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【アメリカでも勃発 感染クルーズ船・換気計画は?】


696人がコロナウィルスに感染して世界的に報道されることで、
日本への理不尽と思える非難が集中した「クルーズ船」船内感染が
ふたたびアメリカ西海岸で勃発してしまっている。
特殊で未経験な「国際航海船内でのウィルス感染」であるのに、
なぜか日本国内の感染者数と「合算」してアナウンスされることで
実際以上に「日本が危険だ」という「報道汚染」が進んだ側面がある。
既報のように、さすがにWHOも公式ホームページでいまは「国際運輸」として
日本国内発生ケースとは仕分けして記述されているので、
世界の報道としては、このWHOのスタンスに統一されてきているようだ。
日本の報道でもおおむね「合算」アナウンスは控えられてきていると思う。
けさの報道ぶりをチェックすると、朝日新聞デジタルだけが
トップページ題字下に「合算」数字をいまだに大書しているくらいで、
他は少なくともクルーズ船については但し書き付き掲載に留まってきている。

さて、ふたたびクローズアップされている「クルーズ船」だけれど、
その換気計画について調べるうちにその建造に当たった技術者による
「換気計画の学術発表」を入手することが出来た。
例のダイヤモンドプリンセス号の建造受注者サイドからのもの。
2004年建造ということで都合2隻がほぼ同時期に建造されたようです。
この資料は専門家に情報を共有提供して、いま詳細検討されている段階。
その専門的論議がどのようになっていくのか、注視しています。
なんですが、その資料の末尾にこんな記述が見られた。(要旨抜粋)
〜(設計に当たって)欧州客船建造ヤード2社を見学する機会があった。
先方との面談で、客船の設計と建造において最も難しい点は何か?
との当方からの質問に対し、両社とも「空調システム」という返答だった。
客船における空調システムは、壁・天井裏の狭隘空間に効率良くダクトを配置し
必要風量を確保すること。具体的には制約空間の中で最適な断面形状のダクトを
長さ方向の曲がりを少なく配置することで、圧力ロスが少なく摩擦音が小さい
理想的な空調システムができ上がる。〜

住宅の換気計画でも、換気装置本体と各室空間を接続させる
「ダクト配管」の仕方については、現場的にいろいろ苦労が多いテーマ。
計画上での「換気効率」が設計通りに「発揮」されるかどうかは
ロスを最小限化させる現場施工が大切だと思います。
わが家でも「後付けで」3種換気装置配管工事をしてもらった経験から、
その苦労はよく理解出来るところです。
で、クルーズ船の場合、想定できる設計与条件としては、
船体は「なるべく経済的にコンパクトに」「旅客数収容は最大に」
という要望が一般的に考えられるところ。
その要望を満たそうとすれば、必然的に「共有配管スペース」は
「壁・天井裏の狭隘空間」にうまく収容させることが求められる。
住宅に於いても、構造的な制約とか設備的な要件との整合を取っていくとき、
現場的にさまざまな困難を強いられるので
さらに厳しいだろう「クルーズ船」という換気装置に強く注目させられる。
「空調システム」がもっとも困難という現場の声は自然に了解。
今次の「換気の悪い密集空間」への警鐘に対して、
こうした論議が国際的にも活発化する必要があるのではないかと思います。

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