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「古びる」こと 畏れと主張

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下川から帰ってきて、疲労感が半端ないので、
きのうは1日、のんびりと買い物や料理など。
なんですが、やや気分がササぐれていて家人と行き違い。
反省して謝りましたが、どうもこういう日はたっぷり休むしかありませんね。
この時期、北海道ではお歳暮時期ということもあって、
塩引きの鮭が店頭を賑わしてくれる。
贈答用はその場からお送りして、自家用と娘に送る分は持ち帰り。
4kgという、鮭でもかなりの大物を1匹捌いてみましたが、
さすがになかなかの重労働感。
塩引き冷凍になっているので、すこし解凍させて2枚に下ろし、
そこから骨に直角に切り身に切り分けていく。
と書けば簡単なことですが、
やるとなったらかなり大変であります(笑)。
贈られる方もなかなかの大仕事になると内心、申し訳ない気もあるのですが
でもやっぱり、冬になっての季節感、
北海道からの思いを内地のひとに贈るのに、ふさわしいと思える。
塩引きされた鮭の、まんまの姿形から、なにか伝わってくるモノがある。

そんな思いに似た感覚を下川でも味わってきました。
写真のような古びた「カレーレストラン」に
エコハウス設計者の桜井さんに連れて行かされた。
訪れたら、わたしたちを出迎えるように手荒くワンちゃんが走り寄ってくる。
かわいいんだけれど、すごい(笑)。
ご主人は絵を描かれている画家さんのようなのですが、
そういうタイプの方には、非常に親近感を感じるほうなので、
建物とインテリアの雰囲気にすっかりハマって癒されておりました(笑)。
きっと離農した農家住宅であろうと思うのですが、
それにちょっと手を加えている建物であります。
中には、どんと薪ストーブが置かれて
「寒かったべ、まぁ、ゆっくり火にあたれや」みたいな、
問わず語りのコミュニケーションが立ちのぼってくる。
床壁天井とも、たぶん手を掛けてリフォームしたに違いないけれど
それらもある年輪を重ねたような歳月感がただよっていて
背景としての雰囲気を構成し、
その空間の主役としての古寂れた家具たちが、味わいを醸し出している。
ひとが触れてきたような手垢や、使い込まれたモノが持つ
やさしさ、人肌のような安心感に包まれる感覚。
だいたいの建築家のみなさんは、こういうのが大好きですね。
しかし、一般のみなさんにはある種の古くなることへの畏れが存在している。
社会から取り残されていくことへの恐怖のようなモノであって
必ずしもそれは良くないことだとも思いません。
芸術家のような存在には、そういった過去への郷愁が許される部分があるけれど、
しかし絶えざる現在を生きる身には、そういうゆとりは持ちにくい。
わたしにしても、こういう空間性に同意するには、ある種のスイッチの変換がある。
現代人、こういった自己分裂の中を生きているのでしょうね。

お店の名前は、
RESTAURANTE Y-CAFE MORENA【モレーナ】
下川町北町309
TEL/01655-4-4110
営業時間/11:30~21:00
定休日/月曜日   席数/25席
お近くに行かれたときには、いかがでしょうか? と宣伝しておきます(笑)。

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