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【縁側・中間領域デザインと高断熱高気密】


北海道の住宅で、いちばん渇望させられるのが、
写真のような「中間的領域」であります。
この写真のような「縁側空間」は日本文化の基本ではと思うのですが、
内側とも、外側ともいいがたい空間性を持っています。
空気としては外であって、雨をしのぐように屋根が差し掛けられる。
外なんだけど、濡れることはない安心感を持っているし、
ウチに籠もる閉鎖性ではなく、そとに向かっての「開放感」が感じられる。
日本人はこういう空間での「いごこち」を洗練させてきた。
この空間から庭に向かっての装置群には
さまざまな「意匠性」が主要な工夫進化が計られてきたと思われる。
また、この縁は簡易な「社交の場」でもあり続けてきた。
こういう場所にウチとソトから人が集って、茶や簡易な食で「接待」文化がある。
もっともこの空間から見える庭は、管理された内側的な外でもあり、
そういう意味では日本の住宅というのはいくつものレイアーが重なっている、
心理的にも建築的にも「レイアー」的な住装置であるともいえますね。

こういった生活文化空間を北海道住宅は持ちにくかった。
生存可能環境を作るためには厳しい冬期の環境から人間を守ることが
なによりも最優先条件であり、いわば内側の環境が充実する方向で
住宅の進化が計られてきた。
いま、北海道の住宅は技術的には無暖房住宅も可能ではあるけれど、
ひとのシアワセ実現の道としては、生活文化装置としての
住宅の高度化の方がより求められてきているのではないか。
そういうとき、この写真のような日本文化空間の実現ははるかに難しい。
内側での人間の「いごこち」は十分にコントロールできるけれど、
こういういごこちの住デザインはどんなふうに実現可能か、
そんな問いかけに対して、なにかの出口を求めているように思う。

たぶん北海道の住宅が多く取り入れた居間の「吹き抜け」には、
そんな願望が昇華されているのかも知れません。
空間的にこういった中間領域も「内側化」せざるを得ないなかで、
吹き抜けは、視覚的な「開放感」を上下方向に変換して実現させた。
建物を高断熱高気密化させることで、
抜き抜け空間を作っても上下の温度差をつくらない技術が確立した。
希望そのままではないが、いわば「擬制」的に心理的開放空間を対置した。
まぁさらに進んで温室風にインナーテラスのような空間に挑戦した事例もある。
いま北海道科学大学教授の福島明先生のご自宅では
天窓付きの広大な室内土間空間が実現していたし、建築家の藤島喬さんは、
ガラスで仕切ったボックスを居間から出入り可能な空間として作った。
ただ、一般化にはコストの壁があると思う。
これからの北海道住宅でさらにこういった空間にチャレンジしていく動きが
さらに果敢に出てくるものかどうか、
また逆に温暖地の家づくりも高断熱高気密に舵が切られてきて、
そういった住宅から、この中間領域的な空間性に方向性が出てくるのか?
こうした開放感の進化、ずっと密かに注目し続けています。

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