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敷居が高い

敷居が高い、というのは
その家の人に対して、不義理をしたり面目がない、
等の理由から、訪問することが出来にくい、
というような状態を指す言葉とされている。
そういう語法に対して、敷居という建築用語が
引用されて表現された、ということのようですね。
でもまぁ、最近というか、
一般的に広がっている語意としては、
「高嶺の花」というか、
親しみを感じられないとか、手が届かないとか
劣等感を持ってしまうとか、そういう意味合いが強い。

そうやって考えていると、
確かに役所とかの権力装置の建物では
写真のように敷居を高くする傾向はあると思う。
写真は、北海道開拓の村に移築展示された
旧開拓使札幌本庁舎です。
石山軟石という札幌市内で取れる石を玄関前に5段ほど積み上げて
地上面から高くしています。
それほどに「敷居を高く」しているわけですね。
まぁ、建築的な機能性としては、
長期的な使用を考えたメンテナンス策として
建物の基礎を石積みして災害に備えようと考えたものでしょう。
そうなると、必然的にレベルを上げる必要があって
5段もの段差を玄関前に作っているのですね。

こういう建物の作り方が、
「立派な」建物の基本要件だったのだと思います。
で、一般的に「立派な建物」といえば、「敷居が高いもの」
という印象言語になり、
語の成立の時点くらいから、このような誤解が
ずっとあり続けたのではないかと思われます。
でもまぁ、こうやっていると、
舗装のない時代には、泥にまみれたままでは入りにくい、
石段のところで必然的に泥が落ちて
室内は清潔が保たれたものと思います。
そういう意味では、「世俗の塵芥を入れない」という
建築的な印象にもつながるでしょうね。
建築って、抜けがたく権力側の意匠装置として発展してきた部分があって、
このような言葉との関係性も成立したのだと思います。

でもまぁ、この建物、復元したものですが、
明治の初年に、こういう色彩で権力施設を飾ったというのも
まことに面白いなぁと感じる次第です。
外壁の白さは、たぶん、「ホワイトハウス」という
権力の透明性を表現しようとした意匠なのかとも思いますが、
色の選択も、なかなかな感受性ですね。

北のくらしデザインセンター
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