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【心を育てる夏休みの青天井空間】

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日頃から、家の中での「癒やし」について考えることが多い。
住宅のことを考えると、その目的には子育てという人類的なテーマが
そこには根源的にあるのだと思う。
そのテーマ追求の中から、家族関係の創造という人間的な営為が生起し、
家の基本的なテーマとして、癒やしが求められたのだと思う。

そんなことを考えながら、この時期毎年見る大好きな光景がある。
それは夏休みの時期になると、ラジオ体操の場になる北海道神宮境内で
ボランティアのみなさんが、集まる子どもたちのために
神宮の水場のそば、林間のたたずまいのなかで行っている本の読み聞かせ。
なぜか、水場の屋根だけの東屋に向かって読み聞かせの人が立ち、
その光景を多くの子どもたちが集中して聞いている。
朝の爽やかな空気の中で、
想像力を刺激する紙芝居的な絵と、人の声に耳を傾けている。
声の調子の微妙な抑揚を聞き漏らすまいと瞳を輝かせている。
また読み聞かせる人は、慈愛を込めて子どもの心に語りかけていく。
そして背景としての神宮の森、シンプルな切妻の屋根形状。
北国としてはいちばん気温が高く、相対湿度も高いなかで、
独特の「いごこちのいい空間」がそこに現出する。
きっと杉の木立のまっすぐな様子と切妻の屋根の風景が
戸外なんだけれど、なかば家の中のような雰囲気を醸し出している。
読み聞かせの抑揚とともに、ゆれ動く物語の展開に
子どもたちの想像力が自由に羽根を得て、
このいごこちのいい空間に、まるでたゆとうているかのよう。
その光景を見、その場の雰囲気に浸るのが大好きになっています。

どうも、ひとが家に求めている原初的な空気感が
こういった光景の中にあるように思われてなりません。

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