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紙越しの採光

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ゴールデンウィーク、好天が続きますね。
きのうは足を伸ばして、増毛方面へ。
坊主はバスケットと言うことで、カミさんと母親、3人での行楽。
増毛は、古くからの酒蔵が観光の中心になっていて、
その本宅としての旧家も重要文化財に指定されて
ミニ小樽的な観光条件が整ってきていますね。
札幌からは海岸線をずっと北上するコースなので眺望が良く、
途中には豪快な滝があったり、
岩尾温泉という泉質の良い温泉施設で日帰り入浴も楽しめます。
きのうも街の中は大変混雑を見せていまして、
なかなかの人出でした。
ということで、カミさんの母親に観光案内しながら。
写真は、旧本間家商家の見学です。
酒を造ったり、海運業を行ったり、
明治以降は銀行を開設したりと、地域最高の有力者の邸宅です。
さすがに結構を尽くしておりまして、
書の類、ふすま絵など、豪華な調度が飾られています。
こういう旧家でいちばん感じるのは、
障子越しのやわらかな採光がもたらす心地よくコントロールされた明るさと暗さ。
紙で内と外の結界を造り、
採光の要素ももたらせているという空間って、
アジア的な独特なものなのでしょうか。
幾何学的な格子組と紙による繊細な採光。
それが室内に入ってくる光を統御している。
床に写り込む格子模様やらが、この写真のような広縁の鏡面に反射して
日本人が永く愛してきたような空間性を形作る。
ここは寒風吹きすさぶ日本海北端に近い寒冷地ですが、
いっとき、春から夏にかけて半年程度は
日本的な風情を堪能する「高級住宅」要件を実現していた。
というよりは、建築技術の問題として、
こういう雰囲気以外に、日本には「よき住宅」という概念がなかった。
左側の庭に対しては一面のガラス建具が障子の外にあるので、
それがかろうじて、室内の空気を外界から区切り、保持する装置。
こういう富豪の住宅でも、
建築技術者は、本州地域から「出稼ぎ」で来ていたのでしょうから、
この地に似合った高級住宅を創造する、という情熱は持てなかった。
半年は破綻する生活だけれど、
まぁいいや、という形で思考を放棄したものでしょうね。
今日でも、北海道の気候風土を考えたとは言い切れない建築が
「出稼ぎ的な建築技術者」が東京からやってきて、
たくさん建てられているのが現実。
それが「建築文化」だと言われれば、まぁしょうがないとも言えるけれど、
寒々しい家で耐えていかなければならないのはやや滑稽ではあります。
要は、こういう雰囲気の良さを
寒冷地的に活かして実現すればいいわけで、
それには、理解と知識、技術がどうしても必要なのですね。
北のくらしデザインセンター
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