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現代の「脱亜」論

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アフリカでのPKO活動中の自衛隊が
国連からの仲介を受けて韓国軍に銃弾を無償提供したことが
官房長官を通して政府から発表された。
さらに自衛隊現地指揮官がテレビニュースに出て積極的にことの子細を明かし、
韓国の現地指揮官からは「感謝」のメッセージを受けたとも証言した。
このようなことの経緯からは、ある意図がないことはないだろう。
ある意味では、ひとつの「外交カード」ではあると思う。
それに対しての韓国側の対応は、かなり困惑している様子だ。
このリアクションの中に、いまの日韓関係の本質としての
韓国、朝鮮民族内部での深刻なアイデンティティの危機が
明示的に示されているように思われる。
かの国では、日本のアメリカ・連合国に対する敗戦の結果、
日本による占領支配が解かれ、国家が生まれたということに、
根源的アイデンティティ問題が大きく存在しているのですね。
やはり民族主義的な立場からすれば、
独立のために「戦った」ということが、「正統」という扱いになり、
やや疑わしさはあるとはいえ、金日成が正統とされるような
そういった民族主義が、
反共を掲げてきたと思われた韓国で、国を挙げて信奉されているとされる。
その対極に、戦前の「親日」的なひとびとが対置され
時間をさかのぼって断罪するというような愚行もまかり通っている。
そうであるとすると、
反共軍事独裁政権を樹立した朴正煕を父に持つ大統領も
たしかに、身動きはできそうにないだろう。
反日を声高に言い続けていくしか、かの国では政権維持もできそうにない。
東西冷戦の終結と共に、スターリニズムの終焉を確信してきた
世界の主要な思想潮流とは、やや違う価値観をもっているといわざるを得ない。

日本としての最善策の「国家戦略」としては、
こうした隣国の状況は静観し、あまり深入りせずにいるほうがいい。
むしろ、東アジアからの静かな離脱を考えた方がいい。
経済の付き合いはそれとして粛々と行っても、
外交的には深入りせず、というほうが安全保障上も賢明だろう。
首脳会談についても、とくに積極的に働きかける必要もない。
ただ、今回のような国連経由での支援要請に対して
それとして行っても発表すらできず、秘密にするしかないということでは、
まことに付き合い方は難しいといわざるを得ない。
秘密に援助するというのは、武器輸出の原則禁止の法律上もできない。
今回は、国連の要請があって「人道上の緊急性」から
例外的に実施したのであるから、秘密には出来ないのは当然だと思う。
あくまでも冷静な対応だろうと思うのだが、
さて、韓国ではこのことはどのように推移していくのか・・・。
<写真はまったくの無関係です(笑)>

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