっと杉の木立のまっすぐな様子と切妻の屋根の風景が
戸外なんだけれど、なかば家の中のような雰囲気を醸し出している。
読み聞かせの抑揚とともに、ゆれ動く物語の展開に
子どもたちの想像力が自由に羽根を得て、
このいごこちのいい空間に、まるでたゆとうているかのよう。
その光景を見、その場の雰囲気に浸るのが大好きになっています。

どうも、ひとが家に求めている原初的な空気感が
こういった光景の中にあるように思われてなりません。

【北海道での良い家、資産価値を高める道程】

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きのうのブログ【現代日本の「良い家」ってなんだろう?】に対して、
いくつかのご意見をいただきました。以下、要旨です。

●羽深久夫(札幌市立大学教授)〜まずは、北海道のよい家の議論が必要。
住み手より気密断熱、道産材料、地元工務店などの議論が多い。
少子高齢の最先端地域の北海道の家族感、住宅感を話すべきでは。
私もいろいろな場で、まずは公共建築の質をあげるべきと言っています。
建築は必ず財産になり、人や社会を豊かにします。
●藤島 喬(建築家・札幌) 「良い家」の定義は、難しい。
昔は、邸宅と呼ばれた家がステータスを持っていた。家の価値は、
住宅金融公庫に支配され不動産取得税が住宅の価値を決めている。
25年も経つと家の価値がなくなるが固定資産税はつく。
北海道ではコンクリートブロック造の外断熱が、一番適しているが
固定資産税が高い。耐久性のよいもの程安くすべき。
●Shigeru Narabe 北海道でコンクリートブロック造の外断熱に住んで
25年ですが「良い選択だった」と思っています。
早すぎた選択で何の補助金も優遇税制も当たりませんでしたがw
●羽深久夫 ちょっと論旨がずれるかもしれませんが、なぜワイゼンホーフの
ジードルング(1920年代にドイツ各地で建設された集合住宅。計画には
バウハウスなどモダニズム建築家たちが多く参加し、建築史上は
近代建築運動の実践としても評価される。)に世界的建築家が参加したかを
考える必要がある。フィンランドでは10年前から破綻がくる福祉政策を見越して、
医療施設、都市、住宅のあり方を実践している。
未来社会の共通理念がないとあるべき住宅建築が統一されない。
●藤島 喬 クリストファーアレグザンダーにはまったことがある。
「人間都市」という本。社会学者が入ってた。そういう人が必要。社会の変化に
対応できるシステム。建築、街は総合的知恵で作られるべき。
●羽深久夫 北海道からあるべき住宅像を発信したいですね。
●Shigeru Narabe 住宅を買った途端に市場価値が落ちるのは、
明らかに供給過剰なのでしょうか?

わたしの拙い提起に対して、反応をお寄せくださり感謝します。
最後の「供給過剰」という指摘については、しっかり考えてみたいですね。
ちょっと調べてみて、数字的根拠も踏まえてみたいと思いました。
内容から、北海道での「良い家」についての思索の足がかりもありました。
そのなかでも「ブロック造外断熱住宅」についての歴史的見直し
というようなテーマも浮かんできました。
昨日、北海道の住宅施策である「きた住まいる」ワーキンググループ会議で
いろいろな意見交換をしてきたのですが、
これまで地域としての北海道が取り組んできた「良い家」の運動を
きちんと評価して、住宅への歴史的判断力を常識として広めていくことは
きわめて重要だという提起もさせていただきました。

今後とも、「良い家」についての探求を続けていきたいと思います。
みなさんにとっての「良い家」とは、いったいどんな家でしょうか?

【現代日本の「良い家」ってなんだろう?】

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ここのところ、日本の住宅価値が
「買ったとたんに大損になる」構造についていろいろ書いてきました。
欧米では常識において存在しないこういう市場構造について、
「市場の失敗」として認識し、ユーザー利益の立場に立って
再構築して行かなければならないのではないかと提起してきた次第。
古民家文化の現代化に取り組んでいる「き組」の松井さんからコメント投稿。
「住宅の減価償却が22年という消費財の考え方がおかしいですよね。
100年以上生きている家もたくさんある事を考えると、
社会資産としての住宅を位置づけて、
より長く使える建物の価値付をすべきだと思います。
22年なんてすぐですよ。アメリカン・ビューティーという映画で、
住宅を高く売る主婦の話が、興味深かったです。」
というコメントをいただきました。
日本でまともな「不動産評価システム」が根付かないのには
いくつかのポイントがあると思います。
基本的には日本の「住宅政策」に哲学がないのでしょう。
なにが「よき家」であるかについて、きちんとした考え方がない。
いまでは、こどもたちに「良い家」について質問したら
どんな答が返ってくるものか、想像することすら出来ない。
それに対して写真は中国の「四合院」住宅ですが、
海外ではその国の文化風土なりにそれぞれ継承すべき「よき家」概念がある。
わたしの乏しい海外住宅体験でも「高級住宅」が常に規範としてあった。
いま、わたしたち日本人にそういう文化がない。

戦後の住宅政策はそのスタートでは、焼け野原の戦災復興だった。
基本的に「どうしたら住める家を大量に建てるか」というもの。
そこから量を満たすこと、
大量生産がよいことという規格大量生産型に大きくシフトして、
建てることが自己目的化して、「なにがよき家なのか」が後回しになった。
戦後復興から高度経済成長の時代は、そういう時代だった。
その後の公団住宅に導入された「LDK」思想が、
広範に広がったという意味では、よき家の規範にはなったのかも知れない。
ただそれは「よき家」という文化的なものというより
近代的生活スタイル、普遍的価値観を表現したものだった。
いわば「機能主義」であったのではないか。
戦後の生活価値感、便利な暮らしという名の下での
規格大量生産家電類に囲まれるのにちょうどいい家という意味合いだった。
考えてみれば、戦前までの住宅は抜けがたく「家」思想の発露。
都市賃貸住宅以外の伝統的住居とは、祖先から伝えられた
「家系」の存続を第1義的価値感とした住宅設計思想だったのだと思う。
神棚や仏間という神聖空間をなによりも重視する住居だった。
戦後以降、日本はこの神聖空間よりも現代的生活合理性、
規格大量生産商品の方に価値感が置かれた社会だったのかも。
家の価値がどこかで住み処を失っていたのではないか。

テーマが巨大すぎるかも。しばらくは思索を深めていきたいと思います。

【中国の動向、言論統制・北載河会議・尖閣周辺】

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最近デジタル版の売上がアナログの売上を上回ったと報道された
アメリカのウォールストリートジャーナルWEB版に、
〜中国で作家が有罪、「抗日戦の美談傷つけた」
「共産党の歴史観を疑問視する権利」を巡る法廷闘争〜
という記事がきょう掲載されていた。
「日中戦争のさなか、この切り立つ花こう岩の尖峰(せんぽう)が
のこぎりの歯のように連なる険しい場所で、中国で最も美化されている
抗日紛争が発生した。現在、この場所が新たな争いの舞台になっている。
それは「中国共産党の歴史観を疑問視する権利」を巡る争いだ。
北京市西城区人民法院(一審)は6月、共産党の武勇伝「狼牙山五壮士」に
疑問の声を差し挟んだとして、作家の洪振快氏に名誉毀損(きそん)の
有罪判決を下した。「狼牙山五壮士」は何世代にもわたり中国で教えられてきた
愛国精神と自己犠牲の物語。裁判所によると、この物語に疑義を挟むことで、
洪受刑者が兵士たちの「英雄的なイメージと精神価値」を損なったという。」
現代の共産党支配のなかで、中国の人々の果敢な言論行為は
しかし、粘り強く継続されてきている。
共産党のプロパガンダをより一層強化せよという習近平に対して
中国民衆は必ずしも容易には屈服せず、困難に立ち向かう勇気をもっている。

この作家・洪振快さんは、お伽噺のような共産党による「抗日戦」美談に
「そんなことが本当に出来たのか」と、実証検証行動をとった。
〜北京から車で南に3時間ほどの五勇村から険しい道のりをたどるという
挑戦的な行動に出た。登山開始から4時間ほどで、
洪振快さんは粗雑な目印の付いた地点に到着した。
ここは5人の勇士(五壮士)が、部隊や近くの村民を助けるために
日本軍を引きつけた後、崖から飛び降りたとされる地点だ。
氏は実証検証で、5人が飛び降りる前に多数の敵兵を殺したという美談、
5人のうち2人は木に引っかかり命を取り留めた部分に強く疑問を呈した。 
洪振快さんは裏付ける証拠と崖を見渡せる岩上で撮った写真を提起し
「裁判官はここに来たことがない。歴史事実を判断する能力がない」と述べた。
経済成長ペースの鈍化で共産党が別の形の正統性を見つけるのに
躍起になっているとの声もある。〜(以上、要旨抜粋)

折しも中国では共産党非公然最高幹部会議「北載河会議」が開かれている。
最高指導部内で習近平と李克強首相との確執が公然化し、
江沢民の大衆的親近感醸成キャンペーンが仕掛けられたりしている。
経済の鈍化が誰の目にもあきらかになり、一方で南シナ海での
国際司法からの打撃も食らい孤立化して、打てる手も限られている。
そんななか尖閣周辺に「200隻以上の漁船団」と武装公船が
国境周辺でいまスレスレの行為を繰り返しているとされる。
平和的な方向に向かうことを願うけれど、どうも動きから目が離せない。
それにしてもウォールストリートジャーナルの報道の徹底ぶりはすごい。
この報道にはビデオ動画までも添えられている。
やはりこのアメリカメディアは論点もしっかりしているし、行動も果敢だ。
日本の報道の現状を思うと、彼我の格差に思いを致す。