本文へジャンプ

日本人としての対話の機会に

わたし自身は、福島県に何回も足を運んでいて
そこでひとが暮らしている以上、そこに行って、
いっしょに少しでも良くなっていくことにわずかでも尽力したいと念願しています。
起こったことはきわめて深刻な事態だけれど、
それをなんとか収束させることも
日本人に課せられた、汎世界的な課題だとも思っています。
もちろん、目には見えない危険との戦いなので、
そういった部分での恐怖感は十分に理解出来ます。
そうした声を上げること自体は、当然だと考える次第です。
そのうえで、ではどうしたらいいかを考えていこうと思うのです。
現実的に、まずはきちんと収束させるためにも多くの知恵と人手が必要であり、
社会として、そういう心構えを持たなければならない。
そんな気持ちでいて、あんまり世の中の動きの情報は入っていなかったのですが、
きのう、流れていた情報に接しました。

神戸大教授 「福島市長が山形に避難」発言で謝罪へ
 原発事故を受け、神戸大の山内知也教授(放射線計測学)が講演会で「福島市長は山形市に避難している」などと発言した問題をめぐり、福島市は4日、山内教授が9日に福島市を訪れ、瀬戸孝則市長に謝罪すると明らかにした。
 福島市は「発言内容は事実無根」だとして、山内教授に対し謝罪を求める文書を3月26日に発送。山内教授が弁護士を通じて市に謝罪の意を伝えてきたという。
 市によると、山内教授は2月に大阪市で開かれた講演会で、福島市が実施している除染は効果がなく「避難が必要」と言及。「福島市の市長は山形市に住んで、毎日、公用車で通ってきている」などと発言した。

まぁ、こんなことが起こっていることを
情報の世界にいるのに、不覚にも、きのうまで知りませんでした。
発言についてのことは、しっかり謝罪されたらいいと思います。
工学系の研究者の方が発言されるということは
一般の人々にとって、きわめて信憑性が高いと思うのですから、
その前提を、あまり精査せずに発言したのであれば、
科学者として、配慮に欠けているといわれてもやむを得ない。
その上で、福島のひとたちが現実に取り組んでいる実態も
大いに見て行って欲しいと思います。
わたしたち民間の市民は、科学の研究や知見を前提にして
それを頼りにして、どうやったら人間が生きていくことが可能か、
日々、努力していくしかないと思うのです。
同じ人間として、それまで住んでいたかけがえのない愛着のある土地が
きわめて深刻な事態になっている福島の人たちに、
そこでどうやったらいいか、日々、悩みながら現実に立ち向かう人たちに
同じ日本人として、科学者としての力を貸していただきたいと思うのです。

残念なことだと思うのですが
がれき処理の問題など、
いま、日本は大きく世論が分裂していると思います。
社会としての対話のひとつのきっかけに、この謝罪訪問が役立つかも知れないと
祈るような思いを持って見ています。

<写真は、原始時代の狩から還ってきたお父さんと家族の様子の像>

Comments are closed.