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【北海道でのサンルーム 苦い経験知】

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きのう取り上げた、北に住む日本人の「緑への態度」マーケティング研究。
反応として、東京での住宅専門誌出版社の方から、
「インテリアの特集は北海道で売れるけど、
庭の特集は売れないという結果が出ています(^^)」というコメント。
おお、まぁさもありなん、というところなんですが、
それじゃぁ、北海道、雪国・寒冷地に住む人間は
これまで緑に固執したことはなかったのかと言えば、北海道の方から
「35年ほど前の北海道では、猫も杓子もサンルーム、
冬でも楽しむプランター、なんて時代がありました」というコメント。
おおお、であります。
すっかり忘れていた、あの「サンルーム」であります(笑)。
なにを隠そう、わたしの親も家に装置させていた・・・。

北海道でのサンルームについて、
北海道立林産試験場が調査した結果がある。
北海道のサンルームは「ウィンターガーデン」が願望目的。
「温室」「居間の続き」「洗濯物の乾燥」「日光浴」が主たる設置意図。
冬期間に阻害される屋外生活行為の場として計画される傾向だった。
北国人としては冬の雪と寒さを克服した「温室」という、
さんさんと陽射しの降り注ぐ緑なす空間を空想したわけです(笑)。

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しかし、設置されたサンルームのほとんどが、
悪質訪問販売業者による、後付け増設工事。
残念ながら、当初サンルームに期待した機能は満たされず
単なる物置として使われ、投資は有効でなかった。なぜか? 
サンルームは外気温度や日射量の変動に作用されやすいため、
夏期の高温と冬期の低温(!)が問題となってくるのですね。
「温室」や「居間の続き」のように24時間使用したい場合は、
その温熱環境を、住宅本体と同様しっかり制御する必要がある。
・・・なんのことはない、結局断熱も気密も考慮されない隙間だらけの
冬の寒さ加速装置を家に取り付けた結果に終わってしまったのです。
新築時点でサンルームを計画した場合、
その温熱環境をコントロール可能にするには、きわめて適切な
断熱気密施工と、ガラスの複層化など高コスト要因が派生する。
訪販が「お、これくらいの金額なら」とだました程度の金額では収まらない。
いまや、北海道でのサンルームというのは
「昔、訪問販売にみごとにだまされた」という証拠になっている。
悪質訪販屋さんには、見込み客ランドマークなのです。

こういった苦い経験知が、北海道人の緑への態度に
どうも反映している可能性がある。
集団的経験による、DNA的な拒否反応、刷り込みかも。
しかしこういう北海道の生活者の経験を再度よく考えてみれば、
やはり縁側から緑と親しみたいという、いかにも日本人的な
生活習慣願望は、北海道人といえども潜在している明白な証拠。
そういう意味では、輪廻するユーザー動向を計量し、
合理的な解決法を提示すると、あの北国人の夢の空間である
「さんさんと陽射しの降り注ぐ緑なす空間」願望が、
いきいきと再発生してくる可能性もあるのでしょう。

<写真は仙台の散歩路とわが家のクンシラン、きのうの様子。
ぼってりと花芽が膨らんで重そう。開花寸前>

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