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雨水進入痕跡

現在の住宅建築工法では
「通気層」というものが当然になっています。
これは、構造材の外側に、室内側の湿気は外に放出するけれど
外部からの水分進入は押さえる素材、タイベックシートを貼り、
さらに、外装材との間に「通気胴縁」という木材を介在させて
空気流動できる層を形成させるというものです。
この工法の効用性はたいへん高く、
木造の構造耐力維持のためには欠かせない工法となっています。
ということから、北海道での高断熱高気密工法では
まことにスタンダードなものだったのですが、
それが採用されるには、タイムラグもあり、また場合によっては
採用しないケースもあったのですね。

この写真は、あるリフォームの現場写真なのですが、
中央に、黒ずんだ部分が見えています。
これは、外部の防水が切れた部分から進入した雨水が
隅角部の構造柱を伝って流れ落ちていた、それも継続的だった、
ということを表している状態なのです。
通気層というのは、万一建物内に入り込んだ水分を
その内部の「上昇気流」で乾燥させたり、あるいは排出したりする働きをしますが、
そういう対策がなされていないと、
このように乾燥しないで、常に水分が保留された状態になります。
そうすると、構造の柱にはずっと保水された状態が継続し、
水分の逃げ場もなく、木部腐食の最大原因になるわけです。

木造の構造材は、
常に乾燥した状態を維持させるように努力するのが
基本的な性能維持の大原則。
三内丸山からの建築にとっての基本的命題なワケです。
この現場では、腐食が見られた柱や合板を交換して
この時点でもう一度、新築時と同様な構造の再構築を行いました。
こういった改造のための基本指針が「北海道R住宅」という基準なのです。
この指針に準拠した改造を行えば、
リフォームだけれど、現在建てられるべき新築住宅と同等の
性能基準を満足している、と認定できるというもの。
現在では、この基準に合致した工事に対しては
新築並みの、35年ローンまで準備されています。
ことしも、国交省からは、満額の補助金が交付される予定です。
わが家の根本的延命によって、
最小の投資で「終の棲家」の安心感を獲得できたり、
また若い世代のみなさんにとっても、
中古住宅を買って、好きなように改造して新築よりは少ない投資で
地方自治体の性能的裏付けのしっかりした住宅を、
それも長期のローンで無理なくゲットできるのです。
このような制度や、技術手法がしっかりと確立しているというのは
北海道だけであり、そのしあわせは
みなさんに等しくチャンスが開かれているのです。
ぜひ活用していただきたいと思っています。

北のくらしデザインセンター
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