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住宅の「地域連携」って?

国土交通省という役所は、
住宅建築というきわめて民間的な事象について
なんとかその責任を果たしたいというか、使命感を持ちたいと考えるようです。
住宅の政策というと、わたしなどは北欧諸国の
「良き住宅について」というような住宅基本法のようなものを想起します。
というのは、はじめて北欧に在住する建築家と交流を持った20年以上前に
彼の地の政府には、住宅政策が基本的人権に由来しながら立案されているという
目の覚めるような言葉を聞いたからです。
厳しい寒さの北欧では、まさに人間を守る基本的な営為としての家づくりが
ごく当たり前に志向されていると聞かされました。
また、高福祉という考え方とも相まって、
ほぼ「基本的人権」の立場に近い「住宅政策」が機能していることに驚いたものです。
現在でも、ドイツでのパッシブハウス運動などを見ていると
根本は「黒い森酸性雨問題」からの基本的生存権の問題のように感じ続けています。

一方、日本の「住宅政策」であります。
これまでは、基本的に「ハウス55計画」的な、
戦後の焼け野原からの急速な回復、
とにかく家族数の急膨張に追いつかないから大量に家を建てる生産体制優先、
という流れが根っこにあったのだろうと思います。
それが、あるころからか、すでに充分充足しているのに
「景気対策」のほうに主眼が置かれた膨張政策が依然として行われてきたと思います。
さらに土建国家的な段階から徐々に「国土政策」も推移してきて、
これまでは考えられなかった、国の主導による「あるべき住宅」的な政策に
転換を見せてきている。
5年間にわたって取り組まれている「長期優良住宅政策」などでの
「補助金による誘導政策」などは、その顕著な事例だと思います。
しかしこのような日本国家の住宅政策は、これまで主として
大規模ハウスメーカー、いわば大企業にだけ視線が向いた施策が行われてきた。
そうした問題点に行政府側も気付いてきて
では、地域にどうやって目を向けるか、と考えた結果が
「地域連携」という施策の流れなのだろうと思われます。
いまさかんにヒートアップしている福島県の「ふくしまの家」プロポーザルなどは
こうした流れの嚆矢ともいえると思います。
・・・まぁいろいろ情報を集めてみると、なかなか一筋縄ではいかないような(笑)。
さて、どのような流れになっていくものか、
注目していかなければならないと思っています。

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