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日本の窓の高性能化

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北海道で住宅を考えていくと
その多くの局面で窓の問題にぶち当たらざるを得ない。
わたしが23年前に自宅を建てたときにも、
その時点で入手しうるもっとも性能のいい窓を、ということで、
スウェーデンから技術直輸入して北海道でノックダウン生産していた
木製3重ガラス入りサッシを使った。
そのころは北海道でもまだアルミサッシの窓が多く流通していて
樹脂サッシとのシェアでも、アルミの方が優勢だった時代。
当時北海道でたくさん住宅を建てていた「木の城たいせつ」(その後倒産)では
アルミサッシが標準仕様だった。
そういうなかでまずなによりも窓の性能面に注目して
行き着いた結論が、スウェーデンタイプの木製窓だった。
それはデザインとしても優れていて、
風景を切り取る額縁として、さまざまな周辺の情景を楽しく見せてもくれた。
そういうことだったので、窓のコストが住宅全体の中でも大きかった。
でもそれを超えるほどに、性能的満足感は高く、
同時に、デザインの秀逸さも非常に高かった。
当時は、このような木製3重ガラス入りサッシは、建築家の住宅設計で
多く採用されていたのです。
それには、戦後すぐにGHQに建築技師として採用されて
さまざまな建築に関わってきて
その後、スウェーデンに渡って、彼の地でサーの称号を受けるほど
根付いて建築をつくりつづけてきた笠島さんという建築家の存在が大きかった。
わが家が完成した当時、笠島さんにもご覧いただいた。
たいへん光栄で、うれしかった。

わたしのなかでは、
そこからずっと日本の窓のことを基軸にして住宅性能のことを考えてきた。
その後、北海道では樹脂サッシがアルミサッシを駆逐するようになり、
いまでは樹脂サッシ普及率は92%にもなっている。
しかし、日本全体ではまだ、6〜7%のレベルに止まっているのだとか。
道のりは、きわめて遠いんだなぁと思わざるを得ないけれど、
きのう、YKKapさんの新商品の「発表会」に行ってきました。
ようやくU値で0.91というレベルの3重ガラス入り樹脂サッシが
日本の大手メーカーから発売されるようになったのだという。
世界の趨勢が、ドイツが主導するかたちでU値1を切るレベルにまで
「規制値」が共通認識になって来ているなかで、
日本の窓の基準は依然として、U値2.33。
まぁ、異常な状態が放置され続けてきていたワケですね。
この新商品の発売を記念したセミナーイベントとして
Replanで連載記事「いごこちの科学」を書いていただいている
東大准教授の前真之先生が講演者として来札されていました。
次号の原稿の〆切の件もあって、
状況を確認がてら、お伺いさせていただいた次第です。
聞けば、この札幌をスタートにして
全国17箇所でキックオフキャンペーンを展開していくのだとか。
ついに大手メーカーもこういった窓を作り始めたか、
という感慨を持ちつつ、お話しを聞いておりました。
その市場推移に大いに注目していきたい商品だと思います。

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