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被災地の土地利用再生計画

震災から1年半以上が経過しているけれど、
住宅再建の足取りがきわめてスローペースで推移している。
都市計画・地域計画レベルの問題で、具体的に防潮堤の高さをどうするか、というような事柄ですら、
国と県と、地域自治体の間で
意見がなかなか集約されない現実があって、
その起点の行く末をにらみながら、住宅再建を考えているひとでも
なかなか「利用地」のアテが確定できない。
上の写真は、先日伺った大槌町で見せていただいた町再生の土木の計画図。
まずは、防潮堤の高さが決定されて、
そこからはじめて地域利用計画が具体的に線引きできるようになる。
住宅や店舗を再建したいひとでも、その土地利用の用途地域が確定しなければ
具体的にプラン出来ない、というのが現実の姿なんですね。

1年半以上経過しているのにこういうのが実態であるという事実は、
いかに震災発生時の政治権力が無能なものだったかを
よく表現しているように思われて、残念でなりません。
住田町の町長さんは、「専決」という自治体の長に認められた手法まで活用して
「その非常時にやらねばならないこと」を、具体的に判断して、
権力を使って被災者向けの木造応急仮設住宅建設を、
国の同意もなしで、どんどんと推し進めた。
その後、国からはそうした動きが脱法的であり、仮設住宅の要件を満たしていない、
というように反動の動きが出たけれど、信念を持って政策を推し進めたのです。
そのような権限は、この国の法でももちろん準備されているハズです。
最高権力者としての深い洞察と覚悟があれば、そんな知恵は誰にでも湧いて出たはずです。
国家経営についての確固とした意志を持っていなかった市民運動家レベルの首相の下、
復旧復興は、決定的に立ち遅れ続けてきた。
信念なき統治による国家が被った災害は、いま、その本性を現している。
いまは、ただただ、残念だと思います。

しかし、過去を振り向いてもいられない。
そういう失敗を糧にして、前に向かっていくしかない。
山ほどの「既成の東京的管理体制の保持延命のための法的枠組み」を丹念に現場で処理しながら、
少しずつ、やらなければならないことに立ち向かって行くしかない。
復興計画、という骨太のテーマすら具体的な指針として明確ではないという
決定的不幸を背負って、時間の掛かる現実が進行している。

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