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商家の店先雨樋

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北海道では、住宅に雨樋はあまり使われません。
日本と北海道とは住宅について結構大きな変化があるのですが、
そのなかでもこの雨樋は劇的に違うポイントでしょう。
雪が降り積もる内に屋根からの落雪にともなって雨樋も
一緒になって落っこちてしまって
イタチごっこになる内に、北海道の住宅建設のプロセスから消えていった。
写真は先日訪れた川越の蔵の街の一角で見かけたもの。
いつのころなのか不明ですが、板金工事として雨樋の仕事が残されたものなのでしょう。
一軒一軒採寸して、ピッタリ合うように施工したのでしょうか。
微妙な木構造に沿って段差を付けながら落としております。
まぁ、日頃見かけることが少ないもので(笑)
つい、見とれておりました。
雨樋って、いろいろな用途があると思うのですが
軒先からの雨だれを防ぐと言うことで、
主要には外壁の損傷を最低限に食い止めるという機能が大きいのでしょう。
雨が屋根からそのまま落ちれば跳ね返りで
外壁下部に泥水がはね返って、大変見苦しくなる、それの緩和。
しかし、北海道では長ければ半年間近く雪が積もっているので
そのような跳ね返り期間は、半年。
そう考えると、外壁の損傷可能性は半分ということになる。
逆に言えば、損傷耐久性は、半分でもいいか、ということになる。
そんな経緯から、徐々に「ま、いっか」という方向になっていって、
北海道住宅から消えていったものなのでしょうか。
それと住宅で言えば、軒先自体も住宅から減少していったのが
北海道の事情でもあったので、
このような伝統が廃れていったものでしょうか。
近年では無落雪屋根も大いに普及し、こういう考え方が
本州地域にも広がっていっているのが現状でしょう。
茶室建築などでは、貴人を迎えるために
竹を切って、その日だけのために簡易な雨樋を造作するという文化もあると
聞いたことがありますが、
まことにそういう日本的な文化性を維持できなかったのが北海道なのですね。
こういう文化性の復権というのはあるのだろうかと
時折、気になることもある昨今であります。
北のくらしデザインセンター
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