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スウェーデン無暖房住宅

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きのう、仙台で東北フォーラム主催の講演会がありました。
テーマは「無暖房住宅」。
スウェーデンの建築家・ハンス・エーク氏の実践例の紹介です。
かれは、今年開かれた、愛知万博「愛・地球賞」を受賞しました。
設計事務所開設以来、かれはエネルギーのロスを減らすことに
ずっと取り組んできました。
写真左は、かれと彼の仲間が、最初に取り組んだ省エネ住宅のコンセプト。
はじめは、いろいろな自然エネルギー利用のおもちゃ箱のように
なってしまって、結果失敗したのだそうです。
ただし、そのときに施主さんから
「あなたそうがっかりすることはないわ。だって、この家は
こうしてはいけない、ということを教えてくれたんですから」といわれたそうです。
省エネにきわめて関心の高い、この施主さんの言葉で
かれは、ふたたび目標に向かう勇気を得たのだということ。
会場から、すこしピントのずれた質問もありましたが、
無暖房住宅、っていうのは太陽熱をパッシブ的に室内に受け入れ
そのほか、電気製品や人間活動の熱エネルギーだけで
極寒の地スウェーデンで、暖房設備なしで暮らせる住宅のことです。
そういうことをにわかに信じることが難しいとは思います。
けれども、北海道での新住協メンバーによる
Q1.0運動などを見ていると、けっして不可能とは思えません。
かれらが、そのために行ったことは、考え得るすべての熱ロスの削減。
それは3つのポイントになります。
伝導熱のロス・換気の熱ロス・生活排水の熱ロスです。
そうした各ポイントごとに性能向上の努力を掛けています。
徹底した断熱の向上面では、一般的なグラスウールなどの断熱材を使って、
屋根で50cm、壁で40cm、床下で25cmの分厚い断熱層で家をくるみます。
さらに開口部には高性能な木製窓を使用。
換気による熱ロスを抑えるように熱交換換気しています。
設計デザインの工夫では、南面に大きな開口を設け
大きめの屋根の庇を掛けています。
こうすることで、冬場の日射熱取得を計るとともに
夏場の過取得を抑えています。
玄関は北入りで、風除室的な空間を持っています。
ここで新鮮空気と室内の滞留空気を熱交換させています。
その先に、断熱的な玄関ドアがあって
室内に入り、大きな窓に面した南側が居間になっているのです。
紹介された「無暖房住宅」は、断熱向上や性能向上に要した費用と
必要がなくなった暖房設備のコストのバランスが
ほぼ均衡して、そのあとのランニングコストがない分、
たいへん、省エネになっているということ。
いま、地球が直面している温暖化への対応努力ということが
洋の東西・南北を問わず、課せられている最大のテーマなのだと
再認識できた次第です。

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