本文へジャンプ

鎌田紀彦先生最新実験住宅 2

1876

きのうの続きであります。
最近の新住協総会での鎌田先生の発表でも
基礎のことは大きなウェートで研究が進められている様子が伝わっていました。
北海道で基礎断熱を提唱されたのは、北大の荒谷先生で
その最初期の実験住宅に鎌田紀彦先生が取り組まれたのです。
荒谷先生の提唱では、外周部の基礎の外側で断熱し、
区切られた内部は、土が断熱材という考え方だったそうですが、
その後、さまざまに実際に施工されてきて、
室内側から地中に熱損失しているという実態が見えてきた。
そこで、土間下全面を断熱する方が合理的という考えが支配的になった。
でもそうすると、その分の断熱材の費用が増えコストアップになる。
一方で、土間下全面断熱するとフラットな床面が獲得しやすい。
梁として作用する間仕切り壁のような内側コンクリート基礎を
「地中梁」として埋め込んでしまってフラットな土間床も作れるようになった。
多少コストアップしても、これって魅力的。
作業手間も考えると、コスト面でのメリットもある。
そんな考え方は以前から多く採用されていて
以下の写真は、わたしの事務所の基礎断熱の様子。
土間下全面が断熱されていて、その間に「地中梁」が配筋されている。
下には、今回の鎌田先生の実験住宅事例写真を載せます。
比較になるかも知れません。

1877
1878

鎌田紀彦先生の場合には、
あくまでも「システム工学」的な追求が基本なので
工法的な合理化を徹底する方向を指向される。
この「地中梁」も土中に掘り下げたりせず、
配筋量の多い部位が「梁」という考えと見受けられます。
扁平になるので、鉄筋は横に拡大している。
ここに、コンクリートを打設するのですが、これを一回打設で仕上げてしまう。
このことは、本州地域でのシロアリ対策という側面もあるようです。
外周側基礎の形状は逆T字型ではなく
全体としてコの字が上を向いた一体成形の形状になっている。
こういった工夫で、基礎を単純化して合理化を図り
トータルなコスト削減、性能品質の向上を実現していこうということ。
わが事務所の場合には、このコンクリートスラブ面に
そのまま床仕上げしたのですが、
今回の先生の実験住宅では、大きな平面的床下土間空間になるそうで
束を立てて、床下地を組んでいくそうです。
足下の居住性を考えると、ハードなコンクリート床よりも一般的でしょうね。
こうした条件にさらに、地盤改良の杭と「捨てコン」の厚みの関係、
床面スラブの厚みなど、いろいろな検討条件が出てくるようです。
さてこうした試行で、どういった結果が出てくるか、
大いに注視していきたいと思います。

なお、先生からもいつも言われておりますが(笑)、
わたしは建築技術の専門家ではなく文系出身情緒系人間です。
そのようにご理解の上、文章をお読みください。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.