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天安門事件25年の現在

1729

天安門事件から25年が経過したという。
1989年に勃発した現代史のなかでも特異なこの事件は
中国という異分子が、現代世界の中でどのようになっていくのかを
端的に占っていくひとつの指標にはなると思われる。
歴史の改ざんは中国では当たり前に行われるのだそうで、
いまや、天安門事件で中国共産党の軍隊が中国人を虐殺したことは国内的には
「なかった」ことにされているのだそうだ。
まぁ、25年が経過して、事件そのものを知らない世代も増えているけれど、
歴史の真実として、あの事件は記憶され続ける必要がある。
中国が現代世界に「改革開放」されていくプロセスで
ある時点では必ず、現代世界の基本的価値認識を受け入れなければならない
そういった必然性は、みんなの共通理解としてあった。
しかしあれだけの大国で、多民族国家であるという現実を見れば、
単純に政治の「民主化」が進むことは、世界の混乱要因になる危険性もある
というような現実があり、しかもそれが内政問題であることもあって、
世界はこの事件後も中国に門戸を開き、その「改革開放」の進展を期待してきた。
しかし、現実には民主化運動鎮圧の功績からトップに上り詰めた
江沢民を象徴とする保守強硬派たちは、
破綻した共産主義・共産党1党独裁思想の代わりに、反日などの排外的民族主義を
国是にして、自らの権力正当性の最大基盤にしてきた。
こうしたいびつな経過をたどったこと、
そのことを国際社会が「容認」したことで、
いびつな権力支配構造が中国に根付いてしまっているといえる。
今日、その国内統治における正当性の根拠の薄弱さが
政権の暴力的姿勢として結果するようになってしまった。
相次ぐ国内民族対立問題の暴力的勃発は
対外的な民族主義鼓舞と表裏一体のものであり、
それが政権基盤である以上、中国共産党独裁権力機構としては
強権的な国内締め付け、対外的な挑発的暴力姿勢しか
政権のスタンスとして、取れなくなってしまっているのだろう。
そして、その中国に対して、
結果としては似たような体質を持っている韓国の政権が
経済的な近視眼的な利益誘導に目がくらんで中国に媚びを売って
反日といういびつな外交を日本に対して仕掛けてきている。
東アジア世界の現在の状況は基本的にはこのような構造になっているのだと思う。
こういった情勢の中で、日本国民は民主的な手続きを経て
選挙を通した民意の選択として、現在の政権を選択している。
民主党政権の呆れるばかりの失敗への反動という側面ばかりではなく
この選択には、やはりある種の妥当性はあると思わざるを得ない。
この点、やはり日本には民主主義が機能しているといえるだろう。
不当な中韓の外交態度に対しては、
日本国民の大多数は憤りを覚えているし、
このことは、現在の日本の政治状況の基底にあることがらだと思う。
普通の状況であれば、もっと緊迫したテーマである
集団的自衛権の問題も、中国の対外的暴走が
日本国民にそれもやむなしとする動機・機縁になっている。

やはり中国は世界有数の大国であり、
世界はその動向からの影響を逃れることは出来なくなっている。
天安門事件25年を経て、亡命している中国の民主活動家の中から
「江沢民の退場を、世界は、中国は待たざるを得ない」
という具体的なメッセージが発されたけれど、
それがいまの端的な状況であるのかも知れない。
天安門事件を中国が民主的に乗り越え、止揚できるのか
そのことに、やはり現代世界は、固唾を呑み続けている。

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