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【初春の富士 北斎「富嶽三十六景・常州牛堀」 】

あけましておめでとうございます。
北海道という、住宅ではやや特異な位置を占める地域発の
住宅雑誌+WEBのReplanを編集発行。
ブログでは雑誌やWEBマガジンとは違う視点で住宅の周辺的話題を中心に、
歴史的住宅を深掘りしたり個人的な興味分野も自由に書き続けております。
雑誌の開始から32年、ブログを始めてからでも15年経過しました。
ブログはいま「北海道住宅始原の旅」シリーズを継続中。
高断熱高気密への動きがスタートアップしたのは、明治にまで遡る。
開拓と同時に「住宅革新」がどう始まったかを掘り下げています。
150年程度ですが、北海道としては「温故知新」であります。
ぜひ、過去記事などもご覧ください。

ということですが、本日は元日ということで、
以前も好評だった「富士山」からといたします。
俗に「一富士二鷹三茄子」と言われる初夢の縁起ナンバーワン。
初夢に見るものの中で、縁起のよいとされているものを順に挙げた句ですね。
この絵は表題の通りですが、東京国立博物館で「北斎展」をやったとき、
・・・っていまから15年前の2005年の秋に見学して
たいへん感動致しました。で、ご存知の通り北斎のこの絵は「版画」なので、
展覧会記念で、版画原板から枚数(確か100枚)限定で特注受付されていた。
同じものはそれだけあるとはいえ現代技術で再現させたホンモノ北斎絵画。
なんですが、わたし的にはこの構図とテーマの船上生活者、
その「ほぼ住宅」という船での暮らしぶりが揺さぶられた(笑)。
とくにコメを研いだとぎ汁を船から水面に流したところ、
その音に驚いたシラサギが飛び立って行ったという風情のピンナップ。
牛堀(茨城県潮来市)は、霞ケ浦南端の水郷。
鹿島神宮や銚子などへ向かう航路として多くの船が行き交っていた。
この描かれた船はどのような存在であったのか、
屋根が掛けられ中に座布団とおぼしきものも見える様子からは
「屋形船」と目されますが、そうすると観光船的な生業だったものか、
北斎は各地の「生業」への視線が強く感じられる絵が多い。
よく大木を製材する「木挽き」の様子が描かれたりしている。
画業者として、同じ「職人」へのリスペクトをそこに見る思い。
江戸期の人々の「生き様」がありありと描かれていて楽しい。
これから朝食を摂るために米を研いでいる様を絵に反映させるのは、
風俗画画家としての目線の確かさを強く感じさせる。
米を炊けるということは、船に煮炊き装置があるのでしょう。
燃料は管理しやすい「炭」だっただろう、じゃあ燃料費は高かった、など
いらぬ心配までさせられてしまう(笑)。北斎の世界。
また北斎の代表作である「神奈川沖の大波」とも通ずる構図が特徴的。
画題の庶民生活ぶりと構図の「劇的感」との対照に非常に惹かれた次第です。

ことしも毎日更新を心がけたいと思います。
なにとぞ、ご愛読のほどよろしくお願いします。

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